第53話 緊急依頼に出発

翌朝

「御主人様宜しいですか?」

「エリスナどうかしたの?」

「頼まれていた布が手に入りました」

「手の空いている者達に服を縫って貰おうか?」

「え?服をですか?それならばもっと良い布を集めるようにしたのですが」

「安くないと意味は無いからね」

「え?何故ですか?」

「服を量産して売ればどうなるかな?」

「それは買う人がいます」

「商会は儲かるでしょ」

「あ!はい!」

「更に安い生地で練習して上手くなれば貴族用の服も作れる筈だよ」

「え?確かに出来るようになります」

「今仕事の無い奴隷達は一生懸命作るから早く上達するし、自分の稼ぎで食べていければそれに越したことは無い筈だよ」

「その通りですが、上手くいきますか?」

「上手くいく必要は無いよ、布を取引出来る事が重要だからね」

「え?何故ですか?」

「今回の布はこの近くから西側で仕入れさせたけど、ルートが大事だよ」

「え?ルート?」

「もし全部の布をここに集めたら何処から商人が来るかな?」

「東側・・・王都や港町」

「正解!結果商会は利益を出せるでしょ」

「あ!!!凄すぎて思い付かなかったです」

「逆に商人が来れば取引したがるから色々持ってきてくれるから、買い取って西側に売りに行けると言うわけだよね」

「商会は利益をまた得られる」

「その為には色々信用して貰えないといけないからね」

「頑張ります」

「あと1つ手配を始めて欲しいだけど、宿屋を一軒新しく作って欲しいだけど、対象は商人限定でお願いね」

「あ!畏まりました」

「足りない人手、清掃や住み込みの仕事が有ったら孤児院を卒業する人を雇ってあげれば色々助かると思うよ」

「あ!確かにそうです!」

エリスナは急いで商会に向かう

「エリスナ張り切っていますね」

「暴走は出来ないから大丈夫だけど、商才結構高いよね」

「商会は任せられますね」

「御主人様、薬草の方も集まりました」

「トリスナありがとう、薬屋で薬を作って交易出来るようにしておいてね」

「既に薬屋に届けておきましたが、量に青ざめると思ったら、逆に大喜びでした」

「そうなの?」

「薬を交易品にする事も聞いて、喜んで任せておけと言ってました」

「それは頼もしいね、理由は有るのかな?」

「以前薬が無くて多くの人を救えなかった事を後悔していて、薬作りが出来て嬉しいとの事です」

「なるほど、良い人材だね、薬草の種類や作り方を学ぶにはいい人だね」

「私もそう思います」

「必要な薬草とか有れば手配をしてあげてね」

「畏まりました」

トリスナも笑顔で出ていく

「フレナークとミリシアは準備は出来たかな?」

「はい!しかし不安ですけど・・・」

「何が一番不安かな?」

「一番は御主人様の近くにいれないことです、後は何かあった時に信用出来る相談相手がいないことです」

「そうだね、最初はこっちと支部を繋ぐ商隊から始めた方が良いのかな?」

「それもありですが、運ぶ商品を集めるのが大変になります」

「2人の能力なら心配はしてなかったけど、警備担当を鍛えるかな?」

「既にアニタが鍛え始めていました」

「アニタが?」

「実際キャスカの練習台ですけどね」

「そうだよね、でもどうして?」

「暇で警備担当達が稽古しているのを見て稽古をつけ始めたら暇を見つけては遊びにいっています」

「それは良い暇潰しだね」

「戦闘狂に似ています」

エニスが言うとみんな笑い出す

「御主人様、冒険者ギルドから緊急で来て欲しいそうです」

「え?わかった」

エターナリア達は冒険者ギルドに向かうと

「あ!奥にどうぞ!」

職員が笑顔で迎え入れてくれるとすぐにケーレストがやってくる

「どうかしましたか?」

「エターナリア殿申し訳ないのですが、普通の冒険者では無理と思いましたので緊急依頼を受けて貰えませんか?」

「何が有りましたか?」

「この街道付近で大型の魔獣が暴れ大被害になっています」

「どんな魔物ですか?」

「蟹なのですが、大きくて領軍では勝ち目が無いと思われます」

「食べたら美味しいかな?」

「え?食べたら・・・・誰も食べたこと無いので解りません」

「そうか残念」

エターナリアが言うとみんな笑い出す

「街道が封鎖されているのかな?」

「解りませんが、更にむこうの領主が最初は隠していたのでかなりの被害が出ているようです」

「え?どうして?」

「下手したら領主は解任されて一族路頭に迷います」

「それは隠すよね、そうすると領軍はもう討伐に出ているのじゃないかな?」

「勝てるとは思いません」

「でもどうしてギルドに緊急依頼が?」

「むこうのギルド支部長が泣きついて来ました、向かった冒険者が逃げ帰ってきて、別の町に逃げだしたそうです」

ケーレストが苦笑いする

「ただ冒険者が弱かっただけじゃない?」

「エターナリア殿からしたらみな弱いと思います」

「道案内役が必要だな」

「心配は無いですギルド職員が同行しますから」

「解りました、商隊の準備出来次第向かいますね」

「え?商隊?」

「ちょうど良いからそのまま支部の状況と王都まで遊びに行ってきます」

「本当に散歩気分ですね」

ケーレストは苦笑いする

「じゃあ準備出来たらすぐに出発します」

エターナリアは帰るとすぐに準備中の出発準備をする

「御主人様、全ての馬車と積みにの準備が明日にできます」

「トリスナに伝えて薬をどうにか出来ないか聞いて欲しい」

「トリスナが準備をしてくれています、足りない物が有ればすぐに作ると薬屋が言っているそうです」

「今度ゆっくり出来るときに御礼を言わないとね」

「ギルドに明日に出発すると伝えてください」

「畏まりました、使いを出しておきます」

「商人たちから情報は有ったかな?」

「しばらく前から魔物増えたと言っていました、最近は向こうからの商隊が来ていないそうです」

「商業ギルドからは情報は?支部に人を派遣しているしね」

「情報は無いそうです」

「役に立たないね」

エターナリアが言うと

「だから小さいギルドなのですね」

レインが笑いながら言う


翌日準備が終りギルド職員も合流する

「エリスナ、トリスナ、マニタ、タニタ商会運営頼んだよ」

「御主人様頑張ります」

「カシタリーナ、マタリーナは屋敷の警備をお願いね」

「はい!全力で警備をします」

「妹たちもちゃんと守ってね」

「え!勿論です気遣いありがとうございます」

カシタリーナとマタリーナは涙目になる

「フレイ、ケニーは家の方頼んだよ」

「畏まりました、帰ってきたら美味しい料理を沢山作ります」

「じゃあ出発するよ」

「はい!!」


エターナリア達は討伐兼旅に出発する、5日後被害の大きさを知ることになる

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