第30話 愚かな父親の末路

詰め所に移動して、兵士達はすぐに上官を呼びに行くと

「王国兵士隊隊長ですが、本当に決闘を申し込むのですね」

「当たり前だ!」

「今ならまだ取り止め出来ますが!」

「しつこい!辞めない!!」

「相手がドラゴンバスターでも、階層主討伐するような強者でもですか?」

「何を嘘ばかり言っているんだ!そんな嘘で誤魔化されないぞ!!」

「それも了解の上で決闘を行うと言うことで良いな!」

「そんな嘘で辞めるわけ無いだろ!」

「決闘を申し込まれた方に対価の設定をする権限がある対価を見せて欲しい!」

エターナリアは2つの袋を渡し確認してもらう

「内容は相手に言うと取り消しは出来なくなるが良いかな?」

「たかが冒険者が持っている持ち金だからたかが知れている!」

「いや!物凄い大金だ!恐らくお前では払えない額だし、親類全てが破産する額だ!!本当に良いだな!」

「脅しはもう要らない!嘘ばかり言うな!!」

「王国兵士隊隊長として嘘は言っていない!」

隊長は心配して親切に言うが

「知ったことではない!!嘘尽きめ!!」

隊長はエターナリアを見て

「ずーと、この調子か?」

「そうです・・・・ここまでくると早く黙って欲しいです」

エターナリアの返事に隊長は苦笑いするが男は睨み付けてくる

「王国兵士隊隊長立ち会いの上で決闘を執り行う、決闘を了解したら、もう取り消しは出来ない!!更に対価についても変更や支払わないと言うことは出来ない!また本人が支払能力がない場合親類から王国兵士隊が強制徴収することになるが、双方良いな!」

「当たり前だ!」

男は言い

「異論はありません」

エターナリアも同意する

「対価について説明する、対価はこの金額だ!」

袋から白金大金貨と金貨を出して数え始める

「え?馬鹿な!!そんな大金あり得ない!!」

男は青ざめる

「金貨で452枚分だ!」

「嘘だろ・・・・・!この決闘無しだ!そんな大金あり得ない!!ふざけるな!!」

「決闘申し込んだ側には取り止める権限はない!更に先程約束したはずだ!」

「そんな・・・」

「決闘の武器を持て!」

男は剣を手に持ち構える、エターナリアは槍を持っている

「決闘はどちらかが死亡するか、気絶などにより戦闘不能になるまで執り行う!判定は王国兵士隊隊長が執り行う!」

隊長はそう言って両者を見ると

「はじめ!」

男は剣を振りかぶって振り下ろすが、エターナリアはかわして槍を振り払い、男を弾き飛ばす

「ギャァーー!!」

腕が砕けて転がりながら悲鳴を上げる、そしてエターナリアは槍でもう片手を砕くそして男は動かなくなって白目を剥いている

「気絶によりエターナリア殿の勝利です」

隊長はそう言ってから男を見て兵士達に起こすように命令する

「う・・・・・」

男は痛みに耐えながら目を覚まし

「うそだ・・・・・・」

嗚咽を出しながら泣き出す

「勝敗は決した!王国兵士隊は対価を強制徴収することを約束する!」

「わかりました、しかし王国貴族で何人ぐらいに影響がでるのですか?」

エターナリアの問いに隊長は苦笑いする

「あまり考えたくないですな・・・」

「そうですね、私は有名になりたくも無いですし、貴族にはなる気も無いのでどうするかですね」

エターナリアの言葉に隊長は

「冒険者を続けると言うことですね、しかしこやつの最大の財産は爵位ですから誰かに売ることは出来ないので、面倒ですね」

「例えば、貴族の次男や三男に爵位を譲る事は可能ですか?その対価に金貨をもらうとかね」

「なるほど、それは可能で、良い考えかも知れないですね」

隊長は頷く

「親類の貴族も裕福であれば徴収しても良いですが、奴隷を増やすのは良くないですよね、こんな奴のために・・・」

「そうですね、本音は奴隷に売り飛ばすのは好きではありませんが勝負は勝負です」

「そうですね、奴隷に売り飛ばす前に相談してもらえませんか?出来れば奴隷にしたくないので・・・」

「わかりました」

隊長は笑顔になる

「私達はこれで帰っても良いですか?」

「後は任せてください、出来れば明日もう一度来ていただいてもよろしいですか?」

「わかりました明日もう一度来ますね」

エターナリア達は帰ることにする


「ご主人様申し訳ありません、私の為に面倒事に巻き込まれて・・・・」

「レイン気にするな!あの親のせいでレインは苦しんだのだから」

「ありがとうございます」

「エニスごめん、恐らく1人は奴隷増えるかも知れないけど良いかな?」

「え?何故?」

「キャスカを引き取る可能性があるから」

「あ!そうだね、レインの為だから仕方ないかな!」

エニスはレインを見ながら言う


翌朝詰め所に向かい、隊長に面会を求める

「約束通り参りました」

「昨日の件だが、やはり何家かが徴収対象になる・・・当人と子供達と奥方を奴隷に売っても白金大金貨1枚にしかならない、爵位の譲渡も難しい」

「仕方ないですよね、恨みは買いたくないからな・・・・」

「お互いにそうですね」

隊長は苦笑いしている

「当人は奴隷で良いと思うけど・・・だけど他は考えてしまいますよね」

兵士が入ってきて

「家族を連れてきました」

「わかった!連れてこい」

数人の人が連れてこられる

「なんだ!この扱いは!」

「君たちの父親は決闘に負けて莫大な対価を支払う事になった!意味はわかるな!」

「え?まさか・・・そんな・・・」

みんな青ざめる

「連れてきました」

男が連れてこられる

「親父どう言うことだ!!」

「うっ・・・・」

「色々説いて辞めさせようとしたのだか言うことを聞かないで決闘をして負けた・・・はぁ、ハッキリ言ってとんでもないことになっている」

隊長はそう言うと

「どのぐらいの対価ですか?支払可能ですか?」

「ハッキリ言って無理だ!金貨にして452枚だから」

「え?・・・・まさか本当ですか?」

「だから連れてこられたと言うことだ!」

「親父!!何て事を!本当なのか!」

「すっすまん・・・」

全員崩れ落ちて泣き出す

「お前達だけではすまないのはわかるな!」

「強制徴収権ですね・・・親類にも及ぶと言うことか・・・・」

「そうだな、だが仕方ないことだ!」

「それをかわす方法は無いですよね」

「無い!王家に対しての反抗となるから無理だな」

「金貨を集める時間があれば何とか出来るかも知れないが・・・しかしその金額は無理だ」

絶望になって他のものは考えられない

「もしどのぐらいの時間があれば用意出来るとかありますか?」

「無理をしても20年あれば何とかなるかも知れないが・・・」

「わかりました、隊長20年間で回収をお願いしても良いですか?勿論借金として徐々に返すように例えば1ヶ月に金貨1枚とかね」

「それは構わないがかなり長い間かかるな!」

「条件は当人とキャスカは奴隷として売却で、当人の爵位はそこの人に継がせると言うことで!」

「なるほど、それは良い考えですがどうだろうか?」

「それが可能ならば約束します、必ず全額支払うことを!」

「約束を破ったら強制徴収で容赦はなく潰す方向で!」

「何故キャスカを奴隷に?」

「元はそいつがキャスカを奴隷に売れなかったのが元になっています、貴方達に養う余裕は無いでしょ」

「その通りだがどうして?」

「レインが心配しているから取り敢えずは買取り近くで鍛える事にする」

「レインは死んだはずだ!!」

「え?まさか知らなかったのですか?そいつがレインを奴隷にして売り飛ばした事を!」

「は?・・・・親父!!本当か!!!」

「すっすまん・・・本当だ・・・・」

「何て事だ!!恥知らず!ちょっと待てよもしかして他もなのか・・・・」

「・・・・・・・・・・」

「何て事なんだ!!親父人でなしだ!!生き恥さらすな!!!」

「ヒィーー」

男は泣き出す

「レイン入ってこい」

「はい!ご主人様!」

レインを見た兄弟は

「レイン本当なのか?」

「はい、修行から急遽呼び出されそこで無理矢理奴隷に売り飛ばされました、キャスカも奴隷商に売りに連れていかれ売れなかったので助かったようだけど・・・・」

「もしかして今回の件はこれが原因ですか?」

「その通りだが本当にその娘が奴隷にされていた事を知らなかったのか?」

「恥さらしですが全く知りませんでした・・・もしかして他の姉妹も居なくなったものは・・・」

隊長は男を見て軽蔑している

「こんなヤツが貴族なんて!!」

「こんなヤツ殺してやりたい!!」

「奴隷にして惨めな時間を与えるのが一番良いでしょう」

エターナリアの提案にみんなで同意する

「決定だな!」

みんな男を見て軽蔑する

奴隷商に男とキャスカを売却するが

「キャスカは金貨5枚で買い取りたいだが良いかな?」

「え?そんなに出してもらえるのですか?」

「勿論だ!」

「畏まりました奴隷契約の儀式を執り行います」

奴隷商人は儀式を終わらせてエターナリアを見ると

「キャスカよろしくね」

「よろしくお願いします、ご主人様」

キャスカもニッコリ笑うが手は震えている

「リリス、キャスカと一番年近いし境遇も同じような感じだから面倒を見てね」

「はい!ご主人様!」

リリスはキャスカを見てから手を繋ぐ

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