第22話 人攫いの盗賊
宿屋に戻り、王都への出発準備に取りかかる、部屋の荷物の整理と宿屋の主人に頼んでおいた地図と保存食を馬車に積込み、水や飼い葉を樽にいれて馬車の点検をする、護衛がいると襲われにくくなると言われたので、馬を二頭と革の兜を購入して馬屋で乗り方を教えてもらう事にする
翌日の朝、準備していたら、兵士が訪ねてきた
「エターナリア殿昨日の盗賊に賞金がかかっていたので、詰め所に来てください」
「わかりましたすぐに行きます」
「ケシル、ミシルは馬で一緒に来てね、練習だよ」
「はい!ご主人様」
詰め所に入ると昨日の冒険者も来ていた
「こちらが賞金です受け取りください」
「ありがとうございます」
エターナリアは受け取ると
「昨日はありがとうございます、あのままだったら奴隷として売り飛ばされていた・・・本当にありがとうございます」
「たまたま通りかかっただけだから気にしないでね」
「エターナリア殿あとあそこの武器と防具もお持ち帰りください」
エターナリアは武器と防具を見て冒険者を見ると
「冒険者さんはあの防具と武器が必要だと思うのでもらってもらえませんか?」
「え?良いのですか?」
冒険者は兵士を見ると
「好きにしてください、置いてあると処分に困るので!」
「ありがとうございます」
「あとは盗賊達の持ち物に犯罪の証拠はありませんでしたか?」
「調べましたが無いですので安心してください」
兵士はそういい笑顔になる、エターナリアは盗賊達の財布を空けて箱に出していく
「この硬貨はこの町に寄付することは出来ますか?出来れば孤児たちのためにとか人の役にたつ方法があれば良いのですが・・・・」
「本当によろしいのですか?」
兵士は驚きながらも笑顔になり、部屋を出ていくそしてしばらくして、1人の女性を連れてくる
「私はこの近くの孤児院の者です。話は聞きましたがよろしいのですか? 」
「もしこのお金で孤児が犯罪者にならなくて済むなら良いと思います、それに今は困っていないので有効に使ってもらえれば良いかなと思っています」
「本当に立派な方です、ありがとうございます」
女性は涙を流して頭を下げる
「孤児院はこの頃盗賊に狙われて我々が守っていますが、子供達の食べさせる為の費用に困っていたので助かります、人攫いがいなければ、子供達も仕事の手伝いをして食事ぐらいは出来るのですが・・・昨日の奴らがその一味の者だと思いますがまだ全部を捕まえた訳ではないので安心が出来ません」
兵士はそう言って頭を下げる
「そういう事情が有ったのですね、ではこの賞金も使ってください、孤児院の食費が足らなくなったら渡すことが出来れば一番ですけど」
「よろしいのですか?こんな大金・・・」
「冒険者は迷宮や依頼で稼げますので、人の役にたつ方が良いと思います」
兵士は部屋を出て、隊長を呼んでくる
「話は聞いた、こちらで預かり必要な時に孤児院に渡すようにする事を約束しよう!」
隊長はそう言って握手をする
「よろしくお願いします」
「こちらとしては本当に助かる、盗賊と孤児院の食事代の2つを同時に片付けてもらえて本当にありがとう」
隊長はそう言って女性を見ると女性は涙を流しながら頭を下げている
「それでは私はこれで失礼します」
「王都への旅路気を付けてな」
隊長に見送られて宿屋に戻る
「凄い仁徳者ですね」
女性はそう言うと
「強い上にあの仁徳・・・英雄に相応しいな」
隊長が呟くと
「いつかこの恩を返せるでしょうか?」
「それすら求めないかも知れないな・・・」
エターナリアの後ろ姿をただ見送る
ミシルの馬に一緒に乗って帰っていると
「ご主人様本当に賞金は全部あげてしまって良かったのですか?」
「エニスに聞かれたら怒るかもね、だけど孤児院が助かるのであればそれで良いし兵士と仲良くしておいた方が後々良いと思うよ」
「わかりました」
ミシルは微笑みながら言う、エターナリアは周りを見ていると路地裏に盗賊を見つける
「ミシルちょっと待っていてね」
エターナリアは盗賊の担いでいる袋を鑑定すると子供が入っているのを確認する
「人攫いだな・・・」
気配を消して盗賊の後を着けていくと1つの建物に入っていく、入り口に2人の見張りがいるがステータスを確認すると盗賊だった
エターナリアはミシルと合流してから宿屋に戻り、状況をエニスに相談する
「盗賊のアジトみつけたけど、どうしようか?」
「勿論叩き潰した方が良いよね」
「兵士に知らせて包囲してから潰す?」
「兵士とつるんでいるかもしれないし私達で潰しましょう」
「恨まれたくないから顔を見られないように覆面しようか?」
エターナリアの言葉にエニスは笑顔で頷く
早速黒い布を買ってきて覆面を作り黒いマントで体を覆い夜になったら強襲することにする、先にエターナリアとアニタで建物の周りを確認して逃げ道を塞ぐ事にする
「エニス達に裏口を見てもらおうか?」
「それが良いと思います」
「入り口の2人を瞬殺で倒してから侵入して片付けるようにしよ」
夜になりエターナリア達は乗り込むことにするまずは見張りをアニタとエターナリアで一気に間合いを詰めて殴り白目を剥く、そしてケシルとミシルが縛り上げる
アニタとエターナリアはジャンプして2階の窓から侵入する、そして、まずは1階にいる盗賊を片っ端から片付けて地下にいる捕らわれている子供達を確認しに行くと盗賊が1人女の子を暴行中だった
「ちょっと聞きたいだけど」
「なんだ貴様は!」
盗賊がみた瞬間に殴り、念のために両腕を折っておく[バキバギ]
「ぎゃー!!」
「他の子供は?」
少女は泣きながら指を差す
「鍵はあるかな?」
少女が指差した所に鍵があった、扉を開けて中を確認すると10人ぐらいの子供がいる、少女を中に入れようとすると1人の子供が殴りかかってくるがエターナリアは子供の手を掴み外にだして再びカギを閉める
「このやろう」
「助けに来たけどいきなり襲われるとはな」
「助けに来た?」
そして少年は盗賊を見て驚きこっちを見ると
「みんなをなぜ逃がさないの?」
「みんなで逃げると目立つし兵士が来てから保護した方が安全だからね」
「うっ!わかりました、すいません」
「じゃあちょっと手伝ってね」
「何をすれば良いですか?」
「詰め所の兵士は知っている?」
「知っています優しいので時々遊んでくれます」
「詰め所まで行って兵士を呼んできてね」
「わかりました」
少年は頷きながら言う、ミシルは盗賊を縛り上げて転がしてから一緒に一階に行くとアニタとケシルが盗賊を縛り上げていた
「兵士を呼んできてね」
少年は外に出たら走っていく
「じゃあ上も制圧しておこうか?」
「はい!」
上に上がり残りの盗賊を探す
「なんだ貴様は!!」
「とりあえずは四肢を折らせてもらいます」
「貴様!」
剣を抜き襲いかかってくるが、エターナリアは両手を折ってから股間を蹴りあげる
「次は誰がくるかな?」
「化物か!!」
外から多くの足音が近づいてくる
「来ないのならばこっちから攻撃しようかな?」
「このぉ!!!」
エターナリアは残りの盗賊の両腕をへし折りながら全員気絶させる
「ご主人様兵士が来ました」
兵士は入口に来てケシルとミシルが2階に行くように伝える
「これは!」
「隊長が来てくれたのは良かった、こいつらが人攫いの盗賊です」
「こいつらが!」
「まだ残りがいるかも知れないので気を付けてください」
兵士達は全ての部屋を回り盗賊を捕らえていく
「覆面をして怪しいが盗賊を捕らえてくれてご苦労であった」
「子供は地下にいますので保護をお願いします、地下にいる盗賊は少女を強姦していたので死より怖い思いをさせてあげてください」
「なんだと!!」
隊長は怒りに震えているが、地下に降りて子供達を見て1人の少女が泣いているのを見て外の盗賊を殴り
「覚悟しておけ!!」
怒りをぶつける
「ではこれで失礼します」
「待て賞金や褒美は要らないのか?」
「今朝と同じ様に孤児院に寄付してください」
エターナリアが言うと
「そう言う事か何故覆面を?」
「盗賊に見られて仕返しされたく無いしね、有名になるのも面倒だから、兵士で討伐したことにしてね」
エターナリアの言葉に隊長は笑いだす
「解った何か困ったことが有ったら何でも言え」
隊長は笑いながら言うと見送ってくれた
みんなと合流して宿屋に帰る事にする
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