第3話 会話
ピザを食べ、ワインを飲みながら俺たちはいろいろなことをしゃべった。
「あの小説を映画にすると受けるぞ!」
「・・・あのトーマスとかいう物書きの『衆道剣風録』?・・・やっぱり大介好きなんだ?ああいうの」
「衆道剣風録」とは俺のオンラインで連載している時代小説の題名だ。トーマスというのは18禁の小説を書くときの俺のペンネームだ。
「昔の松竹の『大菩薩峠』みたいな白黒の出だしで始まるんだ!片肌脱いだ静音(しずね:小説の主人公の美しい幼い若衆)のうなじや長い睫毛をアップして女性だと思わせる!柔らかな後ろ姿をズームアウトして、観客は若衆だったって後で驚くわけだ!殺陣はスローモーションを使って、本物の古武道の太刀筋を見せる!」
「ふーん・・・BLと剣豪小説が合わさったようなもんだね!念者の修理(しゅり)とのセックス・シーンもあるわけ?」
「あたりまえだろ!大島渚監督の『御法度』にもあっただろ!」
「あのね、ああいう趣味はコアな腐女子しか理解できないよ!まだ世間じゃメジャーじゃないんだ!」
俺は腕を組んで口を曲げて尊大に言う。
「今から・・・メジャーになるんだ!」
「あはは!今西鶴!新『男色大鑑』だね!」
「東亀と呼べ」
「と・・・うき?またオーバーな名前!どんき!・・・どんがめ!あはは!」
こんな会話をして、あいつは俺の夢を楽しそうに聞いてくれる。あいつの前ならどんなことでも実現できそうな気がする。
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