【第6話】『ある日から使えるようになった転移魔法が万能で生きるのが楽しくなりました』
「それじゃあサトルさん、ご質問をどうぞなのです」
どうにか
「リリアナさんだっけ?」
この場所に着いてからお互いに自己紹介した時の名前を思い出す。
「呼び捨てでいいのです。多分、リリーの方が年下なのです」
「わかったリリアナ。じゃあ質問だ。ここは一体
恐らくは日本ではない、俺はじっとリリアナを見るとその獣耳を見つめる。
「ここはプリストン王国のお城なのです。その地下にある儀式場の手前にある図書室なのです。リリーの部屋でもあるのです」
「…………プリストン王国……城」
その単語に聞き覚えは無い。恐らくは海を
能力の検証の結果だが、俺の転移には一度で移動できる
こうなると考えられるパターンは二つあるのだが……。
いずれにせよ聞いたことも無い国なのだ。これだけでは俺の推測を裏付けるには至らない。
「次はリリーの番なのです」
次はどんな質問が来るのだろう?
恐らく彼女は俺の
そんな場所にいたのだ。恐らくは
リリアナは俺の
「それ、何なのです?」
「……これは缶詰だけど」
見たまんまの答えを言う。
「カンヅメ?」
耳がピクピクと
「この中には果物が皮が
ガサガサと袋から取り出してリリアナに渡すと。
「ほー、へぇー、
感心して缶詰をくるくるとまわす。多分だが、家で食べようと思ってドラッグストアで買ったに
「食べてみるか?」
あまりにも
「良いのですか?」
ケモミミがピョコンと
「このぐらい別にたいした物じゃないし」
俺はプルタブを開けると缶詰の
「
はしゃぐリリアナを見ていると
「フォークは無いし……
レジ袋を
「食べて良いのです?」
「良いけど……」
流石に手で
「甘いのです、そして
リリアナは手摑みでそれを食べ始めた。
「こっちのこれは酸味が
パイナップルや
ケモミミもプルプルと
「サトルさんは食べないのですか?」
「俺はいいよ」
反射的にそう答えていた。
「とても美味しかったのですよ」
缶詰の中身を食べ終えて
「えっと……次質問良いか?」
先程から何を聞こうか
「良いのですよ、何でも聞いてほしいのです、リリーは何でも答えるのですよ」
「その尻尾と耳って
もしこの姿がデフォルトだというのなら俺の推測が真実味を帯びるからだ。
「
そう言って
「なるほど……ね」
俺はだんだんと自分の転移
獣人の存在。聞いたことの無い国名。そして能力。
いずれも生まれてこれまで聞いたことが無い。ある例外を除けばだが……。
「じゃあ次に聞きたいのだけど…………」
「サトルさんずるいのです。次はリリーが質問する番なのですよ」
確かに連続で質問してしまった。カードゲームもルールを守って楽しくプレイしようと言われている。
ここはルールに従うべきだ。
「このカンヅメについてですけど、リリーの知識ではこんな保存の仕方聞いたこと無いのです、もしかしてサトルさんは異世界──」
リリーがカンヅメを
「リリアナはいるかっ!!」
ドアが激しく
「大変なのです、ヴェルガーさんが来たのですよ」
「ヴェルガー?」
あたふたとしているリリアナ。
「こんなところ見つかったら大変なのです。ああ……
そう言って焦りながらも周囲を
この部屋で
「こうなったら……」
リリアナは立ち上がると俺の手を引く。そして机の下の空きスペースへと俺を
「えっ? ちょっと!」
俺の
「どっ、どうぞなのですよっ!」
リリアナは
乱暴にドアが開く音が聞こえる。そしてツカツカと歩く音が止まると、
「
その声にリリアナはビクリと反応したのか太ももがギュッと
「い、いいえなのです。これからやるところなのです」
「まだ終わっていないのかっ!
【画像】
「い、いえっ、決してそのようなことは無いのです。でも、
太ももで完全に固定されて動くことができない。その上、現在俺の口と鼻は柔らかい何かに押し付けられているので呼吸ができなくなっている。
「なんだ貴様? 殿下の名前を出せば俺がビビるとでも思ったか」
男の声が頭上から
「ひゃっん!」
リリアナの声がした。
「何だその声は、
俺はリリアナに気付いてほしくて両手を左右に移動させる。そして──
「んっくぅ……。い、いえ、決してそのようなことは──」
リリアナの太ももを叩く。そうすることで、挟み込んでいる太ももから解放されて、距離を取るためだ。だが……。
「──お、思って無いの、で、すよぉぉぉぉ───!」
逆に力が入り、俺の口と鼻はますます、柔らかくも温かい何かに
「だったら、すぐに作業にかかるんだな。一秒でも
頭上からはリリアナの
だが、こちらも限界が近い。俺は最後の手段に出ることにした。
「わ、わかりましたなのです。早急に作業に──えっ? ちょっと……」
焦る声のリリアナ。俺は布地に手を伸ばすと温かい物に
太ももを開かせることを
リリアナは何かを堪えるように
「ハァハァ。さ、
俺は限界を
「ふにゃぁぁぁぁ────ん」
リリアナの
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