【第5話】『ある日から使えるようになった転移魔法が万能で生きるのが楽しくなりました』
第二章 異世界のケモミミ少女
「うぅ……頭がガンガンするぞ」
意識が
「なんでこんな状態に…………?」
俺は二つの意味で
まず一つ目は。
「確か昨日は、バイトに行って何とか仕事を終わらせて、体調が悪かったから帰宅して……」
意識が
俺は自分の状態を調べてみる。服装に関しては昨日
俺は周囲を
ちなみにこれが俺が呟いた二つ目の理由だ。足元には
俺は気を失う直前がどうだったか思い出そうとするのだが……。
「
こうしているからにはワープを使ったのだと思う。
以前にも能力を使い慣れた
その時は大学であったり、アパートの
「それにしても……」
こんな石造りの場所は見たことが無い。基本的に俺の転移魔法は一度行ったことがあるところにしか移動することはできないのだが…………。
「ここは一体どこなんだ?」
見渡してみても見当がつかない。地下特有の重苦しく暗い
「……まてよ。見たことあるぞここ」
以前、能力が目覚めたきっかけとなった青白い光の輪。その先に確かにこの光景が広がっていた。
気がつけば
「とりあえず水でも飲むか」
先日よりはましになっているが、まだ体調が良くない。動けない
俺は買い物袋の中からペットボトルを取り出すと一口
「とりあえず、ここがどこかは知らないが、一度アパートに戻って休むとするか」
今はこの最悪な体調を整えるのが先決。そう判断した俺は転移魔法を発動させようとするのだが……。
──ガタンッ──
石造りの壁にはめ込まれた木の
「あれ?
「えっ?」
現れたのは中学生ぐらいの女の子だった。耳を
「あなたは誰なのです? どうやってそこに入ったのです?」
クリっとした瞳で
「あれ? もしかして言葉が通じてないのです?」
そう言って可愛らしく首を
「それでは、お茶をどうぞなのです」
あれから、
かなり広い部屋に
読書用か物書き用なのか、テーブルの上には数冊の本が並んでおり、何かの作業中なのが
その他には目立った物はなく、部屋の
「まずは自己
前開きしたローブの
「俺はサトル=カラヤマだ」
一応この名乗り方で良いだろう。相手の名前からして異国を思わせる。ひとまず相手に合せておくのが無難だろう。
何とかその言葉を
というのも、俺の視線は先程からある二点へと
「それで、どうしてあそこにいたのです? あそこは
「気付いたらいた」としか答えようがないからだ。
だが、俺はそんなことよりもどうしても聞いておかなければいけないことがある。
「その前に一つだけ聞かせて
彼女は「はいなのです」と聞き分けの良い返事をする。
俺の中で、まさかという思いと、そんなことはあり得ないという思いがぶつかる。
俺の視線がそっちに向き、彼女のそれがピクリと動きを見せる。俺は喉を一度ごくりと鳴らすと彼女に対して決定的な一言を放った。
「…………その耳と
「いいえ、本物なのですよ」
そう答えた彼女の頭部にはツンと
「というわけで、昨日は体調が最悪で意識が朦朧としてたからわからないんだ。多分寝ぼけて入り込んだとしか」
リリアナの質問に俺は何とか答える。
記憶が
「……ふむぅ、それは
そう言って尻尾を
「ちょっと待ってくれ」
「……何なのです?」
続けて質問をしようとするリリアナに待ったをかける。
このままでは質問攻めにあってしまう。
俺にしても聞きたいことは山ほどある。ここがどこなのかも知らないのだ。そんなわけで──
「
お互いに対等な関係であることを示すためにそう提案するのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます