【第3話】『ある日から使えるようになった転移魔法が万能で生きるのが楽しくなりました』
俺がポスティングの仕事を見つけたのは
食堂で転移魔法を
その時開いていたページに書かれていたのが。
『完全歩合制! 空いた時間でOK! 週1日から始められます』
ポスティングのバイト
最初。俺は、労働者の
ポスティングで一番手間が掛かるのは考えるまでもなく移動時間である。何せ、重いチラシを持ち歩かなければならないのだ。
体力も消費すれば、時間も
通常、慣れた人間でも1時間で配れるのは数百枚程度。大型マンションの集合ポストなどがある場所だと結構配れるようだが、この街の大型マンションは遠い場所にしか無い。
なので、労力のほとんどが移動時間ということになる。
一つのチラシ配りの仕事を終わらせるには早くても半日、普通の人間なら1日掛かる。慣れない人間や、チラシの配布範囲が一軒家ばかりだと2日掛かることも
だが、俺なら転移
「だけどこのバイトをするには解決しなければならない問題があった」
それが、転移の際に
「それもゲートで事前にそこに人がいないか確認することで解決した」
そんな訳で、転移魔法の利用も
「さて。それじゃあ次に配るチラシでも取りに行くか」
考えてみると、家に取りに戻れるというのは大きなメリットだ。
一枚が
俺は鼻歌を歌うと自分の家に転移するのだった。
「ただいま戻りました」
このバイトを始めてから1ヶ月が経過した。
「あらっ、いつも早いわね」
事務所に戻るとOLさんが
最初は不愛想だったのだが、毎日仕事をこなしていく内に段々と認めてくれるようになったのだ。
「結構とばして帰ってきましたから」
「事故にだけは気をつけなさいよ」
俺はアリバイ工作の
「それにしても
おかげで
「いつも思うんですけど。チラシ配りのバイトってチラシを捨てられたらどうするんですか?」
俺はもちろんそんな不正はやっていないのだが、中には配るのが
俺の当然の疑問にOLさんは──。
「唐山君はやってないだろうから説明してあげるけど、こっちで調査しているのよ。投函区域でチラシが出回ってなければ
何でもチラシのリターン率であったり、直接その区域の人間に確認したりと
実際にこの事務所でも不正をしてクビになった人間もいるらしい。
「そうだ。これが今月の給料明細書ね、確認して」
OLさんから俺は給料明細書を受け取る。
「えっ?」
「ん、どうかした?」
俺の口から
「これ…………
俺は
「うーん。合っているわね」
だが、OLさんは特に気にすることなく当然のような態度をとる。
「だ、だって。明らかに多いですよ」
その金額は今までやっていたファミレスのバイトの2倍以上。下手すると新卒の初任給よりも多いんじゃなかろうか?
「いろんなチラシを毎日配ってくれているからね。うちも唐山君の働き目当てで仕事を受けてしまってる部分もあるから単価を上げておいたのよ」
なんでも、上司に掛け合ってくれたらしい。優秀な人材なので評価してあげて
「まあ、君は
そういってフランクに
「あ、ありがとうございます」
俺は
もし、この力に目覚めることがなければ
「その分、これからの働きにも期待してるってことなんだからね」
おかげで日常生活が楽しくなった。
「
俺は転移魔法を覚えられた喜びを
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