第10話
「我ら式は上げぬ故、今うぉまえが祝え」
さっきと同じような台詞をエマはヤエにも言い、言われたヤエはニヤニヤしながらエマとマサヤを眺めて少しだけ冷やかしてから表情を改めた。
なんとなくだけど、式を挙げるって事を知っていた気がする。
まぁ、デキちゃった訳だしそうなるのか。
両親が延々と結婚せずに同居人の姿勢を貫いた事と関係があるのかないのか、エマもヤエも揃って結婚願望高めだったしな……。
「じゃあリョウ君に料理作ってもらおっか。シュン、呼んで来て」
あーもう良い、もうこの流れに乗ってしまった方が色々楽そうだ……って?リョウ?
いやいや!
待ってくれ!
あの夫婦はほんの30分前までに情事にふけってたんだぞ?
今行って色々剥き出しのまま寝てたらどうす……待てよ?その寝方の格好によってはどっちがどっちなのかって分かるんじゃ……じゃない!しっかりしろ俺!
色々一気にあり過ぎたからって、ここで俺がブッ飛んだらお終いだ。
カオスになったこの場を収める役がいないとな。
って、それは年長者であるエマかヤエが担ってくれよぉぉぉ!
そうそう、大体初恋は実らないって言うし、それをクリアーしたんだから次からは大丈夫だ、うん。
ドチキショウメ!
なんとなく足音を立てないようにして階段を上がり、これまた足音を立てないようにして廊下を歩き、いざタケの部屋のノブを掴む。よし、いくぞ。中でどんなハードなプレイが行われていようが冷静に、冷静に。
いや待て、今の心情は確実に冷静じゃなかったな。
「リョウ、ちょっと悪いんだけどー……」
おぉう……。
流石にやってる最中ではなかったし、タケに至っては寝てんだけど……その、全裸で色々剥き出しのままってちょっと酷いんじゃないか?腹が冷えるぞ?
せめて掛布団をだな……。
よし、部屋に入る所からやり直そう。
一旦部屋から出た俺は、その後中からのリアクションがあるまでノックし続けたのでしたとさ。
ちゃんちゃん♪
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