第7話
世の中には、中二病というのがある。
簡単に説明すると、極度の妄想と自己嫌悪に次ぐ構ってちゃん。
手首やらに致命傷とはかけ離れたうっすいうっすい傷を付けて、さも自分は可哀想で、苦しんで、悩んでますよーと回りにアピールしたり、怪我もしてないのにやたらと目立つ場所に包帯を巻きたがったりと、まぁ症状は色々とある。不幸自慢を平気な顔して出来たり、自分はこんなにも悪いんだ合戦をするようになったら末期と言って良い。その上、その話の大半が自分の妄想によって作り出されたホラ話だとするなら、それはもう手遅れだ。
そんな精神的な病に中二、と態々ついてるんだから、患者の多くは中二頃の思春期真っ只中だろう。
俺はその思春期の反抗期をちょっと過ぎた位の年齢だけど、何に対しても然程逆らおうという気にはなれなかったし、妄想に浸って1日を過ごす事もなかった。
言うならば、大した腕もないくせに公園という野外で堂々とギター弾いてたって事位か。もちろん今では自室内でしか弾いていない。
公園といえば、リョウの愛妻弁当を朝食として食してから登校している。
毎日同じ時間帯に弁当を食べていたら公園内に顔見知りが出来て……まぁ、ジィさんバァさん多数なんだけど……最近はギター弾きに来ないのね、なんて言われたら恥ずかしくてしょうがない。
そんな時は話しを逸らす為にチェスの相手をする。そしたらますます顔見知りが増えて……ジィさんバァさん多数……。
恋愛の兆しが見えないのも、悲しい事に健在だ。
8時頃自室に帰り、そこからギターの練習をしていると、2階からなにやら怪しい気配が漂って来るのはいつもの事。
俺が音を奏でている事に託けてあの夫婦はイチャイチャし始める訳だ。声は聞こえないものの、ベットの軋む音はガッツリ天井から聞こえてますよご両人、とでも教えれば良いのだろうか?けど、こんな生々しい音を聞かされる身としては、どっちが嫁なんだ?と大声上げて問いただしたい所ではあったりして。
知った所で気まずい事にしかならないんだろうが……好奇心とは恐ろしいって事で。
どう見に行ってやろうか?
ギターの音を止めたらどうなるのだろうか?
試しに練習ストップ。
「……」
ふむ……ある程度火が点いてしまったら止まれないらしい。
とすると、残す関門は階段を上がる音と、タケの部屋の戸を開ける事の2つ。
戸を開けるのは流石に無理か……中の音に聞き耳を立てる位の事しか出来ないか。
どっちが嫁っぽい声を発しているか?
駄目だ、なんか知らんが、とにかく駄目だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます