第5話 『知った瞬間、地獄絵図』

小学生の夏休みのことです。


友だちとふたり

地元の川で釣りをしたんですね。


そしたら

上流から

しおれた水ふうせんが流れてきたんです。


それを

釣り竿の先っぽで引っかけて

そのまま友だちに

ピュ

って飛ばしたんです。


そしたら

友だちの腕に

ってくっついて。


その

って音が

おもしろくって大笑いしたら


友だちが

投げ返して来たんです。


そしたら

ボクの足に

ぺ。


そこからは

悪ふざけがはじまって


おたがいに投げ合っては

体にくっつけて

ぺ。

ぺ。

って音がするたび

腹をかかえて大笑い。


でも子供ですから

すぐあきちゃう。


そのとき、

ふと思ったんですよね。


あれ?

この水ふうせん

なんかへんだなー。

って。


ふつうの

水ふうせんよりもね、

空気を入れる口の部分が大きいんです。


しかも、

変な輪っかのようなものもあるし。


でもそのときは

あまり深く考えず、川に流しちゃったんです。


そしたら

その水ふうせん、

川下にドンブラコって流れていきましたよ。


  ・  


それから数年して

中学生になったころにね、

こんな話を聞いたんですよ…。

  

  ・


とある公園のまわりには

防風林があって


近くの遊園地で遊んだカップルが

そこで車に乗ったままイチャイチャするそうで。


で、使用後のムードンコを

川に捨てるらしいんですよ。


で、ピンときたんです。


あの日のあの水風船。


すこし形がちがったあれ。


嗚呼…、

そーゆーことだったのか~!


と納得。

そして鳥肌。


知らなくっていいことって

あるもんなんですね…。

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