第6話 『vsカブトムシ・死闘編』

数年前、

ホームセンターに行った父が

カブトムシの幼虫をもらってきたんですよ。

無料で配っていたとかで。


で、

せっかくだから飼うことにしました。


成虫になったときは

うれしかったですねー。


立派なオスのカブトでした。


でもカブトを飼うのは

小学生のとき以来ですからね、


スイカを

あげちゃいけないなんて

新ルール、知りませんでした。


なんでもゲリするんですと。

で、昆虫ゼリーをあげてましたよ。



8月のお盆過ぎにね、

水そうをのぞくと


カブトがあおむけで暴れてるんですよ、

木のすきまにはまってしまって。


で、いったん左手の

人さし指につかまらせてから


水そうに戻そうと思ったんですが、

離れないんですよね、カブト。


それどころか

全力で抵抗して、


六本足のツメを

グイグイ指に食い込ませてくるんです。


もう痛くて痛くて。


すると今度は

指の内側がくすぐったくなって、


見れば

黄色いハケみたいな

舌ベロを出してベロベロなめてるんですよ。


きゅーきゅー音を出しながら。


なんだか

カブトのようすがおかしいなー

って気づいたんです。


それでまた

引きはがそうとするんですが

やっぱりはがれない。


そしたらそのうち指先の、

爪の境目がチクチクしはじめて、


今度はなんだよー

と思って見てみたら、


カブトのお尻から

なにかのびてるじゃないですか!


その先端が、

爪と肉のあいだに

入り込もうとしてるんです!


あッ!

アレだッ!


小学生のとき

一度だけ見たことがある、


カブトムシの

おちん〇んだッ!


ってわかったんですよ!


焦りましたよー。

まさか

人さし指が

交尾相手に選ばれるとは!


なぜか急にコワくなって、


こりゃ早く

なんとかしなきゃ、

ってことで


台所にすっ飛んで行って

割りばしを出すと、


カブトと

指のあいだに差し込んで

テコの原理でむりやり引きはがしたんです。


それでなんとか

事なきをえたんですが、


もう、

人さし指の皮はビリビリに裂けてましたよ。


カブトの力、

あなどれませんねー。


それ以来、

カブトがあお向けになっていても

素手では起こさず、

割りばしを使うようになりました。


皆さんも

気をつけてくださいよー。


けっこー

トラウマになりやすんで。

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