第2話
ぐちゃぐちゃで、バラバラなのは嫌だ。
見てて不快になる、思わず眉を寄せてしまうほど、嫌いだ。
きっちりと、そしてピッシリと。
カバンの中も、部屋も、戸棚も。
全部が全部きっちりとしてないと私は嫌だ。
そんな性格だから、私は潔癖症とよく言われるが、それは違う。
バラバラに散らかっているのが嫌なのだ。
アンバランス、非対称、ぐにゃぐにゃの文字。
そういった、規則性が無い物が、私は嫌いなのだ。
そもそも、だ。
何故人は規則性を作っているのにそれを壊そうとするのか。
規則に従うのは悪いことではないし、その規則に反抗する意味がわからない。
だが、やはり規則性をもたず、ぐにゃぐにゃの生活を送っている者もやはりいるのだ。
知らない、興味の無いものならばいい、
だけど、貴女は駄目だよ。
私が正してあげる。
貴女は私の好きな人なんだ、嫌いな要素があってはいけない。
半々になるようや中途半端な好きではないから、中途半端な嫌いになっちゃう。
それが許せない、だから私が正すの。
綺麗で、何でもできる、何より私の大好きな貴女だから。
完璧でいて、アンバランスにならないで。
嫌だ、嫌だ嫌だ、ぐにゃぐにゃのぐちゃぐちゃになりたくない!
「何で?私のこと嫌い?」
「ううん!大好き!だから貴女には完璧な私じゃなきゃいけないの!
私を壊さないで!釣り合いがあるの!
バランスがあるの!崩れたら!」
「安心して」
大切なあの人はクスリと笑った。
「ぐちゃぐちゃも、いいものだよ?
それに、ほら」
スーと、意識が遠のく、しかし、感覚は敏感に、ソレを伝え続けていた。
「やっぱり!貴女は完璧で、歪みがないから歪ませたら可愛いって思ってた!」
ああ、私は傲慢だった。
この人に、私の考えを押し付けようなど、おこがましい。
それに、もう何もかもがどうでも良かった。
私は、あの人のモノになったのだから。
「フフ、可愛い」
誤魔化す。
「私のコレクションだよ?ずっとね」
違う、違う。
そんな軽いものじゃなかった。
「あはは……」
平穏で、素敵な日常は崩れた。
もう元の関係もなにも無くなった。
「……はは、は」
何で、なんて考えたくはなかった。
何処かで間違えた関係は、きっとずっと続いていく。
大切なこの子にしたことは一生責任を持たなければならない。
「心のそこから狂えたらいいのに」
あの子の言う規則っていうのは苦手だった。でも、少しは聞いていれば良かった。
少しは、あの子を救えれば良かった。
でも、一番救えないのは……
「 」
少し肌寒い、クリスマスの夜だった。
獣 邪神ちゃん @kureijyaras
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