第47話 『ゴミ出し』

マンションの一階にある

ゴミ集積所のドアには、


『ゴミはかならず、朝の六時以降に出してください』

 

というはり紙がしてある。


当たり前の話であるが、

住人たちはそのルールをしっかり守っているようだ。


だが、

どうしても始発で出かけなければならない用事があって

朝の四時半過ぎにゴミを出しに行った。


すこし早いくらいならだいじょうぶだろう、

という気持ちもあったのだ。


生ごみの入った袋を持ち、

集積所のドアを開けた。


当然、まだ誰もゴミを出していない。


自分が一番乗りだ。


そして同時に、

なぜ住人がしっかりルールを守っているかわかった。


わかってしまった。


せまい集積所の真ん中に、

いたからだ。


ヒザをかかえた女が、

座っていたからだ。


血まみれで、

ニタニタニタニタ笑いながら、


こちらを見ている――。

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