第37話 『孤独な男・1』

夜中。


駅前の屋台でラーメンを食っていると


となりの空き地の上空に

何かが浮いている。


よく見れば

ストライプのスーツを着た男だ。


男は

ちょうど3Fあたりを

行ったり来たりしている。


すると


「お客さん、

 アイツが

 見えんの?」


湯切りしながら

オヤジが言う。


「何なの、

 あの人?」


割りバシの先で

宙に浮く男をさすと


「あそこはさ

 こないだまで

 オフィスビルが建ってたんだよ。


 しかも、

 幽霊が出るってウワサのね」


「え!

 じゃあ

 あの男って……?」


「うん。

 きっと取り残されたんだな、

 アイツだけ」


言いながら

チャーシューを1枚

追加してくれた。

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