第38話 『孤独な男・2』

Gさんは


オープンしたばかりの大型ショッピングモールで

警備員をしている。



ある夜、

冬物バーゲンの準備のため

遅くまで残業をしていた女性店員ふたりが


青い顔で警備室に飛び込んできた。


2Fフロアの天井に


人間のヒザから下がぶらさがっている、

というのだ。


わけがわからないままフロアに走ったが


それらしいものは見つからなかった。


念のために

1Fも確認してみたが


やはりなにもない。


しかし

3Fにあがったとき


そこに

不審な人物を見つけた。


――男。


上半身だけの、

男である。


腹部から下が

床にめりこんだまま


うつろな目つきで

行ったり来たりしている。


Gさんは

声をかけようとしたが


すぐに

この世のものではないと判断してやめた。


警備室に戻ると

待っていた女性店員たちに


すぐに帰宅するよう

震えた声でうながした。


女性店員たちが

2Fで見た足も


Gさんが

3Fで見た

上半身の男も


共に


センスの悪い

ストライプのスーツを

着ていたという。

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