●PE文法編Ⅲ その他どうでもいいディテール

 ◆存在、所有を表す文 áges


 存在、所有を表す文では英語のbe動詞にあたるáges アーギスという動詞が使われる。しかしここで朗報である。ágesの活用は他の動詞に比べると圧倒的に少ない。この辺ロシア語と似ている。


 áges アーギス

 ・現在形


 単数男性 áge(ag) アーギ(アーク)

 単数女性 ága アーガ

 双数 ágei アーゲイ

 複数 ágen アーギン


 現在分詞 ágeni アーギニ


 ・過去形

 単数男性 ob オープ

 単数女性 óba オーバ

 双数 ógai オーガイ

 複数 ógab オーガプ


 過去分詞 óbi オービ


 ・未来形

 単数男性 al アール

 単数女性 agál アガール

 双数 agíl アギール

 複数 ágal アーガル


 未来分詞 ágali アーガリ


 ・接続法現在


 単数 ágö アーギュ

 複数 ágön アーギュン


 ・接続法過去


 単数 ágöb アーギュプ

 複数 ágob アーグプ


 ・接続法未来


 単数 agűl アギュール

 複数 ágial アーギアル


 ・命令形


 二人称単数 ag! アーク

 二人称双数 agóits アゴイツ

 二人称複数 agíal アギーアル



 そして、もっというと「私は~です」という時は、そもそもこの動詞を使わず、ただ私+名詞と並べればいい。ここもロシア語と全くおなじである。

 例

 Äzh stúdent. エーシュ・ストゥーディント 私は学生です。


 しかしもしÄzh áge stúdent(Äzh’ag stúdent)と言っても非文にはならず、この場合「今私は学生をしている」という今を強調した言い方になる。そしてágesは英語のbe動詞と同じで、A is Bという文を書いた時AとBは両方とも主格と同じ形である。


 そしてPEは所有を表す時、英語のようなhaveにあたる動詞がないためágesから派生した前置詞gü/güaを使う。

 例

 Gü mei áges tsórne. ギューメイ・アーギス・ツォルニ

 私は(一台の)車を持っている。

 →Gü mei tsórne. ギューメイ・ツォルニ


 文の構造としては「gü/güa+名詞A(生格)+ áges+名詞B(主格)」で、AはBを持つという意味になる。

 そしてこのままだと意味が重複するので普通ágesを省略してGü mei tsorneと言う。

 このように動詞を使わない所有表現は、ロシア語やアラビア語に見られる。


 ◆再帰動詞など


 来たよ、これ。意味フなんだよな……。


 愚痴は置いといて、話を進めよう。ヨーロッパの言語では「~が自分に~させる」というような動詞を使うことがある。例えば英語でI’m interested in Japan.と言うとき、「なぜ、be interestedとかヤヤコシイ言い方するんだ???」と悩んだ方も多いだろう。日本語なら「私は~に興味がある」と言えば済むのに。

 しかし残念ながら、スペイン語やロシア語でもそれは同じである。ちょっとスペイン語を例にとろう。


 Me interesa Japón. メ・インテレサ・ハポン

 私は日本に興味があります。


 この文、なんだかヘンチクリンである。「私は」が主語なのに、どうしてme(私に)になってるんだ? と思う。

 この動詞を辞書で引くとinteresarと書いてある。そして意味は「~が~に興味を抱かせる」という意味だそうだ。「興味を抱く」ではなく「~が~に興味を抱かせる」という意味なので、主語はこの場合なんとJapón(日本)になるのだ。

 ロシア語でも似たような表現がある。「нравиться ヌラーヴィツァ(~を好きにさせる)」である。


 Мне нравится Япония.  ムニェ・ヌラーヴィツァ・イポーニヤ

 私は日本が好きです。


 なぜ日本が主語なんだ! と思うかもしれないが、そういうものなのだ。こういう場合、私は主語ではなく「私に」になって与格にしなければならない。そうしないと「日本が私に(日本を)好ませる」というこの文が崩壊してしまうからだ。

 で、もちろんPEもヨーロッパの言語である以上、再帰動詞を作ってみた。

 別にそんなに難しくはない。-esの後ろにtsをつけて-ests イスツにすれば完成である。「interéses インティレースィス、興味を抱かせる」を「interésests インティレースィスツ」にすると興味を抱くという意味で使える。

 Äzh interésests dia las kultűro Yapóna. エーシュ・インティレースィスツ・ディア・ラス・クルテュール・ヤポーナ (私は日本文化に興味がある)

 → Ku mon interéses la kultűra Yapóna.

 クモン・インティレースィス・ラ・クルテューラ・ヤポーナ(同上)


 ku/ka  ~に 前置詞 英語のto/forと似て、ku+対格で与格を作る

 dio/dia ~のために 前置詞 英語のfor dio+生格

 Yapóna(生格)> Yapón ヤポーン m.日本

 kultűro(生格)>kultűra クルテューラ f.文化


 で、もう気づいた方もいるかと思うが、この文の時制は継続的な状態なので動詞を不定形のまま使用している。

 じゃあ今現在を強調する形にしたらどうなるか。これもあまり難しくはない。「Ku mon interésia la kultűra Yapóna.」にすればいい。構造的にさっきのスペイン語とほとんど同じだ。

 

 そして次に再帰動詞。「(自分で自分を)起こす=起きる」とか「(自分で自分を)洗う=シャワーを浴びている、風呂に入っている」のような動詞を再帰動詞と呼ぶ。こういうのも作ってみよう。

 ロシア語ならмыть(洗う)をмытьсяに変え、スペイン語ならlavar(洗う)をlavarseである。ここで二つの訳が考えられる。


 Páro-tse.

 Mon báro.

 私は(私自身を)洗っている。


 páres ~を洗う → párests (自分自身を)洗う。tsのつく動詞であれば人称活用させて後ろにtseをつければ完成である。


 まあこれは正直どっちでもいいように思う。


 ⑤前置詞

 PEは前置詞が屈折する。

 もうやめて、という声が聞こえそうだが、安心したまえ。PEの前置詞は性屈折のみである。名詞の性に合わせて前置詞が屈折する。格や数には関係なく、複数の場合男性として扱う。


 基本的な前置詞一覧 左が男性、右が女性


 u/a ~で、道具 u+前置詞格=造格 英語のby

 ku/ka ~へ、方向 ku+対格=与格 ku+前置詞格=~という場所に向かって 英語のto

 nu/nia ~の上で 英語のon ▲前置詞格

 dzus/dzas ~と一緒に 英語のwith ▲前置詞格

 shin/shan ~から shin+対格=奪格 shin+前置詞格=~という場所から 英語のfrom

 em/am ~の中で 英語のin ▲前置詞格

 ru/ra ~について 英語のabout ▲前置詞格

 dio/dia ~のために 英語のfor ▲生格

 ony/onya ~なしで 英語のwithout ▲生格

 fe/fa ~を通って 英語のthrough ▲前置詞格

 gü/güa ~を持っている 所有を表す前置詞 ▲生格


 ▲の後ろに××格と書いてある場合、後続する名詞はその格で受ける。


 ◎前置詞の格支配について


 ロシア語やドイツ語同様、PEの前置詞も特定の格を要求する。

 つまり英語とは違って、byに直接carをつけてby carとはいえず、uとtsorne(車)をくっつけようとしたらu tsórnesとtsórneを前置詞格に変えなければならない。

 

 そしてもっと面倒なのが、前置詞の次に来る格によって意味が変わることである。

 例えば「学校に行こう!」は「Xídom ka las shkúlam!」になるのに対し、「学校にこの椅子を寄贈したい」という場合は「Öto jíbes ka las shkúles tsin stälon」になる。この方が分かりやすいと思ったのでとりあえずこうしてみた。PEでは基本的に前置詞がついたら前置詞格で受けるものが多い。


 tsin>tsi この、対格

 jíbes あげる、与える

 stälon>stäle m.椅子



 ⑥その他 文法あれこれ

 今まで基本的な名詞、形容詞、動詞の活用等について扱ってきたが、これ以外にも多少文法が面倒くさいところ・今まで語りそびれていた部分について書いていきたい。


 ◆冠詞の使い方


 定冠詞の使い方は基本的には英語と同じである。


 Ⅰ 既知のものを指すとき

 Gü mei tsórne. Li tsórne áge íline.

 私は車を一台もっています。(その)車はあそこにあります。


 別にこれはI have a car. The car is there.と全く同じである。


 Ⅱ 一つしかないものを指すとき


 li sólo = the sun 太陽

 la lűna = the moon 月

 li síval = the sky 空


 こういうものまぁ別に英語と大差ない。


 Ⅲ 集合的に一つとして扱う時


 これはスペイン語、フランス語などで見られる。英語では「私はコーヒーが好きだ」「私は猫が好きだ」と言う時、それぞれ「I love coffee」「I love cats」と言って、別に冠詞は要らない。

 しかしフランス語ではJ'aime le café/les chatsスペイン語ではMe encanta(n) el café/los gatosなどといい、定冠詞+名詞の複数形か単数形を用いる。

 PEでは定冠詞+単数形を採用しK’mon ádres li káfe/K’mon ádres li cháte.(またはles chatós)にしようと思う。


 ádres ~を好きにさせる

 káfe m.コーヒー

 cháte m.猫


 Ⅳ 固有名詞など


 めんどいんでパス。

 自分で決めて。(英語でもMt. Fujiは無冠詞だがThe Arakawa Riverはriverなのでtheがつくなど、名詞の性質によって慣用で決まっているので非常に面倒である)


 そうだ、普通名詞が組み合わさってできている固有名詞(The White Houseみたいなもの)は全部冠詞つけることにしよう!(錯乱)


 Ⅴ 習慣的動作を表すとき


 これに関しては英語的な方を採用するかスペイン語的な方を採用するかで悩んでいる。例えば「大学に行く」というのはxídes ka üniversítiam/xídes ka las üniversítiamという二つの表現が考えられる。英語だと特別用の無い限り冠詞を落としてgo to universityにするのに対し、スペイン語ではir a la universidadになって定冠詞がつく。

 とりあえず本稿ではスペイン語的な方を採用してあるが、まあどっちでもいいだろう。


 ***


 次に、部分冠詞。フランス語のdu/de la、英語のsome+単数のようなものだ。

 英語でeat bread(パンを食べる)と言った場合、breadというのはパンまるまる一個ではなくパンの一部である。つまり実はsome breadなわけだ。実際eat some breadとかeat a piece of breadみたいな言い方が多用される。

 フランス語では同じような状況の名詞を表す場合、基本的に部分冠詞のdu/de laを伴い英語のように名詞を無冠詞で使うことができない。du pain(パンの一部)になる。


 そしてこれはPEでも同じ。PEでは部分冠詞は基本的に生格でしか使わず、名詞も生格のまま使う。つまり「パンを食べる」は「bäne(パン)」を対格にせず、bänaのまま、Émo din bäna(私はパンを食べている)という感じで使う。つまり部分冠詞をつけてしまえば部分冠詞が格変化するので、名詞自体は格変化しなくていいのである。


 émes 食べる


 ◆否定文


 今まで無視してきたが、PEの否定構文はものすごくめんどくさい。

 理由は主に「否定冠詞」のせいである。英語にもあるじゃん、と思うかもしれないが、PEの否定冠詞はちょっと違う。


 普通、ヨーロッパの言語は否定文になると本当にただ否定を表す単語を付け加えればいいだけだ。

 スペイン語なんてものすごく簡単である。


 Hablo español.

 スペイン語話せます!

 →No hablo español.

 スペイン語話せません……


 Noをつけてるだけじゃないか、英語より楽だな。


 別にこれは他の言語でも大体同じである。唯一の例外が英語で、I don’t speak EnglishとかHe doesn’t speak Englishとかいう感じでnoがなんだか得体のしれないものとくっついてdon’tとかdoesn’tとかになる。


 で、PEでもこれを採用してみた。


 Tsídze ni xído ka’l(ka+lasの省略形) shkúlam. ツィーヅィ・ニ・ヒードゥ・カル・シュクーラム

 今日は学校に行かない。(一人称単数男性)


 →Tsídze na xída ka’l shkúlam. ツィーヅィ・ナ・ヒーダ・カル・シュクーラム

 今日は学校に行かないわ♪(一人称単数女性)


 →Tsídze nü xídoi ka’l shkúlam. ツィーヅィ・ニュ・ヒードイ・カル・シュクーラム

「「今日は学校に行かない」」(一人称双数) 


 →Tsídze nes xídom ka’l shkúlam. ツィーヅィ・ネス・ヒードゥム・カル・シュクーラム

「「「今日は学校に行かない!」」」(一人称複数)


 tsídze 今日 副詞的に使っているので格変化しない

 こういう感じで、いちいち主語に合わせてniが屈折する。


 ni 否定冠詞・男性


 ・単数

 主 ni

 生 nis

 ・双数

 主 nü

 生 nüs

 ・複数

 主 nes

 生 nes


 na 否定冠詞・女性


 ・単数

 主 na

 生 nas

 ・双数

 主 nä(nü)

 生 näs(nüs)

 ・複数

 主 nas(nes)

 生 nas(nes)


 そしてこの「否定冠詞」は、直接目的語のある文ではより冠詞らしくなる。

 フランス語やロシア語では、一部の否定構文で冠詞や名詞の格に変化が起きる。PEでも直接目的語と所有を表す文の所有される側の名詞が生格になり、もともとの冠詞に関係なく否定冠詞がつく。


 例 Gü mei tsorne/Gü mei li tsorne. ギューメイ・ツォルニ 私は車を持っている。

 →Gü mei nis tsorna. ギューメイ・ニス・ツォルナ 私は車を持っていない。


 Émo äblon/Émo l’äblon. エーム・エーブルン・エーム・レーブルン 私はりんごを食べる。

 →Émo nis äbla. エーム・ニス・エーブラ 私はリンゴを食べない。


 もう分かると思うが、本来目的語は対格になるのに否定文では生格が使われているのがややこしいところである。


 定冠詞と部分冠詞の違いが否定文になると消滅するので、以下の二つの文は否定文になると同じになる。

 Bíto din káfa. ビートゥ・ディン・カーファ 私は今コーヒーを飲んでいる。

 Bíto lin káfon. ビートゥ・リン・カーフン 私は今そのコーヒーを飲んでいる。

 →Bíto nis káfa. ビートゥ・ニス・カーファ 私は今コーヒーを飲んでいない。


 そして、これらをもしさきほどのような否定冠詞を動詞の前につける方法で否定文にすると、意味がじゃっかん変わる。


 Gü mei n‘age tsorne. 私は車を一台も持っていない。

 Gü mei n‘age li tsorne. 私はその車は持っていない。


 Ni émo äblon リンゴを一つも食べない。

 Ni émo l’äblon. そのリンゴは食べない。


 こう考えると英語と逆である。

 英語ならI eat no applesと言えばリンゴを一つも食べないということになって「一つも」を強調した形になり、I don’t eat applesと言えば普通の否定文になる。


 存在・状態を表す文が否定文になるときは、ただ単にágesの前にnをつけてn’ágesにすればいい。


 n’áges ナーギス


 単数男性 n’áge(n’ag) ナーギ(ナーク)

 単数女性 n’ága ナーガ

 双数 n’ágei ナーゲイ

 複数 n’ágen ナーギン

(以下省略)


 明日私は家にいない。

 Femáx äzh n’al chássi. フィマーフ・エーシュ・ナール・チャースィ


 femáx m.明日

 chássi 家に、副詞


 ◆時制


 これはかなり前にも説明したが、もう一度おさらいしよう。

 PEはクソみたいに人称活用が多いので、それを省略する形で人称代名詞+動詞の原型という形が発展してきた。

 しかし通常の現在形と上記の形では表す時制が微妙に異なる。


 例

 Fíro engliátson. フィール・イングリアーツン

 Äzh fíres engliátson. エーシュ・フィーリス・イングリアーツン


 両方とも「私は英語を話す」という意味だが、上は「今まさに英語を話している」という現在進行形を示すのに対して、下は「私という人間は英語が話せる・私は英語が話せる人だ」という状態を表す。

 ロシア語の不完了体・完了体の区別と似ているが、PEでは動詞の原型を使う形は時制に関係なく使うことができる。過去のことを表す場合でも、それが続いていた状態であり、なおかつ動詞の過去形が入った文節が後続していれば、動詞の原型を使ってもいい。


 例 Mei krávo áges stúdent fagm xud ku Tókio víres lon jei ándis réives.

 一年前(私が)東京に私の友達に会いに行った時、彼は学生だった。


 ku/ka ~へ、前置詞 ロシア語やドイツ語だと「~へ」を表す前置詞が幾つもあるが、面倒なのでこれ一本でいきます。

 víres 会う

 Tókio m.東京 メンドクサイのでこういう外来語の固有名詞は格変化させない!

 réives(生格か前置詞格、未定) > reiv m.年

 ándi 一つ、形容詞 名詞として使うときはánde

 jei/jai ~前に ándis réives jeiにするかjei ándis réivesにするか悩み中。


 まあ、これを見ると動詞xídesが過去形の xudになっていて明らかに過去の話だと分かるので、ágesを原型のまま使うことができる。

 ただまあ、ぶっちゃけ別に英語と同じように時制を一致させてMei krávo ob stúdent

(学生だった)にしてもいいとは思う(どうせágesという動詞の性質上状態を表すことが多いと思うし……)。

 単独で「彼は学生だった」と言いたい場合は間違いなくMei krávo ob stúdent.になる。


 ◆形容詞


 ◎形容詞について


 あんまりきちんと説明してこなかったが、PEの形容詞は全て-iで終わる。(日本語とじゃなくてロシア語と同じなんです。念のため)一部の形容詞は名詞から作られ、名詞の-eを-iに書き換えるとそのまま形容詞にできる。発音は同じである。


 válge ヴァルギ(m.白)→válgi ヴァルギ 白い


 そしてもちろん、名詞の性によって屈折する。


 válga cháska (一軒の)白い家

 válgi tsórne (一台の)白い車


 なお、形容詞は-tsi/-liで終わるものも多い。これは英語でいう-ic/-lyと同源である。(-lyについてはどちらかというと定冠詞由来かもしれない)


 ◎比較級


 だぁーーーーーめんどくせええええええええええええええええええええええ

 ということで、形容詞の前にpei(もっと)をつければ完成。終わり

 例

 Tsa cháska áge pei páni ílas chásko.

 この家はあの家より大きい。


 主語+pei+形容詞+比較対象(生格)という構造。最上級はpei+定冠詞+形容詞。


 スペイン語とほとんど同じとはいえ適当すぎんだろ……


 △補足。

 スペイン語の比較級は一部の形容詞を除き、形容詞自体の形が変化しない。

 例えばfácil(簡単な)をmás fácilにすれば終わりである。かなり楽。


 △補足。2


 2015年9月16日現在、南部方言を作っている。比較級がより複雑になる。


 ・CaCiという形容詞の場合

 fali→affeli

 pani→appeni


 ・CiCi

 fichi→afeichi


 ・CoCi

 tormi→tormie/tormei


 ・借用語の場合

 tsochali→pei tsochali


 ◆名詞


 ◎双数・複数について

 名詞の双数形なんていつ使うんだ、と思った諸君。

 ヨーロッパの言語では、二つでワンセットのものを複数形で扱うことがあるときがあるのをご存じだろうか。

 一番分かりやすいのは英語のglasses(眼鏡)である。眼鏡はレンズが二個で一セットである。他にもスペイン語のpantalones(ズボン)も常に複数で扱う。ズボンは二またに分かれているからだ。

 というわけで、PEでもこういうのは双数形で扱う。


 bríla ブリーラ(眼鏡、単数形 使われない)→brűlla ブリューラ(眼鏡、双数 普通これを使う)ドイツ語からの借用語(パクリ)

 ドイツ語だと単数なのに、PEだと双数で使う。アラビア語でbankの複数形がbunuukになるようなものだと思ってくれぃ

 prána プラーナ(ズボン、単数形)→prónna プローナ(ズボン、双数)


 一つのズボン、というときはándi(一つの、形容詞)をándü prónnaと双数形にすればよし。


 常に複数で使う名詞は「sheimí シェイミー(時計)」や「lődíレーディー(人々)」などがあげられよう。


 ◎接尾辞


 名詞の後ろにつく接尾辞はPEにも多い。代表的なのが-isho イーシュで、例えばbeses(書く)という動詞の後ろにつければbesisho(ペン)になる。この辺はロシア語やスペイン語と大差ない。-ishoには「小さいもの」という意味もあり、dinya(花)につければdinyísha(小さな花)というような指小辞にもなる。


 -inyo する人 práges(働く) pragínyo(労働者)

 -if する人 bíze(魚) bizíf(漁師)


 他にも造語するのにいくつか接尾辞を作った。

 ・-ria 集合名詞につく接尾辞

 ・-ia/-ide 動詞を名詞化する接尾辞、まだこの二つの違いは決めてない♪

 ・-mi 動詞を形容詞化する接尾辞


 ◎一部の名詞の活用語尾


 PEは実際に発音してみると活用語尾が多く、格の一致のせいで同じ子音の発音が連続する。実に面倒だ。というわけで、会話では一部の末子音が落ちるということにしてみた。


 ・krávon(クラーヴン、友達を)やäblon(エーブルン、リンゴを)等、男性名詞の対格の後ろの-nが脱落。krávoに関しては主格と同じ発音になる。


 ・男性名詞の前置詞格・女性名詞の対格である-esも後ろの-sが落ちて-eになる。こうなると男性名詞の前置詞格はロシア語の前置詞格とほぼ同じ発音になる。


 ちなみにこれは、スペイン語の口語でsが脱落する現象をもとにしてみた。


 ◆綴りについて


 ◎不規則な綴り

 -vで終わる名詞は主に一音節しかない名詞で、生格になると消えていたvが再び出現する。

 例 freiv(実際の発音はfrei) フレイ m.夏 主格

 → fréiva フレイヴァ 夏の


 fägl(フェール、誰)も、活用すると消えていたgが復活する。

 例 fägli フェークリ 誰の


 ◎エリジオン

 あと今まで説明してこなかったが、’(アポストロフィ)を使って綴りを省略することも多々ある。

 例えばku mon(僕に)とかka me(アタシに)はよく使うので、母音が落ちてk’monとかk’meとかになりそうである。英語のCome on!みたいな発音だな……。

 冠詞に関しても、äble(リンゴ)は母音で始まるのでl’äbleみたくくっつきそうなもんだ。


 ◎アクセント


 今までご丁寧にアクセントを全部ふってきたが、実際の綴りでは明らかにそれと分かるものを除いてアクセントをふらない方がいいんじゃないかと思う。

 例えばflába(雲)なんて、単数形なら音節構造的に絶対にflaのところにアクセントがくるはずである。複数形になったときだけアクセントをふればいいのかもしれない。

 ただ、人称代名詞の活用形は一部定冠詞と形が同じになるので、人称代名詞にはアクセントをふり、定冠詞にはふらないという方向で行きたい。

 例えばlés(彼について 前置詞格)とles(男性・女性定冠詞 複数・主格)の違いをアクセントのあるなしで表記するわけだ。


 つまりまとめると、


 ・動詞

 ・名詞の双数・複数

 ・人称代名詞

 ・例外的な名詞のアクセント


 この四つ以外はアクセントなしにしても分かるので、表記しなくても構わないだろう。


 ***


 こんなもんかな。

 文法に関する説明は、また地道に補足していこうと思う。筆者自身書いてる時発狂しそうになっていた。衒学しようとした結果、自分の頭の悪さを露呈してしまったかもれしれない。

 こんな長い説明誰も読みたくないかもしれないが、訂正や意見があったらよろしく。


 まあ、今まで散々こんな七面倒くさいことをやってきたわけだが、実はこれだけヨーロッパの言語らしくしようとしてきたのにはわけがある。

 PEの文法の性質はあくまでもヨーロッパの言語と酷似しているので、ヨーロッパのどこかの言語に沿ってPEに翻訳するだけで慣用句だろうが何だろうが作れてしまう。

 普通、人工言語を作るときは「その言語的な表現」を一から作らなければならないのだが、PEはその必要がない。

 なんなら英語でもいい。「北風と太陽」を翻訳してみよう。


 The North Wind and the Sun were disputing which was the stronger, when a traveler came along wrapped in a warm cloak.

(ある旅人が暖かい外套に身を包んでやってきた時、北風と太陽はどちらか強いか言い争っていました)


 PE訳

 Li nori vedro ia li solo stébarb fi ob pei (li) borti, fagm füginyo pab line, kulbi em shaxlis grates.


 nóri 北の、形容詞(sápiも)

 ia ~と

 stébarb>stebes 言い争う

 fi どれ、どちら

 ob>ages be動詞、単数過去

 pei  より、もっと 英語のmore

 borti 強い

 fagm いつ

 füginyo 旅人 >füges 旅する

 pab>pes 来る、過去形(三人称単数)

 líne そこに

 kúlbi>kules to wrap  ここで死んだ

 em  英語のin

 sháxli 温かい

 grat m.コート


 ちょっとだけ違うがほぼ一対一で対応している。というかわざとそういう感じで訳した。ほぼ一対一で訳せば構文を弄らなくていいので楽じゃねwwwwという話だ。

 あいさつを作ってみよう。


 Nax! ナーフorナーハ! やあ! naxi(良い)から。

 Prázho! プラージュ! すみません、失礼します

 Gits ギーツ はい

 Nag いいえ

 Naxi dziv ナーヒ・ヅィー こんにちは(「良い日」の意味)

 Naxi max ナーヒ・マーフ おはよう(「良い朝」の意味)

 Naxa nacha ナーハ・ナーチャ おやすみ(「良い夜」の意味)

 Mei nome _. Fichi vires vän/vin. メイ・ノーミ(自分の名前)。フィーチ・ヴィーリス・ヴェン・ヴィン。 私の名前は()です。お会いできてうれしいです。


 うーん、なんかそれっぽくなってきた。エイプリルフールにぴったりだ。さぁ、みんなもこういう感じでヨーロッパ人を騙そう!(ゲス顔)

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