●PE文法編Ⅱ 普通名詞、代名詞、冠詞、形容詞、動詞の活用編

 ①普通名詞

 普通名詞の格変化から決めていきたい。

 PEは男性名詞が四種類、女性名詞も四種類の変化のパターンがある。

 一番変化の激しいパターンⅠから見ていこう。


 ◆パターンⅠ 男性名詞 vats /vɑ́ːts/ 父


 ・単数

 主 vats /vɑ́ːts/ ヴァーツ

 生 vátsa /vɑ́ːtsə/ ヴァーツァ

 対 vátson /vɑ́ːtsun/ ヴァーツン

 前 vátses /vɑ́ːtsis/ ヴァーツィス

 呼 vátse /vɑ́ːtsi/ ヴァーツィ

 ・双数

 主 väts / vɛ́ːts/ ヴェーツ

 生 vätsa /vɛ́ːtsə/ ヴェーツァ

 対 vätson /vɛ́ːtsun/ ヴェーツン

 前 vätses /vɛ́ːtsis/ ヴェーツィス

 呼 vätse /vɛ́ːtsi/ ヴェーツィ

 ※äの上にアクセント記号が乗せられないのでとりあえずアクセント無しで書いていますが、アクセントは一番目の音節にあります。

 ・複数

 主 vetsó /veːtsóː/ ヴェーツォー

 生 vetsá /veːtsɑ́ː/ ヴェーツァー

 対 vetsón /veːtsóːn/ ヴェーツォーン

 前 vetsés /veːtséːs/ ヴェーツェース

 呼 vetsé /veːtséː/ ヴェーツェー


 パターンⅠ 女性名詞 kúla /kúːlə/ 山


 ・単数

 主 kúla /kúːlə/ クーラ

 生 kúlo /kúːlu/ クール

 対 kúles /kúːlis/ クーリス

 前 kúlam /kúːləm/ クーラム

 呼 kúle /kúːli/ クーリ

 ・双数

 主 kűla /kýːlə/ キューラ

 生 kűlo /kýːlu/ キュール

 対 kűles /kýːlis/ キューリス

 前 kűlam /kýːləm/ キューラム

 呼 kűle /kýːli/ キューリ キュウリみたいだな

 ・複数

 主 kolá /koːlɑ́ː/ コーラー

 生 koló /koːlóː/ コーロー

 対 kolés /koːléːs/ コーレース

 前 kolám /koːlɑ́ːm/ コーラーム

 呼 kolé /koːléː/ コーレー


 これを書くだけで一時間ぐらいかかったような……

 この一覧を見ていただくと分かると思うが、一つの名詞につき十五個も活用形がある。

 こんな言語勉強したくないお(^ω^)と思うかもしれないが、呼格は主格の母音を落として-eを付け加えているだけなので、実際はロシア語と同じ十二個である。それでも多いが。


 さて、パターンⅠの特徴は、語幹の母音がウムラウトを起こして複数形になることである。単数・双数・複数でa→ä→e、u→ü→oの三段階の変化を起こす。この辺ドイツ語と似るが、PEはさらに激しい。

 それに加えて複数形になるとアクセント移動を起こし、後ろの音節にアクセントが移るのはロシア語に似ているかもしれない。

 だがこの時、両方とも長母音になるのがPEの最大の特徴である。vetsóとkoláはスウェーデン語のanden /an˧˩dɛn˥˩ / 'the spirit' と酷似したアクセントになり、中国語(北京語)の四声が連続したように発音される。

 同じような発音の名詞を同じように活用させれば、新しい単語の活用も作れる。

 例えば、shkúla シュクーラ 「学校」は、パターンⅠの女性名詞と同じ活用になる。


 ・単数

 主 shkúla /ʃkúːlə/ シュクーラ

 生 shkúlo /ʃkúːlu/ シュクール

 対 shkúles /ʃkúːlis/ シュクーリス

 前 shkúlam /ʃkúːləm/ シュクーラム

 呼 shkúle /ʃkúːli/ シュクーリ

 ・双数

 主 shkűla /ʃkýːlə/ シュキューラ

 生 shkűlo /ʃkýːlu/ シュキュール

 対 shkűles /ʃkýːlis/ シュキューリス

 前 shkűlam /ʃkýːləm/ シュキューラム

 呼 shkűle /ʃkýːli/ シュキューリ 

 ・複数

 主 shkolá /ʃkoːlɑ́ː/ シュコーラー

 生 shkoló /ʃkoːlóː/ シュコーロー

 対 shkolés /ʃkoːléːs/ シュコーレース

 前 shkolám /ʃkoːlɑ́ːm/ シュコーラーム

 呼 shkolé /ʃkoːléː/ シュコーレー


 ◆パターンⅡ 男性名詞 äble /ɛ́ːbli/ エーブリ リンゴ


 ・単数

 主 äble /ɛ́ːbli/ エーブリ

 生 äbla /ɛ́ːblə/ エーブラ

 対 äblon /ɛ́ːblun/ エーブルン

 前 äbles /ɛ́ːblis/ エーブリス

 呼 äble /ɛ́ːbli/ エーブリ

 ・双数

 主 áibli /áibli/ アイブリ

 生 áiblai /áiblai/ アイブライ

 対 áiblin /áiblin/ アイブリン

 前 áiblis /áiblis/ アイブリス

 呼 áible /áibli/ アイブリ

 ・複数

 主 aiblí /aiblíː/ アイブリー

 生 aiblái /aiblái/ アイブライ

 対 aiblín /aiblíːn/ アイブリーン

 前 aiblís /aiblíːs/ アイブリース

 呼 aiblé /aibléː/ アイブレー


 パターンⅡ 女性名詞 kána /káːnə/ カーナ 手


 ・単数

 主 kána /káːnə/ カーナ

 生 káno /káːnu/ カーヌ

 対 káne /káːni/ カーニ

 前 kánei /káːnei/  カーネイ

 呼 káne /káːni/ カーニ

 ・双数

 主 kónna /kóːnə/ コーナ

 生 kónno /kóːnu/ コーヌ

 対 kónnas /kóːnəs/ コーナス

 前 kónnam /kóːnəm/ コーナム

 呼 kónne /kóːni/ コーニ

 ・複数

 主 konnár /koːnɑ́ːr/ コーナール

 生 konnór /koːnóːr/ コーノール

 対 konnás /koːnɑ́ːs/ コーナース

 前 konnám /koːnɑ́ːm/ コーナーム

 呼 konnáre /koːnɑ́ːri/ コーナーリ


 パターンⅡはダブっている箇所も多く、さきほどよりは活用形の数が減っている。

 特に男性名詞のäbleは双数áibliと複数aiblíでアクセントが違う以外ほぼ活用形が同じである。双数と複数が磨滅する途上にあると考えられる。

 しかしいずれにせよ語幹に母音交替が起き、ä→ai、a→oなどという面倒な変化を起こすというのがパターンⅡの特徴である。äとaiは近い母音で変化しているが、aからoでは全く違う母音だ。語幹にaが来るものはoに、oが来るものはa、e→ö、i→üになるという規則になっている。kánaでは複数形のみにrがつき、発音上には反映されないが直後の子音が重ねられる。例えばklóma クローマ「部屋」を複数形にすると、語幹の母音がaになってklámmaクラーマ klammár クラーマールになる。(これは直後の子音が二重子音でない場合に限られる)

 パターンⅡ 男性名詞 bíze /bíːzi/ ビーズィ 魚

 以下参考までに、パターンⅡ 男性名詞 bíze /bíːzi/ ビーズィ 「魚」の格変化。


 ・単数

 主 bíze /bíːzi/ ビーズィ

 生 bíza /bíːzə/ ビーザ

 対 bízon /bíːzun/ ビーズン

 前 bízes /bíːzis/ ビーズィス

 呼 bíze /bíːzi/ ビーズィ

 ・双数

 主 béizi /béizi/ ベイズィ

 生 béizai /béizai/ ベイザイ

 対 béizin /béizin/ ベイズィン

 前 béizs(béizis) /beis/ か/beizis/ ベイスないしベイズィス

 呼 béize /béizi/ ベイズィ

 ・複数

 主 beizí /beizíː/ ベイズィー

 生 beizái /beizái/ ベイザイ

 対 beizín /beizíːn/ ベイズィーン

 前 beizís /beizíːs/ ベイズィース

 呼 beizé /beizéː/ ベイゼー

 →魚は基本的に単数(部分冠詞のついた生格)で使われるが、種類を強調するとき複数になる。「牛乳」や「塩」といった単語も、「○○産、××産、△△産牛乳の三種類の牛乳」とか言うときは複数で扱うこともできる。


 ◆パターンⅢ 男性名詞 krávo /krɑ́ːvu/ クラーヴ 友達


 ・単数

 主 krávo /krɑ́ːvu/ クラーヴ

 生 kráva /krɑ́ːvə/ クラーヴァ

 対 krávon /krɑ́ːvun/ クラーヴン

 前 kráves /krɑ́ːvis/ クラーヴィス

 呼 kráve /krɑ́ːvi/ クラーヴィ

 ・双数

 主 krávos /krɑ́ːvus/ クラーヴス

 生 krávai /krɑ́ːvai/ クラーヴァイ

 対 krávu(krav) /krɑ́ːvu, krɑ́ːf/ クラーヴ、クラーフ

 前 krávis(kravs) /krɑ́ːvis, krɑ́ːfs/ クラーヴィス、クラーフス

 呼 krávose /krɑ́ːvusi/ クラーヴスィ

 ・複数

 主 kravós /krɑːvóːs/ クラーヴォース

 生 kravái /krɑːvái/ クラーヴァイ

 対 kravú /krɑːvúː/ クラーヴー

 前 kravís /krɑːvíːs/ クラーヴィス

 呼 kravóse /krɑːvóːsi/ クラーヴォースィ


 同上、パターンⅢ 男性名詞 táme /tɑ́ːmi/ ターミ 教会


 ・単数

 主 táme /tɑ́ːmi/ ターミ

 生 táma /tɑ́ːmə/ ターマ

 対 támon /tɑ́ːmun/ タームン

 前 támes /tɑ́ːmis/ ターミス

 呼 táme /tɑ́ːmi/ ターミ

 ・双数

 主 támos /tɑ́ːmus/ タームス

 生 támai /tɑ́ːmai/ ターマイ

 対 támu /tɑ́ːmu/ ターム

 前 támis /tɑ́ːmis/ ターミス

 呼 támose /tɑ́ːmusi/ タームスィ

 ・複数

 主 tamós /tɑːmóːs/ ターモース

 生 tamái /tɑːmái/ ターマイ

 対 tamú /tɑːmúː/ タームー

 前 tamís /tɑːmíːs/ ターミース

 呼 tamóse /tɑːmóːsi/ ターモースィ


 パターンⅢ 女性名詞 cháska / t͡ʃɑ́ːskə~t͡ʃɑ́skə/ チャスカ、チャースカ 家


 ・単数

 主 cháska /t͡ʃɑ́skə/ チャスカ

 生 chásko /t͡ʃɑ́sku/ チャスク

 対 cháske /t͡ʃɑ́ski/ チャスキ

 前 cháskei t͡ʃ/ɑ́skei/ チャスケイ

 呼 cháske /t͡ʃɑ́ski/ チャスキ

 ・双数

 主 chéskax /t͡ʃéːskəx/ チェースカフ

 生 chéskox /t͡ʃéskux/ チェースクフ

 対 chéskäs /t͡ʃéskəs/ チェースカス

 前 chéskäm /t͡ʃéskəm/ チェースカム

 呼 chéskaxe /t͡ʃéskəxi/ チェースカヒ

 ・複数

 主 cheskáx /t͡ʃeːskɑ́ːx/ チェースカーフ

 生 cheskóx /t͡ʃeːskóːx/ チェースコーフ

 対 cheskäs /t͡ʃeːskɛ́ːs/ チェースケース

 前 cheskäm /t͡ʃeːskɛ́ːm/ チェースケーム

 呼 cheskáxe /t͡ʃeːskɑ́ːxi/ チェースカーヒ


 パターンⅢでは、パターンⅡよりも更に双数形と複数形の違いがなくなり、男性名詞ではもはやアクセントのみでしか発音が区別されなくなる。語末の母音が-oないし-eである場合、ほとんどの男性名詞はパターンⅢになるだろう。

 女性名詞に関しては、複数形になると語幹の母音がaとeの場合eに、uとoの場合にoになる。つまりもともと語幹にくる母音がe、oであればそもそも語幹の母音は変化しない。例えば「国、地域」はdzónia ゾーニアだが、これは複数形になるとdzoniáxゾーニアーフ、ゾニアーフになるだけである。(もっというとこの後登場するパターンⅣと変化形が被る部分が多いので、しばしば混同される)


 ◆パターンⅣ 男性名詞 stúdent /stúːdint/ ストゥーディント


 ・単数

 主 stúdent /stúːdint/ ストゥーディント

 生 stúdenta /stúːdintə/ ストゥーディンタ

 対 stúdenton /stúːdintun/ ストゥーディントゥン

 前 stúdentes /stúːdintes/ ストゥーディンティス

 呼 stúdente /stúːdinti/ ストゥーディンティ

 ・双数

 主 stúdenti /stúːdinti/ ストゥーディンティ

 生 stúdentai /stúːdintai/ ストゥーディンタイ

 対 stúdentin /stúːdintin/ ストゥーディンティン

 前 stúdentis /stúːdintis/ ストゥーディンティス

 呼 stúdente /stúːdinti/ ストゥーディンティ

 ・複数

 主 studénti /studéːnti~ studénti/ ストゥデーンティ、ストゥデンティ

 生 studéntai /studéntai/ ストゥデンタイ

 対 studéntin /studéntin/ ストゥデンティン

 前 studéntis /studéntis/ ストゥデンティス

 呼 studénte /studénte/ ストゥデンティ


 パターンⅣ 女性名詞 ísta /íːsta~ísta/ イスタ 町


 ・単数

 主 ísta /ístə/ イスタ

 生 ísto /ístu/ イストゥ

 対 íste /ísti/ イスティ

 前 ístei /ístei/ イステイ

 呼 íste /ísti/ イスティ

 ・双数

 主 ístax /ístəx/ イスタフ

 生 ístox /ístux/ イストゥフ

 対 ístas /ístəs/ イスタス

 前 ístam /ístəm/ イスタム

 呼 ístaxe /ístəxi/ イスタヒ

 ・複数

 主 istáx /istɑ́ːx/ イスターフ

 生 istóx /istóːx/ イストーフ

 対 istás /istɑ́ːs/ イスタース

 前 istám /istɑ́ːm/ イスターム

 呼 istáxe /istɑ́ːxi/ イスターヒ


 パターンⅣは最も単純な格変化で、名詞のほとんどはこれに属する。そしてパターンⅣの「先生」や「学生」のような男性名詞、つまり女性名詞としての形を持ちうる。

 以下、stúdentia /stúdintiə/ ストゥーディンティア 女学生の活用。


 ・単数

 主 stúdentia /stúːdintiə/ ストゥーディンティア

 生 stúdentio /stúːdintiu/ ストゥーディンティウ

 対 stúdentes /stúːdintis/ ストゥーディンティス

 前 stúdentes /stúːdintiəm/ ストゥーディンティアム

 呼 stúdente /stúːdinti/ ストゥーディンティ

 ・双数

 主 stúdenti /stúːdinti/ ストゥーディンティ

 生 stúdentai /stúːdintai/ ストゥーディンタイ

 対 stúdentin /stúːdintin/ ストゥーディンティン

 前 stúdentis /stúːdintis/ ストゥーディンティス

 呼 stúdente /stúːdinti/ ストゥーディンティ

 ・複数

 主 studénti /studéːnti~ studénti/ ストゥデーンティ、ストゥデンティ

 生 studéntai /studéntai/ ストゥデンタイ

 対 studéntin /studéntin/ ストゥデンティン

 前 studéntis /studéntis/ ストゥデンティス

 呼 studénte /studénte/ ストゥデンティ


 もう気づいたと思うが、双数、複数は男性名詞と活用形が全く同じである。このようにPEの名詞は複数形になると性差が消失する。


 ***


 さて、今まで不毛な作業をひたすらしてきたわけだが、こうやって一度名詞の活用の種類を決めてしまえば、あとはどんな単語が出てきても上の四つのパターンのどれかにあてはめればいいだけなので楽だ。

 たとえばéntsa エンツァ「机」という単語を作ったとして、女性名詞パターンⅣにすれば複数形はenstáx エンツァーフになるという具合だ。他もzhúma ジューマ「雨」なら女性名詞パターンⅢとか、shkal シュカール「犬」なら男性名詞パターンⅠ(面倒くさければパターンⅣ)とか、そういう感じで綴り的に推測して作っていけばいい。


 ②代名詞


 一口に代名詞といっても、人称代名詞や指示代名詞、疑問代名詞などがある。


 ◆人称代名詞


 前述での通り、PEの人称代名詞は非常に多い。

 以下、書きならべてみた。


 ・主格


 一人称

 äzh エーシュ 単数・男性 僕

 zhia ジーア、ジア 単数・女性 私

 üzh ユーシュ 双数 私たち二人

 zhi ジー 複数 私たち


 二人称

 tu トゥー 単数・男性 貴男

 ta/tia ター・ティア 単数・女性 貴女

 vü ヴュー 双数 あなたたち二人

 vi ヴィー 複数 あなたたち


 三人称

 xul フール 単数・男性 彼

 xúla フーラ 単数・女性 彼女

 xűli ヒューリ 双数 彼ら二人

 xolí ホーリー 複数 彼ら


 いやー、十二個もあるなんて覚えるの大変だなぁ。

 と思ったアナタに悲報。五つの格によって屈折するので、無論主格だけで終わりではない。


 ・生格、単数男性


 mei 一人称単数 私の

 tei 二人称単数 あなたの

 lei 三人称単数 彼の・彼女の

 ei 一人称双数 私たち二人の

 vei 二人称双数 あなたたち二人の

 xei 三人称双数 彼ら二人の

 zhai 一人称複数 私たちの

 vai 二人称複数 あなたたちの

 xai 三人称複数 彼らの


 お、男性と女性の違いがなくなって九個か。ちょっと数が減って安心した。

 と思ったあなたにさらに悲報。これは男性名詞を修飾する時で、他にも名詞の種類によって四パターンに形を変えるので9×4=36個ある。

 △補足

 おそらくmeis/mein/meisになるが、後ろに来ている単語が母音で始まらない限りは発音されないというルールを設けた。2017年4月


 ・生格、単数女性

 ma 一人称単数 私の

 ta 二人称単数 あなたの

 la 三人称単数 彼の

 a 一人称双数 私たち二人の

 va 二人称双数 あなたたち二人の

 xa 三人称双数 彼ら二人の

 zha 一人称複数 私たちの

 va 二人称複数 あなたたちの

 xa 三人称複数 彼らの


 ・要は「私の家」と言いたい場合、「家」はchaskaで女性名詞なので、mei chaskaとは言えず、ma chaskaになるわけだ


 双数

 mü 一人称単数 私の

 tü 二人称単数 あなたの

 lü 三人称単数 彼の

 ü 一人称双数 私たち二人の

 vü 二人称双数 あなたたち二人の

 xü 三人称双数 彼ら二人の

 zhü 一人称複数 私たちの

 vü 二人称複数 あなたたちの

 xü 三人称複数 彼らの


 複数

 mes 一人称単数 私の

 tes 二人称単数 あなたの

 les 三人称単数 彼の

 es 一人称双数 私たち二人の

 ves 二人称双数 あなたたち二人の

 xes 三人称双数 彼ら二人の

 zhes 一人称複数 私たちの

 ves 二人称複数 あなたたちの

 xes 三人称複数 彼らの


 これはひどい。


 まあ、被っている活用もあるので実際は三十六個よりじゃっかん減る。それでも面倒なことに変わりはない。

 第一、「私たち二人の」とかっていつ使うんだよ……親が子供の話するときぐらいしかなくね……

(実はこれで悲劇は終わらない、詳しくは後述)


 ・対格


 mon 一人称単数男性 僕を

 me 一人称単数女性 私を

 ton 二人称単数男性 貴男を

 te 二人称単数女性 貴女を

 lon 三人称単数男性 彼を

 le 三人称単数女性 彼女を

 än 一人称双数 私たち二人を

 vän 二人称双数 あなたたち二人を

 xän 三人称双数 彼ら二人を

 zhin 一人称複数 私たちを

 vin 二人称複数 あなたたちを

 xin 三人称複数 彼らを


 ・前置詞格


 mes 一人称単数男性 僕について

 mam 一人称単数女性 私について

 tes 二人称単数男性 貴男について

 tam 二人称単数女性 貴女について

 les 三人称単数男性 彼について

 lam 三人称単数女性 彼女について

 äs 一人称双数 私たち二人について

 väs 二人称双数 あなたたち二人について

 xäs 三人称双数 彼ら二人について

 zhes 一人称複数 私たちについて

 ves 二人称複数 あなたたちについて

 xes 三人称複数 彼らについて


 生格と活用が被る箇所が出てきているが、ヨーロッパの言語では屈折した結果活用が被るものも多く見られるのでこれぐらいは別に普通である。


 ・呼格


 一応呼格も作ったが、ほとんど使うことはないと思うのでtee(実際の発音はte) 二人称単数「あなたよ!」とか「vee(実際の発音はve) 二人称複数 あなたたちよ!」ぐらいでいいと思う。そもそもラテン語でも人称代名詞の呼格は主格と形が同じである。


 ◆指示代名詞、疑問代名詞


 活用書くのがだるい。


 指示代名詞

 tsio ツィーウ これ → tsi ツィー この → tsíne ここ

 ílio イーリウ あれ → íli イーリ あの → íline, líne あそこ、そこ


 疑問代名詞

 fo フォー 何 fei 何の

 fíne フィーニ どこ

 fio フィーウ どれ → fi フィー どの

 fagm(実際の発音はfam) ファーム いつ

 fägl(実際の発音はfäl) フェール 誰

 fági ファーギ どれぐらい

 fági pónyi/fapónyi ファーギ・ポーニ ファポーニ いくつ

 diofei, diof ディウフェイ、ディーウフ なぜ


 なお、指示代名詞も疑問代名詞も後ろが-iで終っているものは格変化する。

 そして無論、「これ」や「あれ」、「何」「誰」といった単語も名詞である以上屈折する。変化は書くのがだるいんで許してちょ。


 ③定冠詞、部分冠詞、そして形容詞


 ここでようやく定冠詞の格変化について触れるわけだが、ドイツ語の定冠詞+フランス語の定冠詞のチャンポンみたいな感じになった。

 以下、ご覧いただきたい。


 li 定冠詞・男性


 ・単数

 主 li

 生 lis

 対 lin

 前 lis

 ・双数

 主 lü

 生 lüs

 対 lün

 前 lüs

 ・複数

 主 les

 生 les

 対 len

 前 les


 la 定冠詞・女性


 ・単数

 主 la

 生 las

 対 las

 前 las

 ・双数

 主 lä(lü)

 生 läs(lüs)

 対 läs(lün)

 前 läs(lüs)

 ・複数

 主 las(les)

 生 las(les)

 対 las(len)

 前 las(les)

 呼格はない。もしどうしても使いたいときは、主格と同じ形になる。


 見ていただけると分かると思うが、男性定冠詞の活用はほとんどドイツ語の丸パク……フランス語のようなドイツ語のような感じである。しかし双数形があり活用が多くなっている。そして女性定冠詞に関してはほとんど斜格(主格以外の格)の活用形が同じである。ただ定冠詞に関しては双数形、複数形に関しても性差が生きている。

 そもそも名詞がかなり格変化するので、冠詞はあんまり格変化しなくてもいいんじゃないかと思った結果こうなった。


 そして定冠詞の格変化を決めたことによって、この変化表にあてはめれば形容詞の活用も作り出すことができる。この辺ドイツ語と似ている(ドイツ語では冠詞の語尾と形容詞の語尾は完全に同じではない)。

 例えばpáni パーニ 「大きい」という形容詞を作ったとする。

 すると、この変化表に自動的にあてはまって「大きな家が、主格、無冠詞」はpána cháska パーナ・チャスカになるわけだ。「その大きい家を、対格、定冠詞」ならlas pánas cháskeラス・パーナス・チャスキになる。

 páni 形容詞、大きい 男性


 ・単数

 主 páni

 生 pánis

 対 pánin

 前 pánis

 ・双数

 主 pánü

 生 pánüs

 対 pánün

 前 pánüs

 ・複数

 主 pánes

 生 pánes

 対 pánen

 前 pánes


 pána 形容詞、大きい 女性


 ・単数

 主 pána

 生 pánas

 対 pánas

 前 pánas

 ・双数

 主 pánä

 生 pánäs

 対 pánäs

 前 pánäs

 ・複数

 主 pánas

 生 pánas

 対 pánas

 前 pánas


 このように、定冠詞la/liの変化と全く同じ語尾である。

 PEは形容詞に関してはかなり規則的で、全て例外なく-iで終わり、定冠詞と同じ活用になる。さらに、ドイツ語と違って定冠詞+形容詞+名詞という形になっても定冠詞・形容詞ともに形が変化しない。(ただ作るのが面倒だっただけ)

 ちなみにさっきの所有形容詞、人称代名詞の生格も同じように変化する。活用形の数が恐ろしいことに……


 部分冠詞も同じ。

 しかし部分冠詞につく名詞は基本的に単数形で使うのでこれだけ。お金はロシア語では複数形になるが、PEでは部分冠詞+単数形の生格で使う。


 di 部分冠詞・男性

 主 di

 生 dis

 対 din

 前 dis


 da 部分冠詞・女性

 ・単数

 主 da

 生 das

 対 das

 前 das


 しかし、なぜ日本人の苦手な冠詞をわざわざアホみたいにたくさん作ったんだろうか……。

 ヨーロッパの言語なんだから冠詞ぐらいあるだろう、と思ったんだが、こうやって見るとだるいな。


 ④動詞


 とうとうここまでやってきた。

 PEの動詞は母音交替するアプラウト動詞と母音交替しない非アプラウト動詞に分かれる。

 アプラウトや母音交替というのは、英語のdrink-drank-drunkみたいなもので、アラビア語だと「kataba カタバ 彼は書いた」が現在形になると「yaktub ヤクトゥブ 彼は書く」になって中の母音が総勢入れ替わるような激しい変化を伴う。

 簡単にまとめると、アプラウト動詞は屈折が多くだるい。非アプラウトはもう少し楽。というふうに考えてください。


 ◆アプラウト動詞


 すべての動詞は-es ~イスという不定形をもっている。そして主に-i-という母音が語幹になる動詞(xídes ヒーディス、行く fíres フィーリス、話す)などがアプラウト動詞になる。


 xídes ヒーディス 行く

 ・現在形

 一人称単数男性 xído ヒードゥ

 一人称単数女性 xída ヒーダ

 一人称双数 xídoi ヒードイ   ひどーい、ではない。

 一人称複数 xídom ヒードゥム


 二人称単数男性 xíds ヒーツ

 二人称単数女性 xídsa ヒーザ

 二人称双数 xídsei ヒーゼイ

 二人称複数 xídet ヒーディット


 三人称単数男性 xíde ヒーディ

 三人称単数女性 xídia ヒーディア

 三人称双数 xídei ヒーデイ

 三人称複数 xíden ヒーディン


 現在分詞 xídeni ヒーディニ


 fíres フィーリス 話す

 ・現在形

 一人称単数男性 fíro フィール

 一人称単数女性 fíra フィーラ

 一人称双数 fíroi フィーロイ

 一人称複数 fírom フィールム


 二人称単数男性 fírtsかfírats フィールツ・フィーラツ

 二人称単数女性 fírtsa フィルツァ

 二人称双数 fírtsei フィルツェイ

 二人称複数 fíret フィーリット


 三人称単数男性 fíre フィーリ

 三人称単数女性 fíria フィーリア

 三人称双数 fírei フィーレイ

 三人称複数 fíren フィーリン


 現在分詞 fíreni フィーリニ


 まあ、これだけでも恐ろしく大量にあるわけだが、一人称単数が-oで終わったりするところは他のヨーロッパの言語と多く共通する点だろう。それによく見ると、一人称単数女性は一人称単数男性の後ろに-aがくっついているだけである。実質人称活用は九個と言えるかもしれない。

 二人称単数・双数はtsが入るが、動詞の子音にdやtが来る場合dsやtsとだけ書いて上記のような表記にする。そして名詞の複数形とは違い、動詞は二音節とも長母音になることはない。

 現在分詞は形容詞と同じように屈折する。そしてPEの分詞は基本的に全て受動分詞であるので、そのまま主語と並べて受動態を作ることができる。(この時、分詞の性と数はされる側の主語と一致する)


 Äzh fíreni u les.

 私は彼に話しかけられている。


 普通、ヨーロッパの言語では受動態を表すのに何らかの動詞+動詞の過去分詞をとるが、PEではもう分詞に時制が内包されているので、過去分詞を使うと、「Äzh fúri u les.(私は彼に話しかけられた)」という過去の意味になる。こうやって見るとラテン語的かもしれない。

 能動的な表現をしたい場合、動詞の不定形である-esのついた形を使うのに加え、人称代名詞の生格+動詞の不定形を使って主語をはっきりさせることもある。


 xídes

 ・過去形

 一人称単数男性 xud フート

 一人称単数女性 xúda フーダ

 一人称双数 xúdai フーダイ

 一人称複数 xúdab フーダプ


 二人称単数男性 xuds フーツ

 二人称単数女性 xúdsa フーザ

 二人称双数 xúderb フーディルプ

 二人称複数 xudáb フダープ


 三人称単数男性 xud フート

 三人称単数女性 xúda フーダ

 三人称双数 xúderb フーディルプ

 三人称複数 xúdeb フーディプ


 過去分詞 xúdi フーディ


 fíres

 ・過去形

 一人称単数男性 fur フール

 一人称単数女性 fúra フーラ

 一人称双数 fúrai フーライ

 一人称複数 fúrb フールプ


 二人称単数男性 fúrts フールツ

 二人称単数女性 fúrtsa フールツァ

 二人称双数 fúrerb  フーリルプ

 二人称複数 furáb フラープ


 三人称単数男性 fúr フール

 三人称単数女性 fúra フーラ

 三人称双数 fúrerb フーリルプ

 三人称複数 fúreb フーリプ


 過去分詞 fúri フーリ


 現在形の語幹母音がiの動詞は過去形になるとuになる。また、一人称単数と三人称単数の形が全く同じなのも、スペイン語やドイツ語等で見られるので同じようにしてみた。

 アプラウト動詞ではあまり出てこないが、過去形の語尾は-bである。

 íbesと動詞の過去分詞を合わせると現在完了・過去完了・未来完了が表せる。例えばÍbo fúri は I’ve talked, I’ve spokenと全く同じになる。


 xídes

 ・未来形

 一人称単数男性 xadó ハドー

 一人称単数女性 xadá ハダー

 一人称双数 xadő ハデー

 一人称複数 xádal ハーダル


 二人称単数男性 xadsó ハゾー

 二人称単数女性 xadsá ハザー

 二人称双数 xadsí ハヅィー

 二人称複数 xáda ハーダ


 三人称単数男性 xadé ハデー

 三人称単数女性 xadía ハディーア

 三人称双数 xadí ハディー

 三人称複数 xádal ハーダル


 未来分詞 xádi ハーディ


 fíres

 ・未来形

 一人称単数男性 faró ファロー

 一人称単数女性 fará ファラー

 一人称双数 farő ファレー

 一人称複数 fáral ファーラル


 二人称単数男性 fartsó ファルツォー

 二人称単数女性 fartsá ファルツァー

 二人称双数 fartsí ファルツィー

 二人称複数 fára ファーラ


 三人称単数男性 faré ファレー

 三人称単数女性 faría ファリーア

 三人称双数 farí ファリー

 三人称複数 fáral ファーラル

 

 未来分詞 fári ファーリ


 未来形になると今度は-a-になる(アクセントがない場合シュワー、有る場合は普通のa)。そして今度は一人称複数と三人称複数の活用が同じ形である。

 こういう感じでアプラウト動詞は現在・過去・未来でi→u→aという変化をする。あれ、これ英語と似てr……実に複雑である。


 そして、みんな大嫌いな接続法。


 xídes

 ・接続法現在


 一人称単数 xídö ヒーデュ

 一人称複数 xídöm ヒーデュム


 二人称単数 xídös ヒーデュス

 二人称複数 xídöt ヒーデュト


 三人称単数 xídö ヒーデュ

 三人称複数 xídön ヒーデュン


 ・接続法過去


 一人称単数 xídöb ヒーデュップ

 一人称複数 xídab ヒーダプ


 二人称単数 xidáb ヒダープ

 二人称複数 xidáb ヒダープ


 三人称単数 xídöb ヒーデュプ

 三人称複数 xídob ヒードゥプ


 ・接続法未来


 一人称単数 xidűl ヒデュール

 一人称複数 xídiol ヒーディウル


 二人称単数 xidínt ヒディント

 二人称複数 xídiant ヒーディアント


 三人称単数 xidűl ヒデュール

 三人称複数 xídiol ヒーディウル


 接続法になると活用が基本的に五個以下になる。未来形に至っては四個である。どうだ、これだけでかなり覚えるのが楽になったろう。(まあこんなアホ言語勉強するやついないか)接続法未来は、とりあえずスペイン語の過去未来のような使い方をするということにしておこう。

 筆者は疲れたので、接続法の動詞の活用は一部の例外を除き全部これと同じ語尾にします。


 fíres

 ・接続法現在


 一人称単数 fírö フィーリュ

 一人称複数 fíröm フィーリュム


 二人称単数 fírös フィーリュス

 二人称複数 fíröt フィーリュト


 三人称単数 fírö フィーリュ

 三人称複数 fírön フィーリュン


 ・接続法過去


 一人称単数 fíröb フィーリュプ

 一人称複数 fírab フィーラプ


 二人称単数 firáb フィラープ

 二人称複数 firáb フィラープ


 三人称単数 fíröb フィーリュプ

 三人称複数 fírob フィールプ


 ・接続法未来


 一人称単数 firűl フィリュール

 一人称複数 fíriol フィーリウル


 二人称単数 firínt フィリーント

 二人称複数 fíriant フィーリアント


 三人称単数 firűl フィリュール

 三人称複数 fíriol フィーリウル

 

 接続法というのは、例えばこういう時に使うという例文を提示しておこう。

 Jődo, fo fíre náxin engliátson. ジェードゥ・フォ・フィーリ・ナーヒン・イングリアーツン

 私は彼が英語を話せると思う。


 jődes 考える

 fo ~だと、英語でいう関係代名詞のthat

 náxi 良い

 engliáts m.英語


 もしこのfíre(speak)の部分に疑いがある場合、接続法現在に変える。

 →Jődo, fo fírö náxin engliátson.

 こうすると「私には彼が英語を話せるとは思えない」というような意味になる。(ただ単に否定文にしても同じ意味にはなる)


 そして、最後に命令形。これも結構単純。


 xídes

 ・命令形


 二人称単数 xíd!

 二人称双数 xidóits!

 二人称複数 xidíal!


 fíres

 ・命令形

 二人称単数 fir!

 二人称双数 firóits!

 二人称複数 firíal!


 これも大体全部同じ語尾にしよう、ということでこうなりました。ドイツ語の口語的な命令形と似て、語幹だけにして-esを落とすと命令形になる。あと一応二人称双数命令形があるが、二人に命令するとき以外は使わない謎の代物になってしまった。


 さて、今までの全ての活用を一覧でざっと見てみよう。


 ・現在形

 一人称単数男性

 一人称単数女性

 一人称双数

 一人称複数


 二人称単数男性

 二人称単数女性

 二人称双数

 二人称複数


 三人称単数男性

 三人称単数女性

 三人称双数

 三人称複数


 現在分詞


 ・過去形

 一人称単数男性

 一人称単数女性

 一人称双数

 一人称複数


 二人称単数男性

 二人称単数女性

 二人称双数

 二人称複数


 三人称単数男性

 三人称単数女性

 三人称双数

 三人称複数


 過去分詞


 ・未来形

 一人称単数男性

 一人称単数女性

 一人称双数

 一人称複数


 二人称単数男性

 二人称単数女性

 二人称双数

 二人称複数


 三人称単数男性

 三人称単数女性

 三人称双数

 三人称複数


 未来分詞


 ・接続法現在


 一人称単数

 一人称複数


 二人称単数

 二人称複数


 三人称単数

 三人称複数


 ・接続法過去


 一人称単数

 一人称複数


 二人称単数

 二人称複数


 三人称単数

 三人称複数


 ・接続法未来


 一人称単数

 一人称複数


 二人称単数

 二人称複数


 三人称単数

 三人称複数


 ・命令形


 二人称単数

 二人称双数

 二人称複数



 ひれふせ、東洋人。これがヨーロッパの底力だ。

 一つの動詞だけで活用形が全部で実に60個ある。(分詞が形容詞のように格変化したときの活用を入れるともっとある)

 こんなに活用多い言語ねえべwwwwと思う人も多いかもしれないが、スペイン語も一つの動詞だけで四十個ぐらいあるので似たようものである。それにどうせ活用がバッティングするので実際の活用形の数はこれより少ない。


 ◆アプラウト動詞 不規則


 次に、不規則なアプラウト動詞を三つとりあげようと思う。

 sämes セーミス 見る

 őtes エーティス ほしい、~したい

 züs ズュース する

 この三つは一筋縄ではいかない。


 ◎sämes セーミス 見る

 ・現在形

 一人称単数男性 sämo セーム

 一人称単数女性 säma セーマ

 一人称双数 sämoi セーモイ

 一人称複数 saimm(saim) サイム


 二人称単数男性 sämts セームツ

 二人称単数女性 sämtsa セームツァ

 二人称双数 sämtsei セームツェイ

 二人称複数 saimt サイムト


 三人称単数男性 säme セーミ

 三人称単数女性 sämia セーミア

 三人称双数 sämei セーメイ

 三人称複数 saimn(sain) サイン


 現在分詞 saimni サイムニ


 ・過去形

 一人称単数男性 somb ソンプ

 一人称単数女性 sómba ソンバ

 一人称双数 sómai ソーマイ

 一人称複数 somb ソンプ


 二人称単数男性 somts ソームツ

 二人称単数女性 sómtsa ソームツァ

 二人称双数 sómerb ソーミルプ

 二人称複数 sómab ソーマプ


 三人称単数男性 somb ソンプ

 三人称単数女性 sómba ソンバ

 三人称双数 sómerb ソーミルプ

 三人称複数 sómeb ソーミプ


 過去分詞 sómi ソーミ


 ・未来形

 一人称単数男性 saimó サイモー

 一人称単数女性 saimá サイマー

 一人称双数 saimő サイメー

 一人称複数 sämal セーマル


 二人称単数男性 saimtsó サイムツォー

 二人称単数女性 saimtsá サイムツァー

 二人称双数 saimtsí サイムツィー

 二人称複数 säma セーマ


 三人称単数男性 saimé サイメー

 三人称単数女性 saimía サイミーア

 三人称双数 saimí サイミー

 三人称複数 sämal セーマル


 未来分詞 sáimi サイミ


 ・接続法現在


 一人称単数 sämö セーミュ

 一人称複数 sämöm セーミュム


 二人称単数 sämös セーミュス

 二人称複数 sämöt セーミュト


 三人称単数 sämö セーミュ

 三人称複数 sämön セーミュン


 ・接続法過去


 一人称単数 sämöb セーミュプ

 一人称複数 sämb セーンプ


 二人称単数 sämáb サマープ

 二人称複数 sämáb サマープ


 三人称単数 sämöb セーミュプ

 三人称複数 sämob セームプ


 ・接続法未来


 一人称単数 säműl サミュール

 一人称複数 sämiol セーミウル


 二人称単数 sämínt セーミント

 二人称複数 sämiant セーミアント


 三人称単数 säműl サミュール

 三人称複数 sämiol セーミウル


 ・命令形


 二人称単数 säm! セーム

 二人称双数 saimóits! サイモイツ

 二人称複数 saimíal! サイミーアル


 ◎őtes エーティス ほしい、~したい

 ・現在形

 一人称単数男性 őto エートゥ

 一人称単数女性 őta エータ

 一人称双数 őtoi エートイ

 一人称複数 toim トイム


 二人称単数男性 őts エーツ

 二人称単数女性 őtsa エーツァ

 二人称双数 őtsei エーツェイ

 二人称複数 toit トイト


 三人称単数男性 őte エーティ

 三人称単数女性 őtia エーティア

 三人称双数 őtei エーテイ

 三人称複数 toin トイン


 現在分詞 tóini トイニ


 ・過去形

 一人称単数男性 tab タープ

 一人称単数女性 tába ターバ

 一人称双数 tai タイ

 一人称複数 tavab ターヴァプ


 二人称単数男性 tats ターツ

 二人称単数女性 tátsa ターツァ

 二人称双数 táverb ターヴィルプ

 二人称複数 atáb アタープ


 三人称単数男性 tab タープ

 三人称単数女性 tába ターバ

 三人称双数 táverb ターヴィルプ

 三人称複数 táveb ターヴィプ


 過去分詞 távi ターヴィ


 ・未来形

 一人称単数男性 oitó オイトー

 一人称単数女性 oitá オイター

 一人称双数 oitő オイテー

 一人称複数 őtal エータル


 二人称単数男性 oitsó オイツォー

 二人称単数女性 oitsá オイツァー

 二人称双数 oitsí オイツィー

 二人称複数 őta エータ


 三人称単数男性 oité オイテー

 三人称単数女性 oitía オイティーア

 三人称双数 oití オイティー

 三人称複数 őtal エータル


 未来分詞 óiti オイティ


 ・接続法現在


 一人称単数 őtö エーテュ

 一人称複数 őtöm エーテュム


 二人称単数 őtös エーテュツ

 二人称複数 őtöt エーテュト


 三人称単数 őtö エーテュ

 三人称複数 őtön エーテュン


 ・接続法過去


 一人称単数 őtöb エーテュプ

 一人称複数 őtab エータプ


 二人称単数 ötáb ユタープ

 二人称複数 ötáb ユタープ


 三人称単数 őtöb エーテュプ

 三人称複数 őtob エートゥプ


 ・接続法未来


 一人称単数 ötűl ユテュール

 一人称複数 őtiol エーティウル


 二人称単数 ötínt ユティント

 二人称複数 őtiant エーティアント


 三人称単数 ötűl ユテュール

 三人称複数 őtiol エーティウル


 ・命令形


 二人称単数 őt! エート

 二人称双数 oitóits! オイトイツ

 二人称複数 oitíal! オイティーアル


 ◎züs ズュース する


 ・現在形

 一人称単数男性 zov ゾーフ

 一人称単数女性 zav ザーフ

 一人称双数 zoi ゾイ

 一人称複数 zum ズーム


 二人称単数男性 zots ゾーツ

 二人称単数女性 zótsa ゾーツァ

 二人称双数 zei ゼイ

 二人称複数 zut ズート


 三人称単数男性 zi ズィー

 三人称単数女性 zia ズィーア

 三人称双数 zei ゼイ

 三人称複数 zun ズーン


 現在分詞 zúni ズーニ


 ・過去形

 一人称単数男性 zab ザープ

 一人称単数女性 zába ザーバ

 一人称双数 zai ザイ

 一人称複数 závab ザーヴァプ


 二人称単数男性 zats ザーツ

 二人称単数女性 zátsa ザーツァ

 二人称双数 záverb ザーヴィルプ

 二人称複数 zaváb ザヴァープ


 三人称単数男性 zab ザープ

 三人称単数女性 zába ザーバ

 三人称双数 záverb ザーヴィルプ

 三人称複数 záveb ザーヴィプ


 過去分詞 závi ザーヴィ


 ・未来形

 一人称単数男性 zovó ズヴォー

 一人称単数女性 zová ズヴァー

 一人称双数 zovő ズヴェー

 一人称複数 zűval ズューヴァル


 二人称単数男性 zotsó ズツォー

 二人称単数女性 zotsá ズツァー

 二人称双数 zotsí ズツィー

 二人称複数 zűva ズューヴァ


 三人称単数男性 zové ズヴェー

 三人称単数女性 zovía ゾヴィーア

 三人称双数 zoví ゾヴィー

 三人称複数 zűval ズューヴァル


 未来分詞 zűvi ズューヴィ


 ・接続法現在


 一人称単数 zűvö ズューヴュ

 一人称複数 zűvöm ズューヴュム


 二人称単数 zűvös ズューヴュス

 二人称複数 zűvöt ズューヴュト


 三人称単数 zűvö ズューヴュ

 三人称複数 zűvön ズューヴュン


 ・接続法過去


 一人称単数 zűvöb ズューヴュプ

 一人称複数 zűvab ズューヴァプ


 二人称単数 zováb ズヴァープ

 二人称複数 zováb ズヴァープ


 三人称単数 zűvöb  ズューヴュプ

 三人称複数 zűvob ズューヴプ


 ・接続法未来


 一人称単数 zovűl ズヴュール

 一人称複数 zűviol ズューヴィウル


 二人称単数 zovínt ズヴィント

 二人称複数 zűviant ズューヴィアント


 三人称単数 zovűl ズヴュール

 三人称複数 zűviol ズューヴィウル


 ・命令形


 二人称単数 zű! ズュー

 二人称双数 zuvóits! ズヴォイツ

 二人称複数 zuvíal! ズヴィーアル


 書いてて自殺したくなってきた。

 まあこんな感じで色々と不規則である。まずそもそもウムラウトのついた母音が多くて音割れするのは分かるが、なぜtの位置が移動したり現在形の時点で違う母音(üがoになる)になるのかは不明。

 あと、母音連続を避けるためにvを介入させるのも特徴といったところか。

 もう不規則動詞なんて作りたくない……。


 ◆非アプラウト動詞


 非アプラウト動詞はその名の通り語幹の母音が変化しない動詞で、PEで一番多くみられる動詞である。

 二つの動詞「béses(書く)」と「tsónes(知る)」を例に挙げて、これらの活用を比較してみよう。


 ◎béses ベースィス 書く

 ・現在形

 一人称単数男性 béso ベース

 一人称単数女性 bésa ベーサ

 一人称双数 bésoi ベーソイ

 一人称複数 bésam ベーサム


 二人称単数男性 bésts ベースツ

 二人称単数女性 béstsa ベースツァ

 二人称双数 béstsei ベスツェイ

 二人称複数 bésat ベーサト


 三人称単数男性 bése ベースィ

 三人称単数女性 bésia ベースィア

 三人称双数 bései ベーセイ

 三人称複数 bésan ベーサン


 現在分詞 bésani ベーサニ


 ・過去形

 一人称単数男性 bésb ベースプ

 一人称単数女性 bésba ベーズバ

 一人称双数 bésai ベーサイ

 一人称複数 bésab ベーサプ


 二人称単数男性 besárb ビサルプ

 二人称単数女性 besárba ビサルバ

 二人称双数 bésarb ベーサルプ

 二人称複数 besáb ビサープ


 三人称単数男性 bésb ベースプ

 三人称単数女性 bésba ベーズバ

 三人称双数 bésarb ベーサルプ

 三人称複数 béseb ベースィプ


 過去分詞 bésbi ベズビ


 ・未来形

 一人称単数男性 besól ビソール

 一人称単数女性 besál ビサール

 一人称双数 besől ビセール

 一人称複数 bésal ベーサル


 二人称単数男性 bestsánt ビスツァント

 二人称単数女性 bestsánt ビスツァント

 二人称双数 bestsént ビスツェント

 二人称複数 bésant ベーサント


 三人称単数男性 besél ビセール

 三人称単数女性 besíal ビスィーアル

 三人称双数 besél ビセール

 三人称複数 bésal ベーサル


 未来分詞 bésli ベスリ


 ・接続法現在


 一人称単数 bésö ベースュ

 一人称複数 bésöm ベースュム


 二人称単数 bésös ベースュス

 二人称複数 bésöt ベースュト


 三人称単数 bésö ベースュ

 三人称複数 bésön ベースュン


 ・接続法過去


 一人称単数 bésöb ベースュプ

 一人称複数 bésab ベーサプ


 二人称単数 besáb ビサープ

 二人称複数 besáb ビサープ


 三人称単数 bésöb  ベースュプ

 三人称複数 bésob ベースプ


 ・接続法未来


 一人称単数 besűl ビスュール

 一人称複数 bésiol ベースィウル


 二人称単数 besínt ビスィント

 二人称複数 bésiant ベースィアント


 三人称単数 besűl ビスュール

 三人称複数 bésiol ベースィウル


 ・命令形


 二人称単数 bes! ベース

 二人称双数 besóits! ビソイツ

 二人称複数 besíal! ビスィーアル


 ◎tsónes ツォーニス 知る

 ・現在形

 一人称単数男性 tsóno ツォーヌ

 一人称単数女性 tsóna ツォーナ

 一人称双数 tsónoi ツォーノイ

 一人称複数 tsónom ツォーヌム


 二人称単数男性 tsónts ツォーンツ

 二人称単数女性 tsóntsa ツォーンツァ

 二人称双数 tsóntsei ツォーンツェイ

 二人称複数 tsónot ツォーヌト


 三人称単数男性 tsóne ツォーニ

 三人称単数女性 tsónia ツォーニア

 三人称双数 tsónei ツォーネイ

 三人称複数 tsónon ツォーヌン


 現在分詞 tsónoni ツォーヌニ


 ・過去形

 一人称単数男性 tsónb ツォーンプ

 一人称単数女性 tsónba ツォーンバ

 一人称双数 tsónai ツォーナイ

 一人称複数 tsónob ツォーヌプ


 二人称単数男性 tsonórb ツノルプ

 二人称単数女性 tsonórba ツノルバ

 二人称双数 tsónorb ツォーヌルプ

 二人称複数 tsonób ツノープ


 三人称単数男性 tsónb ツォーンプ

 三人称単数女性 tsónba ツォンバ

 三人称双数 tsónorb ツォーヌルプ

 三人称複数 tsóneb ツォーニプ


 過去分詞 tsónbi ツォンビ


 ・未来形

 一人称単数男性 tsonól ツノール

 一人称単数女性 tsonál ツナール

 一人称双数 tsonől ツネール

 一人称複数 tsónol ツォーヌル


 二人称単数男性 tsontsánt ツンツァント

 二人称単数女性 tsontsánt ツンツァント

 二人称双数 tsontsént ツンツェント

 二人称複数 tsónont ツォヌント


 三人称単数男性 tsonél ツネール

 三人称単数女性 tsoníal ツォニーアル

 三人称双数 tsonél ツネール

 三人称複数 tsónol ツォーヌル


 未来分詞 tsónli ツォンリ


 ・接続法現在


 一人称単数 tsónö ツォーニュ

 一人称複数 tsónöm ツォーニュム


 二人称単数 tsónös ツォーニュス

 二人称複数 tsónöt ツォーニュト


 三人称単数 tsónö ツォーニュ

 三人称複数 tsónön ツォーニュン


 ・接続法過去


 一人称単数 tsónöb ツォーニュプ

 一人称複数 tsónob ツォーヌプ


 二人称単数 tsonáb ツナープ

 二人称複数 tsonáb ツナープ


 三人称単数 tsónöb  ツォーニュプ

 三人称複数 tsónob  ツォーヌプ


 ・接続法未来


 一人称単数 tsonűl ツニュール

 一人称複数 tsóniol ツォーニウル


 二人称単数 tsonínt ツニント

 二人称複数 tsóniont ツォーニウント


 三人称単数 tsonűl ツニュール

 三人称複数 tsóniol ツォーニウル


 ・命令形


 二人称単数 tson! ツォーン

 二人称双数 tsonóits! ツノイツ

 二人称複数 tsóniol! ツォーニウル


 活用の一部で語幹にa/e/iが来るものはa、o/uが来るものはoが間に挿入されるのが特徴。この二つの動詞のパターンが大多数をしめるので、一度これを覚えてしまえばそんなに難しくもない。

 こんなに動詞の変化を作って大変じゃないかと思うかもしれないが、実際ドイツ語やロシア語、スペイン語と活用の形が似ているものもあるし、辞書を見ながら適当に作っただけなので別にそこまで大変ではない。(どちらかというとパソコンでひたすらタイプする方がだるい)


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