愛しのマイレディ(シエルちゃん/コク)
◇勘違い男ができるまで◇
※「いずれ消えてなくなるなら」のあとのお話
──ウトウト……。
我々天使は『無機生命』と呼ばれています。
生命でありながら無機物。
それゆえ人間などに代表される有機生命とは異なり生理現象がなく、食事や睡眠などを必要としない、はずなのですが。
──コックリ、コックリ……。
神は何をお考えになったのか、俺に有機生命の要素をお与えになりました。
天使は神のために不眠不休で働き続けられるはずの生命、なのに俺は休息を要する。
なんという屈辱なのでしょう。
何が言いたいのかと言いますと。
──俺は、今、ものすごく、眠い!!
連日シエルお嬢様のお転婆に振り回されているお陰で疲労が溜まっているのでしょう。
お嬢様にはもっと、お淑やかなレディになっていただかなければ……。
──うつらうつら……。
そう、もっとお淑やかで上品な、それでいて[ 自主規制 ]かつ[ 自主規制 ]な、俺好みの可憐で[ 自主規制 ]の、100点、満点のレディ、に……、ふふふ……。
その、ためにはもっと……、俺が、お嬢様を……、教育……して、……差し上げ…………。
*** * * *
つんつん!
「う、うーん……」
つんつんつん!!
「ん……、一体なんです──っうわああ!?」
「きゃっ!」
目を覚ますとそこには俺のシエルお嬢様。
「ふふ、よく眠っていたわね、コク。あんまりかわいい寝顔だったからほっぺたつんつんして起こしちゃったわ!」
「かわいい? 馬鹿にしているのですか?減点──」
「ううん? かわいくて好きって言ったのよ」
「すっ!?」
初対面時から感じていたことだが、シエルお嬢様はこの俺に気があるようですね。
主従関でそういうのは、その、あまりよろしくないと思うのですが、なかなか満更でもありません。
「さぁ、今からエルデに行くわよ!準備しなさい!」
「エルデは現在深夜0時。こんな時間に出歩かれるなど……」
「だからこそ貴方が必要なんじゃない!ちゃんと私を護ってよね?」
「!!」
お嬢様がこの俺を頼りにされている……!
なんて可愛らしい方なのでしょう。
シエルお嬢様はこの俺が守って差し上げなければ。
ああ、愛されるのは心地がいいなぁ……っ♡♡♡
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