春の雪、冬の桜(まこさん/シエルちゃん)


 桜並木。

 彼女は軽快な足取りで鼻歌を歌う。


「今日はやけにご機嫌だね、シエルちゃん?」

「だってこんなにいい天気で、気持ちいい風が吹いているんだもの! それにこの景色、春が来たって感じでわくわくしちゃう!」

「シエルちゃんは桜が好き?」

「もちろん!大好きよ」


 彼女はその場でくるっとターン。

 そして、舞い落ちる桜の花びらを一枚、両手で受け止める。


「桜ってヒラヒラ落ちるから、春の雪みたいじゃない?」


 春の雪か。

 そういえば彼女はとりわけ雪が大好きだって言ってたっけ。


「それを言うなら、雪は冬の桜って感じしない」

「あ、私の真似っ子!」

「ふふっ、ごめんごめん!」

「──春の雪、冬の桜。そっくりだから、二つはきっとお友達なのかもしれないわね」


 彼女の頭にがひらひらと舞い落ちる。

 僕はそれを手に取り「お友達か、それはいいね」と彼女に微笑みかけた。

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