春の雪、冬の桜(まこさん/シエルちゃん)
桜並木。
彼女は軽快な足取りで鼻歌を歌う。
「今日はやけにご機嫌だね、シエルちゃん?」
「だってこんなにいい天気で、気持ちいい風が吹いているんだもの! それにこの景色、春が来たって感じでわくわくしちゃう!」
「シエルちゃんは桜が好き?」
「もちろん!大好きよ」
彼女はその場でくるっとターン。
そして、舞い落ちる桜の花びらを一枚、両手で受け止める。
「桜ってヒラヒラ落ちるから、春の雪みたいじゃない?」
春の雪か。
そういえば彼女はとりわけ雪が大好きだって言ってたっけ。
「それを言うなら、雪は冬の桜って感じしない」
「あ、私の真似っ子!」
「ふふっ、ごめんごめん!」
「──春の雪、冬の桜。そっくりだから、二つはきっとお友達なのかもしれないわね」
彼女の頭に春の雪がひらひらと舞い落ちる。
僕はそれを手に取り「お友達か、それはいいね」と彼女に微笑みかけた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます