プレゼント(まこさん/シエルちゃん)

◇バレンタインの甘いお話②◇




「バレンタインは血液入りのチョコレートがいいな」なんて口にすると、彼女はわかりやすいくらい怯えた表情した。


「ああ、誤解しないで。ちょっとした実験だよ」

「実験?」

「神の血肉を食べると、神の力を得ることができるって聞いたことがあってね。『私に用意できるものならなんでもいい』って言ってくれたんだからいい機会だと思って」

「確かにそう言ったけど……」


 今度は困惑の表情。全く見てて飽きない。


「でも、血はダメ! 切ったら痛いじゃない」

「どうしても?」

「どうしても!」


 不満げなジト目で見つめられると、ほっぺたをつつきたくなっちゃう。


「ふふ、それは残念。そうだなぁ、じゃあ血がダメなら今度デートしよ。好きなとこ連れてってあげる」

「いいの? ……でもそれじゃプレゼントにならないんじゃないかしら」


 華やぐような笑顔の次に、ハテナの浮かんだキョトン顔。

 あぁ、彼女は見ているだけで退屈しない。


「大丈夫。プレゼントなら、もうたくさん貰ってるから」

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