ようせいかんさつにっき(まこさん/ぱいちゃん)
◇幼少期のまこさんが妖精ぱいちゃんを捕まえるお話◇
※「高嶺の天使」の後の話
※残酷描写
七月二十一日
今日から夏休みだ。
弟のまおの怪我はまだ治らないらしい。
つまんないなぁ。何か遊び新しい遊びはないかな?
七月二十四日
今日はとてもおもしろいものを見つけた!
ようせいをつかまえたんだ。
ぱいちゃん、て鳴いてた。名前かな?
どうやら言葉は通じるみたい。
今日からこれで遊ぼうと思う。とりあえず今は逃げ出さないように空きビンに閉じ込めた。
七月二十五日
ようせいは空気がなくても平気みたい。
何重にもテープを巻いたビンに閉じ込めて、一晩れいぞうこに入れておいたけどピンピンしてる。
僕なら絶対に死んじゃう。
ようせいって不思議だなぁ。
僕はようせいの手足をちぎってみた。妖精驚いた様子だったが、いたがりもせずケタケタ笑っていた。
いたくないのかな? へんなの。
七月二十七日
昨日は組の集まりに顔を出さなきゃいけなかったから、ようせいには構ってあげられなかった。
一日ぶりにれいぞうこから取り出すと、ちぎった手足は新しいのが生えてきていてびっくり。
ようせいは「おなかがへったの!」とわめいている。
そういえば、つかまえてから何も与えてなかったな……。
何を与えたらいいのかわからなかったから、外に転がっていたセミの死がいを与えてみた。
ようせいは「サクサクなの!」と言いながら美味しそうに食べている。
ようせいって死んだ虫なんか食べるんだ。
きもちわる。
八月一日
ようせいはだんだん薄汚れてきた気がする。
今日は洗ってあげよう。
僕はプラボトルの中にようせいをつめ込み、そこに水を半分くらいまで注ぎ、せんざいを注ぐ。
それをガシャガシャ振る!
ようせいも洗われて気持ちがいいようだ。
楽しそうな叫び声が聞こえる。
洗い終わった後は、水ですすいでかんそうきに入れておいた。
今日はいいことをしたなぁ。
八月六日
明日は入院していた弟が帰ってくる!
楽しみだな、まおが帰ってきたら何して遊ぼう? そうだ、新しいおもちゃを買ってあげよう。
ようせいはもういらないかな。
飽きたし。
なんか汚くなってきたし。
僕はようせいを帰してあげることにした。
「また遊びにおいで、ぱいちゃん」
「まこぴは いじわるだから もう あそばないの!」
「そんなこと言わないで。お菓子もいっぱい用意してあげるから」
「おかし!? また あそびにくるの!」
おかしにつられるなんて、ようせいはとっても頭がわるいみたい。
「じゃ、またね」
僕はようせいをまどから投げ捨てた。
明日はどんな遊びをしようかな。
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