第一説 出会いは薄味 1

 太陽が地平線から顔をだしてからすでに4時間が経過していた。青空が広がり、優しい日差しが大地に降り注ぐ。

「いい天気…」

 空を仰ぎ見ながら、あまりの心地良さに黒喇玲李こくら れいりはつい口に出してしまった。

 肩まで伸びた清廉な黒髪、全てを見通すかのような鋭き瞳、どこか気品を感じさせるような所作、そして凛とした佇まいを彼女は持ち合わせていた。

 彼女は再び歩き出す。その姿は行き交う人々を魅了し、釘付けにした。

 しかし彼女は視線を気にする様子もなく、歩き去っていく。彼女が通った後はまるで嵐に合ったかのように静寂が生まれた。

 歩みを進めながら彼女は自分の新たな生活に想いを馳せる。そして自然と事の経緯を思い返していた。

 


 


 

 

 

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