第三十三話 聖戦舞祭:氷災の舞い2

シュシュシュシュシュシューーーー!!!

千本にまで及ぶ氷の柱が凄まじい風切り音を起こしながら、ネフィールのいる一歩のところまで迫ると、


「耳、塞いで、ルーくんー!」

「あ、.....うん、わかったよ、梨奈ー!」

梨奈に強く勧められたので、咄嗟のことだったが、間をおかずに両手で素早く耳を塞いだ。


ガッチャーーーーーーーーーング!!!ガチャアアーーーーーーーング!!

耳を劈かれたほどの轟音が鳴り響いてきた。巨大なガラスが大きな鉄の塊で音速2,3倍以上も誇る速度で砕き割られたような強烈な爆音が生じる!それと同時に舞台の半分以上が何万、満十万までに及んだ砕き散った極寒な氷の破片があっちこっち飛び散らされ飛来してきたので、僅かな間で、吹雪の中にいるがごとく、視界が塞がれた。


真っ白い花びらが舞い散っているかのように、さっきネフィールのところに迫ってきた千にも及ぶ氷柱が鎖に繋がって回転し続けられてきた片方の短刀がついに貯めてきた力と遠心力を伴って、そのとてつもない集積された<神使力量>の爆発的な衝突や力の解放によって、粉々に砕き散られたのだ。


「そ......」


ようやく舞台が見えるようになったけど、絶句してる様子のエリーゼ先輩がそこにあった。


「それすごいよ、ネフィーっち~~~~!!まさか、エリーの第4階梯の<大凍烈滅千本氷柱(ニラ・フォルーナレア)>を現神戦武装だけで破壊しただなんて~~~。これ、面白くなってきちゃったよ、ラ~ラ~ラ~~リル~~!」


なんか楽しそうに踊りながら、ネフィールの迎撃を喜んでいるエリーゼ先輩が見えるけど、そんなに楽しいものなのか、自分の技が相手にこともなく受け止められたのって。


「にしし~~。この戦法は森川さんのお陰で思いついたものなんだよー!神使力を武器に溜め込みながら、回転させれば力を解放する時は凄まじい威力が出るの知っちゃったんだよー。昔なら、同程度の現神術で迎え撃ったんだけれど、今のわたしの神使力はそれと比べられないほどに上昇してきたから、こんなんでもエリーちゃんの<大凍烈滅千本氷柱(ニラ・フォルーナレア)>を圧倒できるよーー。」


「なら、今度これはどうかしら~~? <純白氷雪大輪菊花轟嵐(ネラーデイシス)>ーー!!! 」


瞬間、エリーゼ先輩の周りの空気の零度が急激に下がっていき、その真っ白い霧を徐徐に範囲を拡大していった。触れようものなら、アイスの塊にでもなって凝り固まっていくだろう!


で、みるみる内にネフィールにまでその純白の霧が近寄りそうにはなったけど、


「--!! <個人大防御蒼色剛癖(ナゲリージョン)ーー!!」


素早く蒼い色の障壁を展開し、その霧を阻んでいる防御系の現神術を張っているネフィールが見えた。確かにそれはエリーゼ先輩や前のユリンが使っているような複数人を守護するための障壁じゃなくて、術者一人だけを敵の攻撃から守ってくれる技だっけー?それも超上級のもので、第4階梯のものなんだなぁ.....。


 で、危機感があったから、障壁を張ったんだろうな。なにせ、その霧はジェシー・クレファスを振るって追い払おうとしても無効化だけだっただろう。さっきのと違って、今回は1階梯も上の現神術なのだからな。 


「第5階梯の氷雪系現神術ですってー!?その第4階梯の<大反発防御障壁(イエクトス)>を保ちながらだなんて、この2週間でどんな訓練をしてきましたのー!?」

エレンまでもが驚愕してる顔を浮かべるけど、異なる系の現神術を同時に使用するのってそんなに大したものなのー!?


「ルーくん、見てー!!」

「-うんー!?」

梨奈に促されて視線を舞台上に戻せば、


ピキピキピキピキ.........

霧の中に数え切れないほどの純白の色をしている菊花に似てるものが形成され、それがキラキラと光を反射しているように輝きながら、冷風を漂わせながら、徐徐にネフィールの障壁の直前にまで迫り寄っていく。


でも、なんかその純白の菊花のようなものが次々と一箇所一箇所に複数の群れ...というか、分断された別々の群集に集結していって、それぞれが意思を持っているかのように、車輪のように回転しながら、超寒そうな極寒の冷風を撒き散らせながら、じりじりとネフィールの障壁に近づいていく。


「やあああああーーーーー!!」


エリーゼ先輩の叫びと同時に、その凍っている菊花の複数の群集がネフィールの障壁に飛び掛っていくのを見ることしかできずにいる、俺達3人が待合室の窓際にいるのであった。


あれって、かなりやばくなってきたんじゃないー!?


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