第二十二話 早山ルーイズサイド:悶絶した
「す....」
「すごいですーー!森川さんーー!!」
「さっきの早山君と同じく放った<赤色中燃炎球(ダリスターズ)>だったけど、彼のを上回る威力って、女性ヴァルキューロアならではの結果のようなのねーー!」
梨奈の(ダリスターズ)がこの部屋の石製の壁で展開されている先生の硬重橙壁(シェリスター)を燃やし尽くす勢いで天井までその焔の火の手が及びそうになるのは確かに俺より遥かに強力なので、それで口々に称賛の言葉があの3人組からあがった。でも、もっとも饒舌になってるのはジェーシカーなのである。入学してきて4日間しか経ってないけど、観察していて分かったことがある。色気たっぷりなお姉さんキャラなミリーや周りの意見を窺うばかりなノルマと違って、ジェーシカーは常に自分の思った事をそのままいえるような女子のようだ。
「お前ら、静かにしろーー!!採点するぞーー!」
騒いでいる3人組の少女達を黙らせた先生は梨奈の脇に進むと、目の前にある燃え盛る炎を凝視した。
「先生、どうだったのー?」
恐る恐るといった感じで控えめな表情で聞いた梨奈。
「うむ。さっきの早山の放ったものはお前のと一緒で、そこの硬重橙壁(シェリスター)の横幅すべてを燃やしたけど、奥の第3層まで突破できなかった。それで、70点にしたのだ。じゃ、この目で見てお前のを観察してみると、...........なんと第3層を見事に破壊したけど、最後の層は残念なことに突破できなかったんだ。よって、お前の点数は80点にしよう。」
「---!?やったー!」
先生の判定を聴いて嬉しくなったようで、頬を綻ばせた梨奈は喜びの声を上げてはしゃいでいるようだ。時々、俺の方を向いて、「見たでしょ~~?これは幼馴染パワーってやつで」と言わんばかりなしたり顔を向けてきて、なんか悔しくなったぜー!
まあ、次の授業は絶対に負けないぜ!
「わあああーーー!!すごすぎるね、森川さんーー!!」
「早山くんも強かったけれど、彼の幼馴染の方も侮れないようですね!」
「ネフィールさんは元々、エレン殿下様の部隊に所属していらっしゃったし、この王国の期待の星の一人でもあるし、去年からずっとこの学園に通っているけど、今年度が始まって早々にこんな天才二人が入ってくるなんて、アタシ達のクラスって超当りなのよねーー~~!」
またもあの3人組が和気藹々しはじめるぞー?まあ、わからんでもないけど。こんな明らかな実力を見せる二人の少年少女が新しいクラスメイトとなれば、ああ興奮しちゃうのはしかたないことだ。
「やっぱり、森川さんにも早山くんと同様に、呼ばれる称号が必要のようなのねー。」
「そうだねー!ああ、じゃあーーさあ~~、<凛然なる赤燃少女>とかどうだろうかーー!?」
「そうね、そうね、じゃ、それにしようよー!」
「うん、うん、<凛然なる赤燃少女>でいいですよね~~。ね、森川さん~~?」
ん?他のクラスメイトも会話に加わっているように見えるが、なんかいきなり話が変な方向に向かっているようだけど、あれってさっきの俺と同じくーー!??
「それーーー呼ばないでもらえないかしら~~~~!??」
と、顔を真っ赤にして恥ずかしがっているような梨奈は悲痛な声で懇願みたいな疑問系な台詞を上げて顔を両手で覆うようにして、蹲っているようだ。.......お気持ち、充分に分かるよ、梨奈..........。
変な称号を与えられて同士である俺達は盛り上がってるとこのクラスメイトを見て、ため息を漏らすばかりだった。
15分後..........
現神術学も終わり、2階の2年B組の教室に戻った俺達の次の授業は世界史だ。
前の現神術学の授業で、いい成績を収めた俺や梨奈はその後、変な称号をつけられたことでお互いを慰めるようにして、周りから遠ざかっていくように体育室の端っこに移動し、密着してる状態で寄り添って体育座りしながら交互に昔話で花を咲かせていたんだが、話に加わりたい様子を見せる3人組は俺達の親しいやりとりを見て気を遣っているか、割り込まずにそっとしておいてくれた。おかげで、少し気持ちの整理もできたので、サンクスと心の中で声をこぼした。
その後、先生に呼ばれてにししって踏む出していったネフィールの番が回ったが、結果はいわずもがな。そう。悪戯ばかりやらかしてきたのにも関わらず満点の100点で、全ての層や障壁の全体を破壊しつくして、塵一片も残らないような超絶な成果を披露しやがったー!
それも、雷系の現神術で。確か、<中破白烈雷薙波(ラゼリンーズ)>だったっけ?あれはマジで半端なかったよなー!発動する動作は右腕を横向きに薙ぎ払うように見えたから、なんなのと思ったけど、直ぐにその行動が一秒もたたぬ間に横長い白い色の雷が一列横幅に伸びていて、まるで雷性の波動みたいなのが放出されて、あれで先生の橙色の障壁を悉く粉砕したのって、本当に絶景だったよー!
まあ、あの小悪魔少女は元々この学園に一年も前から通っていて、エレンと付き合いも長い現地人のヴァルキューロアなので、俺達4人の異世界人と違って、純粋な長年の努力や訓練で身についた実力なんだから、俺達より現神術の心得が上なのは当然なことなのである。まあ、<神の聖騎士>としてのチート特典もついている俺達なのだから、きっと一ヶ月間もたてば、ネフィールどころか、<ナムバーズ>3位であるエレンの実力にまで成長できるんじゃないーー?
「では、世界史の授業、はじめるぞー!」
おっと~!
色んなことを考えていたら、世界史学を担当しているレニミア先生が入ってくるのに気づかずにいるみたいだった。
ん?
またかよ、これーー!?
「先生ーー!少しでいいですか?」
「ん?早山くん、君か!今年の学園の期待の星で<奇跡の子>なる世界初の男性のヴァルキューロアは....この数日間で数々の傑作をやらかした困った少年はーー?」
それは違うわーー!
って、なんだったのあれー!?まるで俺が好き好んでフェルリーナにちょっかいを出しにいった口ぶりはーー!?向こうが勝手に絡んできて、謝っても許してもらえずに挙句の果てに負けたら奴隷になれっていう条件つきの決闘まで申し込まれたんだったから、こっちは必死になって戦うしかなかっただけなのにーー。別に力を見せたいからって試合に臨んだわけじゃないのに.......。
「「「くすくす......」」」
俺の困った反応を見て周りの女子も可愛く手で口元を押さえながら小声で笑っている。もうーー!からかわれるマスコットとして通ってるわけじゃないのに.....しくしく....
「あはは....悪かったな、早山くん!ただの冗談だったわ。」
冗談かい、あれー!
「もうー!先生って、もしかしたら俺のこと嫌うのかと思ってた!酷いよー!」
「あはははー!ごめんごめんー!場を和ませるためのものだったのよ。ここ数日、ぎすぎすした雰囲気が学園中いっぱいだったから、なんとなく冗談いってみたかっただけなの。許せー。じゃ、それで、手を上げて何か伝えようとしたけれど、なんだったのー?」
「はい.......。その......お手....洗いに.....行かせてもらえない.....でしょうか......?」
途切れ途切れの小さな声を絞り出した、やっと言えたんだけど、超恥ずかしかったー!女子しかいない教室で、こういうこというのって想像以上に勇気が要るなぁ......。
1分後:
その後、くすくそと周りに微笑まれて小声で笑われて、「早山くんって以外と漏らし系男子なのー?」「それってなんか個性もりもりじゃないっすかー!?<奇跡の子>で世界初の男性のヴァルキューロアに、<見たことない肌色の黒い男の子>で、入学してきて早々にたくさんの信じられないことを成し遂げてきただけに飽き足らずにそして今は漏らし系ですってー!?なにそれー!?お婿にこないかしら~~?」
と、変な話し声まで聞こえてきたので、それをスルーし猛ダッシュへとトイレに駆け込んだ。
「ふうううーーーー。すっきりしたーー!」
用をたした俺はズボンを履きなおして、個室から出てこの豪華なトイレの外へ出ようと出入り口のドアの近くまで歩いていったがーーその時だったーー
パチーーーー!!!
「~~~~~!!!!!~~~~」
いきなり、強烈なビンタみたいな叩きが俺のお尻に炸裂し、ズボンに覆われてるのに赤色にまで腫れるだろう今まで感じたことのない激痛が俺のお尻の皮膚の隅々にまで拡がっていく。
その激痛に堪えられず、蹲っている俺はお尻を後ろに伸ばした両手で抑えながら涙目になりながら、犯人を確かめようと振り返る、
そこで、俺の後ろで、青い髪セミロングを横に片側だけ結んだお洒落な感じの美少女がこの学園特有のエッチな制服を着て、セクシな紫色のタイツを履いて前のめりの姿勢で俺を見下ろしながら、巨乳を自慢してるようなポーズで右手をひらひらさせながら、ニヤニヤしている。それで俺のお尻を叩いてきたのかよーー!?梨奈からもされたことなかったのに、なんなんだよ、お前ー!?
また、女からみの事件かよーー!それもまたトイレ関係で........。
女子生徒が在校生の大半を占める女学園に通っているからってこの世界に来てから、次から次へといつも女難の相に合ってきてなんなんだよーー、これぇぇーー!!
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