第二十三話 早山ルーイズサイド:変わった王女
「な....なな......なんなんだよ、あんたはーーー!」
ひりひりがまだ残るままのお尻をさすりながら、勢いよく立ち上がった俺は彼女の目と鼻の先まで近づいていき、抗議のつもりで声を上げる。まあ、こんな美少女にお尻を叩かれてむしろお得だと思わんでもないけど、いかんせん知らない女の子からこういうことされるのって、なんかいらっとくる。
「ふふふ......どうだろうか...?ワタシの<ケツ叩きの魔手(ましゅ)>はーー? 痛いだろうー?よほほよひひ........」
「..........。あれー?」
なに?その........ 変な笑い方はーー?
漏その青い髪セミロングな女の子は長身を誇るように背を弓なりに逸らして、その豊満な胸を張って得意顔になってる。至近距離で見つめ合うようにしてる俺だけど、彼女は今度、普通の体勢になって、その綺麗な大きい青い瞳を真っ直ぐに俺へと向けた。
「さっきはただの挨拶のつもりで君のケツを叩かせてもらっただけだ。気を悪くしないでくれ。」
「あはは....そうかそうか.....ってなるかー!ぼけー!」
どうやら、頭があれな女の子らしい。しかし、尻を叩かれて痛みがまだ残ってる身としては頭に血が昇ってお返しとばかりに彼女の頭に拳骨を振り下ろそうとしたけど、
「よっとー。」
後方へバックステップし避けられたー!しかも、ニヤニヤしっぱなしでいるし。
「おっと。そこまでだ、黒い少年よ。」
今度、白い人差し指を伸ばしてきて俺の鼻に突いてきた。
「--!?--」
たったそれだけで、俺の全身に強烈な脱力感が駆け巡り、それでへなへなと両膝ががくがく震えっぱなしになって崩れていって、トイレの綺麗な絨毯が敷かれる床に腰を抜かしてしまった。
「一体なんだったんだ、あれーー?」
自分の身体の変化に不思議に思った俺はそう聞いたが、
「大人しくするために君を座らせてやっただけだ。じゃ、動かないでそのままにいてね。--よっと。」
悪戯を図るかのような微笑を浮かべた彼女は床から立ち上がれずに動けないままの俺の近くまで歩いてきて、あろうことか、俺を押し倒し、胸板にそのぽよよんとしたおっぱいを押し付けてきたーー。
「~~~~~はぅぅ.......」
その呻き声しか出せない俺は見下ろしてきた彼女の綺麗な顔を眺めながら、熱に浮かされたような気持ちを覚えながら、胸に感じるその柔らかい感触にドキドキしだして、血流が全身へと激しく循環していく。
「ワタシ........ずっと前々から、<神の聖騎士>なるものに憧れていて、その話を授業から聞かされた時から思ったことがあるんだ。もしこの世界へ、いつか<神の聖騎士>が召喚されたら、男性だった場合、是非ともお会いしたいなぁと思うんだ。しかし......別の世界から召喚されてきたとはいえ、まさかこんなに黒い肌色を持つとは思わなかったな。」
と、そう言いながら、俺の顔を無遠慮に両手に撫で回してきた。くすぐったいけど、なんかすべすべしてる手で悪い気はしない。むしろ、気持ちいーじゃなくてー!」
「ーー!?どうしてそれをーー!?」
いい匂いがしたわ、柔らかいマッシュマローみたいなものが俺の胸板に乗ってきてるわでそれどころじゃないはずなのに、彼女の口から出た言葉が予想外すぎて思わず聞き返した。
「どうしてワタシがその事実を知ってるのかって言いたいんだね?よほほよひひ....。答えは単純なものだよ。何を隠そう、ワタシはこの学園の<ナムバーズ>2位、アスリン王国が第一王女、アイシャ・フォン・ルゼーヴィンヌだからだ。」
小悪魔的なニヤケ面を保った彼女はその驚くべき事実を告げてきた!2位ってことは、エレンより強いんだなー!
道理でたった指一本だけで、神使力量の差で圧倒し、それで俺の身体を脱力化してきたに違いないー!しかも、エレンと同じく、第一王女様だから、向こうの国の未来の女王様ともなる予定の要人人物である。
「確か........ネネサ女王から聞いた話によると、俺たちの正体を知ってるのはこのゼンダルの神官達、メイドや一般兵士を除いて王城内にいる高官、エレンや現地人の仲間3人で、生徒会の面子の他にいるローズバーグ会長やあの無口で内気っぽい女の子......確か、名前はリシェールだったっけー?その.....会計職を務めてる子って。」
「ええ。よく覚えてるな。まあ、その他にはこの周辺国にいるすべての王族、選ばれた高官や神官達も既に情報が伝わったんだよ。」
「へえええ.........言われてみれば、確かに女王やエレンからもそんな話があったな。ん?でもでも、王族はわかるけど、他に高官とか神官とかやばくないのー?えっと....ですか?でも、人の口に戸は立てられぬので万が一に口が滑ったりとか故意的に他言したりしたらこの事は一般人にまで話しが広がってるぞーー?まあ、あっちの国で俺達の正体が知られてもなんか困るようなことでもないと思うが.....」
「よほほよひひーー!それに関しては安心しろ。厳しい罰則は各国に新しく可決され実行中なので、一生投獄されたくないやつらは何があっても口外しないだろう。」
「左様ですか......」
確かに法律は実施されたんだけど、何かのはずみがあって罰則を下されても構わずに周りへ口を漏らす人も出てくる可能性があるので、本当にそれだけでいいのって思わんでもないけどそれが向こうの事情だしこちらとしても深く気にする必要はないだろうなぁ.......。
「で、ワタシが王女だと知った途端、敬語になってるようだがその必要はないぞ?<神の聖騎士>であり未来の救世主である君の方はワタシより上の立場にあるじゃないかー?よほほー。」
そう勧めてきた彼女。まあ、本人がそういってるんだから、お言葉に甘えるしかないね。
しっかし......何度目かになるそのおかしい笑い方をこぼした彼女は今度は妖艶な表情になり、俺の身体へ更に密着してきた!
気持ちいい感触が胸板でいっそう強くなって、心臓がばっくんばっくんいってるようで苦しいー!っていうか、あそこにも血流が集中していってかなりまずい状態となってるー!俺の頬も恐らく前より赤くなっていてこの黒い皮膚とミスマッチし、きっと変に映るだろうなぁ.......
「そういうなら、喜んで敬語を使わないようにするけど、でも.....その........身体をどけてもらえないだろうか.....?あんたは<ナムバーズ>2位だからさっきので俺を無力化してきたんだけど、そもそもなんなんだよ、あんたーー!初対面なのに人のお尻を叩くわ、指だけで腰を抜かしておいてきて次は押し倒してくるわで、一体何が目的なんだよーー!」
王女だからってやっていい事とそでないという区別もつかないとかありえないことだー!学年は明かしてもらえないので、俺より年上かどうかわからないがそれでも知らない異性に対してこういうスキンシップしてくるとは、王女としてどうなんだよー? それに、豊満な膨らみを執拗にすりすりされて、そろそろ限界に近い俺はそれを誤魔化すように彼女の不可解アンド理不尽な行動を声を荒げて責めてみたが、
「まあ、まあ、落ち着けよ、黒い少年よー。ワタシはただ、<神の聖騎士>としての君の能力が本当にあれでもできるか、検証してみたいだけだー。」
「ん?話が見えないなぁー。どういうことだー?」
「ええー?もしかして、まだ知らされてないの?君んとこの国の女王様からー?」
「なんの話だ?」
「ほう.......。これは説明した方がいいのかな......?部外者であり、外国の王女でもあるワタシが明かしていいのかなって、検討せねばなるまいなぁ.......」
右側にだけ髪の毛を結いあげる彼女はそれを頭を上下に振りながら揺らしていてううんと唸ったり、顎に手を乗せたりして難しい顔になってる様子だけど、なんだったんだよー!まあ、その仕草は可愛いからいいけど。でも、やっぱりー! もったいぶらずに早く教えてくれよなー!?というか、俺の顔面近くからいったん上半身を起こして姿勢を変えていく彼女ではあるが、俺の太ももや股間に乗ってる彼女のすべすべとした生地のよい紫色パンツ、マジでたまらん!じゃなくてーー!
「授業があって先生が待ってるから、頼むよー!どいてもらえないかーー!!?」
アイシャ王女の話がすごく気になるけど、それどころではない俺はもっともな理由でお暇をさせてもらいたくて、それで必死に叫んだけど、果たしどうなるのかー?
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