第一話 春介遼二サイド:衝撃

聖メレディーツ女学園、早山ルーイズがフェルリーナと最初の決闘に挑む、入学してから最初の一週間で、最初の登校日である:


僕の名は春介遼二で、日本に生まれた普通の男子。幼い頃、何人かの友達と幼馴染がいたけど、中学校に入ってからはみんなバラバラになって、一年生の時は少しの間ボッチやってたのを今でも思い出した。まあ、僕の容姿のお陰なのか、何人かの女子に興味を持たれて話しかけられたり、告白されたりもしたけど、その時の僕は異性にあまり興味なくて、それもそのはず、小学生の時は自分が少し太っていたからそれで女子に苛められたこともあった。その頃は一年も経ったら男子校に転入したからいじめ問題はなくなったけど、やっぱり同年代の女子に対するトラウマが大きく、簡単には打ち解けなかった。


中学生、一年生になった僕はその当時、既に痩せていてルックスもそれなりに進化した僕は同年代の異性からモてるようにはなったけど、やっぱり過去の出来ごとが鮮明に脳内に保存されていて、記憶として強く焼き付けられているので簡単に同じ年代の女性とは苦手意識があって、告白や友達勧誘を全部断ったり、冷たい態度取ったりしてた。その所為で、クラスメイトからはそっち系の疑惑も浮かび上がってきた、評判が悪化していくばかりだった。で、ある日、ボッチ飯を昼休みの屋上で取っているその時に、彼女がドアを開け放って、僕の目の前に歩いてきた!


そう。有栖川姫子だ。彼女は有栖川財閥の跡取り娘で、お父さんがたくさんの会社を傘下に抱えている複合企業である。僕のクラスとは別の教室でクラスメイトじゃないので、接触する機会は今まで皆無。第二次大戦が終結したから、昔ほど影響力と規模が大きくないとはいえ、財閥という制度も続いてきてるので、そんな大物を父親に持つ彼女が優雅な足取りで以って、黒タイツを履いている綺麗な長い脚を俺に向かって動かしてきた。


「ん?」

その時、弁当を食べているところだからドアが開けられた物音がしたらすごくびっくりしてるのを今でもはっきり覚える。

コン、コン、コン、コン...............

すたすたと歩いてきたその黒髪ロング少女は僕の前までくると、微笑を浮かべながら見下ろしてくる。

「美味しそうですね。」

「え?」

「ですから、美味ですよと言ってるんです。」

「えっと.............僕たちって、どこかで会ったことがあるんですか?」

「いいえ。こうして面と向かって君と話をするのは初めてですよ。でも、私は前々から君のことをずっと観察していて、そして気に入りましたよ。」

「え?」

一瞬、何を言われたか自分でも耳を疑いたくなる。

それを言い終える途端、あろうことか、彼女は僕のほうにしゃがみこんで、至近距離で顔を近づけて、僕の額に唇を寄せて、キスをした。

「私のペットとして、ですよ。」

「!??」

そんなことをいわれた時、ショックで声も出なかった。こいつ、何いってんの、と今でも思い出した。女性に苦手意識のある僕は彼女の台詞に対して、いきなり強烈な拒否反応を覚えて、直ぐに立ち上がって、後ずさったが、彼女の方は身体能力が上らしくて、すごい速度で目の前まで駆けてきて、そして僕の足を自分のと、薙ぎ払って、落とした。

「痛いーー!」

尻餅をついた僕だけど、構わずに彼女はスカートを捲って、顔面近くにパンツを見せてきた!

「私のペットになったら、いつでもこれを見せられますよ?ふふふ........」

その後、彼女は何事もなかったかのように僕の隣に座って手持ちにある自分の弁当を肩と並べて一緒にお昼を取ってたけど、長い間が経って、いつの間にか、彼女の他愛無い会話やスキンシップたっぷりな付き合いの元で、友人以上恋人未満な関係が出来上がってしまった。まあ、有栖川は実はサドであるという一面を持つと知った時は驚いたけど、その時はこう言われた。

「勘違いしないで下さいね。私がペットにしたいと思っているのは誰彼構わずじゃなくて、君にだけですよ?ですから、気が変わったら、私の婿になれ。そしたら、一生可愛がってあげますよ?私のペットさん~~。」

それを初めて聞いた時はすごい反対してたのを今でも覚えてるよ。確かに、こう言ってたっけ?

「はっー!なるものかーー!!僕の好みはお淑やかな子であって、優しい清純派な子だよーー!君のような変な性癖持ってる女はお呼びじゃないってのー!」

そう。それで言い返したら、今度は作り笑いであるかのように、怖い微笑.......というか、冷笑を浮かべた彼女は僕の右腕を両手で掴んできた。そして、きつく抱きしめていて痛いぐらいにーー!

「有栖川!?何やってんのーー!痛いから離せーー!」

「いいえ、離せませんよ~。君の事すごく気に入っているから、離しようがありません。まあ、恋人としてではなく、ペットだけならね~~。ふふふふ........」


そう。彼女は僕に対して、歪んでいるような愛があると見てきた。それも対等な愛じゃなくて、彼女が主導で責めるポジとして、受け役は僕であると彼女の脳内で自己完結してるって思考が出来上がった。女性に対する苦手意識は確かに有栖川のお陰で、改善されたけど、それを機に対等な関係で普通の女の子とすごく付き合いたいという感情が芽生えるので、何としても彼女の束縛から身を離す必要がある。それに関して、有効的な手段の一つとしては彼女との関係をただの友達か、または腐れ縁であると周りの人間に認識させる必要があった。理由は違うけれど、有栖川も僕と同様に、対等な関係とは微塵にも思ってないらしくて、もし家の人間とか周りに恋人同士疑惑を聞かれても、「いいえ、私達はただの友達同士、ですよ。それも3年間前から。」と答えただけ。なので、随分と居た堪れない気持ちを数年過ごしてきたけど、とある日、有栖川と一緒の高校である名門の島羽学園に進学したら、<彼>と出会った。


「いってーー!」

肩とぶつかってきたのは別のクラスにいる男子らしくて、教科書の山を両手に持って、職員室へ運びに行くために廊下を通っていく最中だったが、それが起こった。

ぶつかってきたので、教科書が散乱と崩れていて床に落ちた。

「ごめん!考えごとしてて前をよく見てなかったーー!」

慌ててそういうと同時に拾うのを手伝ったが、彼の顔、髪型と肌色をよくよく見ていらば、ええ?黒人さん?と気づいた。

「えっと........君って誰ですか?その制服から見る限り、うちの学園の学生さんですよね?」

「うん。そうだけど?」

と聞いてみれば、その後は色々打ち解けて、趣味がいっぱい共通してるものが多くて、初めて気の置けない、同性の親友が出来ちゃった気分になったのを今でも思い出せる。


彼の幼馴染である森川梨奈ともお知り合いになって、この一年間よく4人で過ごしてきたから、前のように、肩身が狭い思いのままの生活から完全に脱することができて、想像もつかないような充実した学園ライフを送れてきたと自覚してきた今。

この世界へ4人で召喚されて、あの平野でデカいムカデから逃げ回っていて、4人で聖メレディーツ女学園へと編入して、初日でルーの奴がフェルリーナとの勝負の果てにローズバーグ会長に登場されて、その同日の昼休みは全員で生徒会室にてお昼を取りながらこの世界の現状についてのお話も聞かされて、その後は全校集会に臨むために体育館へと有栖川と二人と一緒に向かっていって、ここの僕ら二人の教室、本棟である2年E組に戻ってきて、現在に至る。


午後の授業は二つしかないから、今この授業が終われば、直ぐに放課後ってことになるけど、ふと隣席に座っている有栖川を見てみれば、彼女はこの世界、<リルナ>についての世界史の授業を真剣に受けているらしくて、黒板にチョークで何やら書いている先生の内容を夢中にノートパッドで書き写していく。彼女、この世界についての言語はまだわからないのに懸命だな。確かに<神の聖騎士>の一つの権能として、この世界の住民とは普通に会話がかわせるようにと大母神から便宜を計らってもらったが、読み書きに使われる文字と単語は自力で学んでいくしかない。まあ、恐らく、エレン姫かその配下の部隊に所属している隊員の子たちに勉強に付き合ってもらいに行くけどね。


「ん?」

ちぇー!こんな時にこれからー!?

そう。今の僕は今朝のルーと同じで、自然現象の一環として、体内にある廃棄物を排泄しに行く必要がある。よって、椅子から立ち上がった僕は先生に向かって、

「先生、お手........洗いに行かせて下さいませんか?......」

周りには女子しかいないから、そういうこと聞くのにも勇気が要るがもう我慢できなかったんで仕方なくこんな行動に出た。


「ね、ね、聞いてよ?<奇跡の子>がトイレだってよー?」

「くす、くす、案外、初の男性が大母神様から<戦闘可能な神使力>を授けてもらえても、あたしたちと変わらずにお手洗いに行く必要があるわねーー?くす.......」

「だよね~~?でも、そういうの結構可愛いなあ~~と私は思うんだよ~~?」

「男子が入学してくるから、あたし達女子がトイレに行かなくて済むように必要時は<廃棄物消滅ネスガル>が得意な人にかけてもらうよう学園長やローズバーグ会長に推奨されたけれど、何かあたしも彼と一緒におトイレに行きたいなあ~~~なんちゃって~~~。」

「へえええーーーー!!!??ヤナ、それっていくら何でもはしたなさ過ぎるよ~~!!エッチな子は殿方に嫌われちゃうってお母さんがいってたよーー!?」


と、女子の騒がしい話し声に加えての集中視線のを浴びながら恥ずかしい思いをして教室を出ていった僕。トイレは確かに、ああ!ここだなーー! そう。

中へ入ってみて、どうやら、ここ2階のトイレはルーが今朝に入っていった1階のトイレと同じく豪華な作りのようだな。さっきは昼休みの時が来た途端、生徒会室へ行く前に1階へと寄ってきたからわかる。敢えて相違点があるとすれば、少しだけ面積が小さいか?まあ、ここはもう僕たちの入学時が決定された日から、女子が入ってこないように学園側から厳しく勧められたけど、ルーの時みたいなことが起きなければよいのだが..............


「ふんーー!」

と、息を吐き出したと同時に無事で排泄行為を済ませた僕は個室から出ようとしたけど、急にドアが開く音がしたから、慌ててそれを断念して中へと引っ込めた。


トン、トン、トン、トン..........

と、ゆっくりとした足音で中へと入ってくる音がしたけど、やばいーー!!!女子生徒って確かにトイレには立ち入り禁止って決まりがあったはずだ!なんで、入ってくるんだよーー!?まさか、運よく女子じゃなくてルーが入ってくるとも限らないし、どうしよう!??


と、個室の中に物音も立てずに緊張いっぱいで困惑顔になり汗を垂らしだした僕は生唾を飲みながら、耳をよく凝らして外の気配に向けて聴覚を研ぎ澄ませている。

「~~~んんんん~~~あああぁぁぁっっっ~~~~🎵。いいっ~~~♥️。」

ん?個室のドアに身体を張り付いてよく室外の物音と気配に耳を傾けていたら、そのような変な声が聞こえてきたぞーー!

「あああぁぁぁ~~~~♥️! うううんん~~~!♥️ それ、すごくいいの!もっと~~🎵~!」

...................................................なんだ、これ?...........................


「うううううんんん~~~~~🎵!あんんんん~~~~♥️!!」

まさかとは思うけど、これって何かの夢なのーーー!??

僕って、最近そういうのあまりしなかったから、もしかして溜まっているのかな?

と、頬をひっぱてみるけど、痛い!やっぱ夢じゃないじゃんーー!

と、現実であると確信した僕はお恐る恐るといった感じで、しゃがみこんでドアの下の大きな隙間から外の様子を覗き見しようとすると、


「うんんんん~~~~🎵!あん~~~♥️!!」

マイクらしき機器を片手に持って、それを口元に近づけて、歌っているように見えるエリーゼがいる(というか、それは歌ってるんじゃなくて、喘ぎ声に近い感じがするが.................)。 ええええーーー!??なんでーーー!??何かを練習してるって感じなのかよーーー!??


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