第7話 神滅鬼と 『神に仕える戦乙女<ヴァルキューロア>』3
シュルーシュルーシュルルルーーー!
そのような音を響かせながら、気持ち悪く体の両側面に生えさせたばかりの全ての触手を天高く蠢かせたあのでかいムカデある。
「ルーくん、あれって!」
「ええ!やつ、再生させやがったな!触手を!」
「それにしても、早い速度で生えてきたね、それら全てを」
「あの子達が大技を何発も食らわせたのに、それが全て水の泡に終わるだなんて理不尽過ぎませんか?」
と、俺たち地球人4人はそれぞれ目の前で起きた卑怯な出来事を驚愕とした表情でそれぞれに反応した。
「あっちゃ、<触手再生>を使ったね、<サカラス>のやつ!」
「ネフィーっち、ドンマイ!エレンっちやローザっち、どっちも攻撃態勢に入ろうと構えるらしいよ!」
と、その会話を交わした鎖で繋がった二刀の刃を投擲したネフィーと呼ばれた緑色ショット髪な子と小柄な三つ編みの茶髪っ子であるエリー。
前方に駆けていた白タイツを履いているエレンや紫色のニーソックスを履いているローザと呼ばれた紫色ポニーテール少女は結構短めなスカートをひらひらさせながら急に動きを止めて何かの構えに入ってるっぽい!ううお!! 真っ白い太ももが見えたし、今のポーズもなんかエロイから、つい目を点にしてガン見してしまった。いかん!危険なアウラを感じたので隣の梨奈を見てると、なんかじっとした目でこっちを睨んでるぞ!手の甲に爪をたてられて痛がってる俺だったが、すごい風が吹き付けてきたので、前に視線を移動させていると、
「....はああーー!」
ローザの周辺に強い風圧みたいなのが発生されてそれを周りに吹き荒んだ!それに伴って、彼女の中心からは半径2メートルの赤い円筒型のアウラが地面から天へと昇ってるので彼女の方に集中すると、腰ためな姿勢になって両手で握っている長い槍を前方1キロにいるムカデの方に突きつける。何かを溜めている途中か、動かないままでじっとしている。
「皆さん、この結界の中からは術者の許可なく外へは出られないので注意する必要はないかもしれませんが、一応言っておきますと外で起きている何らかの現象があっても、こっちへの影響は一切ありませんのであまり身構えなくていいですよ。」
と、ユリンに言われてほっとすると、
シュシュシュシュシューールルルルルルルルルルーー!!!
また気持ち悪い音と同時に激しく蠢き出した何十本も及ぶ触手に視線を移すと、もっと赤黒く表面が変色してきて体のあっちこっちへ不気味な脈拍を繰り返す真紅の痣のような物が膨らんできた!それだけじゃなくて、それが黄色い液体や黒い塊みたいな物を同時に滲み出しながら奇妙な音を口元から立て始めやがったぞ、あのムカデ! ヤバイ!なんか超吐きそうになる!「うえー!」と聞こえてきたので隣の梨奈を見てみると彼女も俺と同様、口元を押えて堪えようとしてる。心配そうになったので、彼女の肩や背中を摩って目を閉じるよう促した。その奇怪な変貌を遂げたあれを見兼ねそうになると、数秒も満たない間にまるで閃光が走ったかのように、時速500キロメートルにも及ぶであろう全ての触手が落雷の如く一斉に俺たち全員のそれぞれの位置に向かって放たれてきた!見た目に反して、賢い真似しやがったな!ポニーテールっ子であるローザがその技を完全に発動する前にこっちを仕留めるつもりで先制攻撃を仕掛けてきたんだろう。
「<シャードゥン>!」
そう唱えたローザは槍の先端から無数の光線を放っているように見えた!それに呼応するかのように彼女の周りにずっと引き起こされていた強風も何の前触れもなく止んで、さっきにアウラみたいな物も消えたみたいなので、多分それの全てがあの槍の先端に集束したんだなと用意に察するができる。
ヒュンー!ヒュン!ヒュン!
風切り音が何回も響いたと同時に、槍の先端から放たれた数多くの光線が弧を描いて向かってきた触手全てを迎え撃って消滅させた!デタラメ過ぎだろ、あのローザって子!信じられないような現象が起こり過ぎてもう頭ん中がパンクしそう。
「もう見飽きましたわ、その醜い外見が!これで留めですわ!」
と、凛とした声でそう告げたエレン姫がさっきより早いスピードで駆け出した途端、ムカデとの距離を一気に詰めた。消滅させられた触手をまた再生するも間に合わなさそうなので、それを使っての迎撃を諦めて頭身にある触角での迎撃に切り替わった! 触角から放出された火球をエレン姫が剣で切りつけて霧散させた。大型な火球をそれより小さな武器で消したという芸当をやってのけたその金髪美少女は急に跳び上がってムカデの頭上にある触角を切り落とした直後、頭身に着地した途端それより上を跳躍して黄金色に輝き始めた大剣を上段から下に向かって振り下ろした!
グチャーーーーーーーーッ!!
という擬音と同時に頭身を真っ二つにされたあの<サカラス>と呼ばれたでかいムカデであった!ああー今度こそやっと終わったな!お疲れ様、エレン姫!超かっこよかったぜ!
「ルーくん!」
と、梨奈に袖を摘まれると、俺も彼女の方に振り向いて微笑んだ。
「今度こそ終わったみたいね、梨奈」
「うん!すごかったね、あの子たち!」
「ええ、マジで現実離れしためっちゃくちゃな超現象を引き起こしてたなあ!」
「やっぱり、戦女神(ワルキューレ)と呼ばれても納得できるぐらいの強さを持っているんですね」
と、俺たち地球組がそれぞれに感嘆とした感じで彼女達の成した大成果を称えていると、
「いいえ、有栖川さん。彼女達ーいや、-私達はワルキューレではなく、神に仕える戦乙女<ヴァルキューロア>と呼ばれていますよ。大母神であらせられるシェレアーツ様から力を貸して頂いて、神滅鬼と戦えるように戦闘可能な神使力を授けて頂いている者です。それによって、この世界であの怪物達と戦える存在は現神術や現神戦武装(げんじんせんぶそう)を使える我々だけです。つまり、戦闘可能な神使力を有しないと、現神術や現神戦武装は使えないという事ですね。」
と、そう説明したユリンが慈愛深く俺達4人に微笑んで、こちらへ歩いてきたエレン姫達に向き直ったのである。さっきも思ってけど、ユリンって、めっちゃ綺麗ね。俺達と同年代っぽいな見た目をしているにも関わらず、なんか大人のように凛々しい風格を身に纏うというか、とにかく超憧れちゃうね、ああいう女の子って。って、顔色を熱くしたまま彼女の事をうっとりとした眼差しでじっと見つめると、いってー!!
また、我がツインテール幼馴染である梨奈に耳を摑まれたのであった。
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