第2話 親友と幼馴染
俺の名は早山ルーイズ(はやま るいーず)だ。両親は元々、アメリカ国籍も持っている生粋な黒人夫婦だったが、結婚して間もなく日本に引っ越してきた。何か事業を日本の友人達と共に起こして、大金持ちになって大手会社にまで運営する事になったオヤジ。様々の功績や利益を日本という国でもたらしてきたので国籍や市民権を得るのは簡単だった。その間に俺は生まれた。
で、日本の友人達と一緒にそのゲーム会社で様々な作品を作ってきたが、自分が7歳のときにある日いきなり自分の母と離婚したいと言い出してきた父だった。母と一緒に真相を調べたら、どうやら日本の女性と密かに逢引してたようで、母に飽きてしまったんだろう。自分はそういう浮気性でどうしようもない男と一緒に暮らしたくないので、母と暮らしたいのをよく主張したという思い出があった。
結局、母と暮らしてきたが、日常生活がそんなに苦ではなかった。だって、母もそれなりに個人事業も持っているし、父ほどではないにしてもそれなりに裕福層の部類にはかろうじて入っている。何より、小学生の頃から、梨奈というやつと知り合ってから、同性からのいじめもなくなってきたし。あの時はみんな子供だから、何もわからなかったげ、きっと自分がお金持ちの息子だという事を理解したら、自分に媚を売ってきたかもしれなかったな。で、長い月日に亘って莉奈のやつと他に複数の友人もできたけど、この名門の高校、島羽学園に受かって通うようになったら、莉奈以外はみんなバラバラになった。
今、俺達は2年生だったが、当時の一年の時から、よくクラスメイト達に囲まれてていつも俺に構って良くしてもらってたが、大方、俺の財力が目当てなんじゃないかと梨奈のやつと一緒に談論してたが、そういうのは結局、自分がなんとかして巧みな対応によって彼らとの関係を円滑に進ませてきた。
まあ、人気者になってるのは嫌いじゃないが、心の底から気が許せるような関係にあるのはただ梨奈と後、二人だけ。彼ら3人は本当に裏表なく俺と友人関係を保ってきて、いつもこっちが奢ろうと言い出しても断ってきたばっか。まあ、さすがに特別な日とかは3人も自分の提供を受け入れたが。ちなみに、財力という面で考えれば、母以外にお金持ちな家に生まれたのはもう一人なので、仲間内に自分だけがそういう境遇にあるわけじゃないというのは少しほっとした。
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「ねえ....」
「ん?」
「あんた、何かいい訳があるの?」
「そ...それは....まあ、その、教科書わすれたのってそんなに頻繁な事じゃないし、今回の事は..えっと、みー見逃してもらえないでしょうか、梨奈..様?」
「だ.か.ら!あたしが怒る時はその言い方、やめてと前から何度も言ってきたのにー!!」
「いって!!!」
膝の下辺りに軽くキックされた俺である。ああ、確かに痛いけど、でも時々気持ちよく感じるのはなんでだろう...ああ、いかん!俺の中のマゾ声が邪悪な波動を始めたので気を切り替えないと!しかし、確かに遅刻で俺達二人が廊下に立たされるのはどう考えても自分が悪かったけど。
で、数分も立ったら.....
前の授業が終わったのでようやくクラスに戻って座れるようになった俺と梨奈である。で、椅子に腰かけて数秒も立たぬ内に、身長の長いイケメンのような美形系な日本男子がこっちに歩いてきた。
「よう!朝から災難だったね、君達は。」
爽やかな笑みを携えて青い目を細めて挨拶してきたのは自分と梨奈と一年前の時から、ダチになってくれた我が親友、春介遼二(はるすけりょうじ)である。最初はなんか馴れ馴れしい態度をとってたから、てっきり他のやつと一緒かとは思ってけど、付き合っていく内になんか気が合うようになって、そしてゲームの事について話し合ってたり一緒に遊んできた内になんか色んな趣味嗜好が同じで驚いた事が何度もあった。よって、こいつは親友と呼ぶのに差し支えない存在となっているのだ。
「もう!ルーくんのせいでこっちまで巻き込まれたし、次は忘れ物なんかしないように気をつけるのよ!じゃないと、ただじゃおけないから。」
凄い目つきでこっちを睨んできた小学生からの我が幼馴染ではあったが、その眼差しを見て妙な興奮を覚えないように遼二に向き直った。
「あははは!いやまったく、なんで教科書忘れてきたのか俺でもドジしたなあとは思うよ!まあ、次からは気をつけるよ。ところで、お前最近、何かいいゲームがないか知ってる?」
「おう。その辺なら大丈夫よ。最近、「山の下の怪物」とかがあってさ、それはね!めっちゃ面白いんだよ!僕がやってる最中にいつ死ぬか判らない雰囲気と不気味さが伴うような背景や演出とかまじで半端ないって!後、「ロザリオ魔女」とかはー」
「春介くん!それ以上は言わないであげて!」
春介の早口を遮った梨奈だったが、それには訳がある。だって、「ロザリオ魔女」って、確か....あ、そうだ!あの糞親父の会社が作ったゲームだった!
いきなり、酷い眩暈に襲われた俺だったが、直ぐに持ち直した!なんか、強い怒りや嫌悪感を感じる時にいつもこんな風に血が頭に上りすぎて眩暈が尋常じゃないほどに感じるが、あるお医者さんからの対処方法を使って呼吸を整ったら、大体は収まるようになる。
「え?なんで?ああ!思い出した!悪かったルー!まったく覚えてなかった!そのゲームの製作会社って!って、汗が酷い!大丈夫なの、ルー?」
「はあ....はあ....大..丈..夫..なんとか...」
汗がいっぱい滲んで来て制服の上半身が少しだけ濡れている俺を見て焦った春介なのだが、それほど深刻ではないアピールをしてみる。
「ちょっと、ルーくん!そんな汗かいて大丈夫なわけないでしょ!取りあえず保健室へ行こう!?後の授業の先生は..」
「それ、任せて!僕から言っておくから!早山をよろしくね。」
「ありがとう、春介くん。じゃ、ルーくん、早く行こう?」
なんか妙に大事扱いになってしまってるんだけど、もう収まってきたってのに大げさだよ、お前達。ああ、梨奈!いきなり俺の腕を自分の肩に置いてるぞ!後、距離が近い近い!なんか、いい匂いがするし、それに、この右側に感じる柔らかそうな物体は??いかん、血があっちへも流れていくぞ!このままじゃ!
「梨奈、その、放してくれないかな?俺は十分に自分で歩けるので、普通に行こうよ。」
「だめ!あんたにはおばさんへの配慮がたりない。大事な身体なんだから、もっと自分を大事にしないと、おばさんが泣くわよ?」
却下された俺である。で、その後はなんとか理性を保って、熱くならないように念仏を唱えてたので何ごともなく保健室へは無事に梨奈と共に辿り着いた。
「ここで休んでてね。あたしは今、授業に戻りたいけど、もし具合が悪いままだったら付き添うけど、どう?」
「いや、その辺は大丈夫。授業を抜くと後で梨奈が単位を落とすかもしれないから、先へ返ってていいよ。」
「そう?なら、行くね。その.....」
「ん?」
なんか急にそわそわして顔色が赤くなってきたけど、どうしたの梨奈?
「身体を大事にしてね。その....おばさんだけじゃなくても....あたしだってルーくんに何かがあったらと思うと....その...」
顔、真っ赤で潤んできたけど、やばい!自分のオヤジへの気持ちでいっぱいだったので、目の前の大事な幼馴染を心配させたような事を引き起こしてしまった!
「梨奈、俺の事なら安心していいよ。あの事以外で、めったに気分悪くなってたりしないよ、俺。健康面でもそれほど大きな問題がないし、だから、心配しないで。俺は絶対にお前を困らせるような真似はしないから」
心配顔になった親戚も同然な幼馴染を安心させるべくそういうと、
「は、はい!えっと、急に大げさな事いっちゃってごめんね。でも、もし次に同じような事があったら遠慮せずにあたしに任せなさいよね?強がりなんかしないで、いつだってあたしに頼っていいから。後、前から思ったけどあんたもそろそろあの男の事で一々あんなような反応を起こさないようお医者さんに心理のお相談を受けたらどうなの?」
またこれか!?母もそうだけどどいつもこいつも俺にそのようなカウンセリングを受けさせるような事いってきたけど、できればこんな小さな事でお医者さんへは相談したくないな。なんか、男としてかっこ悪いような.....とりあえず、今は誤魔化しとこうっと。
「相談を受けるかどうか後で考えるとして、ところで梨奈、お前最近、何か変な夢でも見たことってあるの?」
「え?いや、まったくないけど、それはどうして?」
誤魔化すためにいったとはいえ、これだけは本当のことだ。
なんか、2週間も前から、時々寝てたら変な夢を見てた。俺達4人がどこかの遠い見知らぬ地へ立たされて、いきなりたくさんの化け物のようなものに襲われた。でも不思議な事に、その場面になっても数人の見知らぬ綺麗で可愛い制服姿の少女達と一緒に力を合わせてその魔物?達を倒してきた。
思い出して見ると、たしかに可愛かったな、あの女の子達は。少し肌の露出が多くてエッチで目のやり場に困るような制服を着てたけどそれは独特な感じがして裕福層が身につけるようなデザインのものばかりだし、仕草も様々な女子達なのでなんか思い出すとついニヤっとしちゃいそう.....
「ルーくん?どうしたのよ、いきなり照れたりなんかしちゃって?」
ああ、いかん!見た目も同様な美少女である大事な幼馴染が目の前にいるのに、夢の中の空想な美少女達に思いをはせているなどという浅はかな真似をしてしまって。
「いや、なんでもない。実は最近、俺はいつも変な夢を見てしまっていたが、この件については放課後で他の二人と一緒の場で話したいけど、それまでに待っていてくれないか?」
「んん....ルーくんがそういうんだから、きっと夢の内容にあたし達4人が全員揃ってその夢の中に出てるのよね?じゃ、放課後で校門の前にみんなで集合してから、どっかのカフェでお茶を皆で飲んでそれについて聞かせてね。」
「ええ。じゃ、授業、頑張ってね!」
「ああ!!しまった!授業の事すっかり忘れてしまってた!」
そういって、慌てて保健室を飛び出していった梨奈。まったく、廊下は走っちゃ駄目だろう。先生達に見られてたら説教を喰らいそうで放課後の予定が狂いそうなんだけど.......
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