異世界召喚された俺達だけど、女学園に通わされてる
明武士
第1話 朝の挨拶
「ルーくん、起きて....」
なんか、声が聞こえてる気がする。さっきも何度も聞こえてたけど、今はそれよりも存在感が増した気がする。まるで、もっと近くなってくるような。
「ね、起きて。」
さっきはぼんやりとしか聞こえなかったのに、今度ははっきりと、その声が。
「だから、いつまで寝てるつもりなのよ!あたしが起きてと言えば、起きろっての!」
いきなり怒鳴り声が轟いたと同時に、鋭い痛みが腹を襲った!
その強い刺激によって、俺はまどろんでいた意識から完全に目が覚めた!
「いーってな!なにすんだよ、梨奈!」
腹をさすりながら先ほどパンチを食らった事に対する文句をいってやった。
「もう!こっちは朝早くから起きてきてあんたが遅刻しないように起こしてやってるのになんでそんなにぐっすり寝ててあたしの呼びかけに反応しなかったのよ!?まさかとは思うけど、また徹夜してたりするの?」
ぷんぷんとした顔でそう尋ねてきた。ちなみに、こいつは森川梨奈、幼い頃からの幼馴染で、腐れ縁とも言える間柄にある。まあ、手入れの良い真っ白な肌に加えて顔は結構美少女な部類に入るのでよくクラスメートの男どもに嫉妬のような感情を向けられてるけど実際はなんにもなくて、ただの長い付き合いの親戚みたいなものにすぎぬ。低い位置にある赤髪ツインテールを揺らしながら橙色な目で俺を睨んでこっちににじり寄ってきた!いっけねー!こういう時のこいつには早く返事をしないとまずい!
「いいえ、昨日はちょっとだけ勉強をしてゲームを深夜まで遊んでただけ。たしか、2時午前ごろにベッドに入ってたっけ?」
「まーた、深夜までゲーム?あんたってさ、期末試験が近くなってるっていうのに、そんなに遊んでて大丈夫なの?単位が減りすぎて留年になってたらどうするのよ!?」
「へーい、へーい、わかってるんだよ。ちょっとだけゲームやってただけなので、その辺は俺も気をつける事にするよ。」
「本当なのかな?漫画家になりたいとか変な夢を追いかけるよりまずは学校の成績が先決でしょ!? ったく、あんたにはもっと学生としての自覚を身につけるべきだと思うのよね。なにより、もし留年して...たら....そ....の....」
急に真っ赤な顔になり俯き気味になってるけど、どうしたの、我が幼馴染よ。
「まあ、今はもう起きたし、遅刻する前に早く簡単な朝食だけ済ませて登校しようぜ!」
起こしてもらった理由を思い出して先を促がしたけれど、なんか梨奈のやつ、まだ赤いままだぜ。
「わ、わかったわよ!でも、今日はいつもより起こすの遅くなったから、おばさんが海外出張のために一人暮らしになったあんたが料理ができないようじゃ仕方ないとはいえ、こっちも朝食作るの今日だけ手間取ってしまってどうしても間に合わなさそうだったからパンだけ持ってきて登校しながら食べていかない?」
「え?まあ、そういうなら、仕方がないな。じゃ、早く行こう?」
「ええ!まったく、感謝しなさいよね。こんな可愛い女の子に起こしてもらったんだから、次はちゃんと自分で起きれるようにしなさいよね!そうすれば、もっと早く登校できるから。」
そう返事した我が幼馴染ではあるが、なんかそわそわしてはにかんでるぞ!熱とかあるのかな?まあ、あればここまで歩いてこないしそれはないか。
で、家を出た俺達数分もたったのだが、なんか持ってくの忘れたやつがあるっぽいが、なんだろう.......
「ああ!そうだ!!それ!!!」
「きゃ! きゅー急にどうしたのよ、ルーくん!??大声なんか出して。」
「俺、数学の教科書、ベッドの下にに置きっぱなしにしたままだ!」
「あ.ん.た.ね......いい加減にしなさいよ、この寝坊助!!!」
いっててて!!!!そう梨奈が怒鳴りながら、腕に何度もパンチされた俺である。時々、自分がミスをしたら、こうやって殴ってくる梨奈のやつだが、これでも気のいいやつだ。なにせ、小学生の頃に自分の肌の色が周りと違うのを理由によく同年代の同性からいじめられてたけど、こいつだけが俺のためにやつらを追い返してよく俺の事を助けてきてくれたのだから。だって、日本の国籍を持っているとはいえ俺は幼い頃から日本に育った、生粋の黒人男子だからだ。
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