第3話 ここは日本ではない??
放課後、俺と森川梨奈は一緒に教室を出て校門に向かう。親友である春介遼二は別のクラスにいる仲間の一人を連れてくるために廊下で離れたけど、今日は確か、彼女の部活があったけ?なんか、自分の都合のために彼女が部活を抜き出してくるの悪いなとは思うけど、別に急な用事ではないので断ってくれてもいいと遼二のやつに付け加えたら、「大丈夫だって、こういう時は仲間の事が先決だってあいつも言いそうだから、それについては問題ないと思うよ!」
まったく!こんなにいい友達に囲まれてる俺なのだから、やっぱり友人関係って量より質だなと思うんだよね。俺より恵まれてない人たちがこの世に多いというのに、自分だけ楽してるばかりじゃしめしもつかないから、よし!
この名門高校に入ってから、オタクの文化に影響されすぎてラノベや漫画を読んだりゲームばかりするようになって斜め下に低下してきた俺の成績は中間ほどにいる今の俺なのだが、今後は盛り返すべく勉強をもっと頑張ってこの国をもっと豊かにしてみんなが就職の困難や日常生活の貧困化に困らないよう、立派な社会人になって母より大きな会社を自分で作り上げるよう頑張っていくぞ!
「ねえ、ルーくん。」
「ん?どうしたの、梨奈?」
「今度、機会があったら、今週末か来週の日曜部とかにその.....あたしと一緒に服選びとかへ行かない?なんか、最近、いいものがたくさん売ってあるお店を発見したけど、一人だとどんな衣装があたしに似合うかわかんないから、あんたの意見も聞いた上で選びたいのよ。だから、その......もしよかったらのだけれど、あたしと....一緒に行ってくれないかな?」
なんだ。それをお安い御用だよ、梨奈!なんども一緒に服を買ってきた俺らのなかじゃん?何をそんなにもじもじして遠慮がちに聞く必要があるんだよ?
「もちろん行くよ。昔からいつものことだろう?さっきの言葉をそっくりそのままお前に返すよ。何かがあれば、遠慮せずに俺にも言ってくれていいよ。梨奈の願いなら、できるかぎり何でもしてあげたいとは常々思ってる。だって、小学生の頃から、お前は俺にとって、その......」
「え?そ、それは.......!?」
いきなり顔を詰め寄ってきたわが幼馴染だけど、近い近すぎるよ!ああ、やっぱり間近く見ると、本当可愛いよ、梨奈のやつ。前から見慣れすぎてる顔だけどやっぱりこういうド近い距離で何度も見てもドキドキがとまらないよ。ただの親戚同士の関係にあるのになんでこんなになるんだろう、俺は?
「いや、だから......その.......俺たちってほら、昔から付き合いが長い親戚同士みたいなもんだろう?だから、それぐらいの事で俺がお前にためにやらないとか思わなくていいぞ?」
そう言ったら、なんか梨奈のやつ、落胆してるような顔してるけど、どうしたの?変な事でも言ったのかな、俺?」
で、待ってる数分後..........
「よう!相変わらず仲いいな、君たちって。」
遼二のやつがようやく校門前にいる俺たちを見かけて早足でこっちへ歩いてくる。彼の後ろに続いてきたのは一人の女生徒。
「そうですね。私も春介くんと中学生の頃から数年もたった間柄ですが、やはり小学生からの長い付き合いの君達には適いませんね、くす。」
そう微笑んで綺麗な笑顔で遼二のからかいに賛同した女生徒は有栖川姫子(ありすがわひめこ)だ。遼二と同じように高身長で、黒髪ロングをしている綺麗な和系美少女である。彼女も梨奈に負けぬぐらい、いい体つきを持っていて、梨奈より少しだけお胸が大きいようだ。まあ、でも爆乳とまでにはいかないとしても、よく町の男の視線を引き付けるのに充分な外見ではあるが。
脚も黒タイツを履いてるのでとてもセクシな印象を醸し出してるが、遼二との関係が親密っぽいなので、親友のためにできるかぎり彼女を見る時はあまりその魅力的な箇所に注目しないようにしてる。彼ら二人にはいずれくっつくだろうから、俺達のような親戚も同然なコンビと違ってその兆しがあるっぽいからな。
彼女の言うとおりに、遼二とは中学生の数年の付き合いがあるため、一年間だけ彼との付き合いがある俺と莉奈とは一線を画すほどに彼のことをよく知ってるらしい。まあ、これは彼女の言葉で聞いたもので、本当になんでも知ってるかどうか、どこまで親しい間柄にあるのは俺たち二人の知る由もないが。たしかに仲間内ではあるけど、だからといって、親しい仲にも礼儀ありってもんだろう?なので、本人たちが話さない限りは俺たちも聞くつもりがない。野暮だからね。
「いや、俺たちはただ家族も同然な付き合いを続いてきただけだし、ここはお前たちのような息もぴったりな動作や言葉選びの多い方が遥かに親しい関係に見えるぞ!」
そうこいつらに言い返したら、なんか少しだけ顔色赤くなってんぞ、二人とも!
「いや、そもそも有栖川とはただの中学生からの腐れ縁でそれほど何かがあるわけじゃないし、そう見えるなら、君が見違えただけだろう?」
「そうですよ!私はただ春助君の事を親友と思ってるようなものですし、それ以上でも以下でもないですね。なので、君の発言には少々、見苦しい抵抗反応に過ぎないように思いますよ。さっきの私達の君たちへの関係について指摘したことに対して言い返したつもりのようですね!」
やれやれ。こんな細かい事でも言い返してくるのはいつものこいつらの悪い癖だな。
「ルーくん、さっきの言葉についてだけど、実はあたしたちってそんなに家族同然に見えるのかな?」
「え?まあ、確かに他の人からしたら、もっと親しい間柄に映ってしまうかもしれないのでそうは見えないけど、でも俺からすれば、少なくともお前は俺にとってとっても大事な家族のような存在だし、何より、今まで沢山お世話になったのでなんか妹か姉のようなものだなとは常に思ってたよ。」
「そっか........妹か姉か.......」
ん?どうしたの、梨奈よ?急に俯いて落ち込んだような顔をして。俺、また変な事でも言ったのかな......?別に彼女の事を悲しませるようなこといってないつもりなんだけどどうしたのかな?」
「まあ、今はここで立ち話もなんですし、早くここから移動して、カフェに行きましょう?春介君から聞いたけど、早山君って何か大事な話があって集合を呼びかけてきたんでしょう?なら、膳は急げと言う事で、さっそく動きましょう?」
なんか、場の雰囲気を変えるために仕切っていくつもりのようね、同じ2年生の有栖川さん。
「ああ、そうだね。じゃ、行こう?」
「「「はい!」」」
軽い会釈をみんなでして気持ちを切り替えてカフェへと向かう俺たち4人である。
..................................
で、カフェに着いてから12分も経って、注文したものも無事で届いてきたら、俺たち4人は軽い談笑をしてみんなで最近学校にあった話や出来事について少しだけ触れて喋ってきたけれど、いよいよ本題を聴こうかというスタンスなのか、みんながいきなり黙り込んで俺の方へ真剣な眼差しで向き直った。じゃ、どっから話すか.......
「実は、この2週間ぐらいで変な夢を見てたんだよね。それも俺たち4人が必ずといっていいほどに全員揃って、一人も欠かないようなものだ。」
「へえー。なんか絆ってものを感じるね、それって。」
「そのようですね。でも4人がいつも一緒にいるのってなんか楽しそうですね。まるで字童話とかドラマとか海外の映画とかによく出てくるような青春冒険譚みたいなもので。」
「んんん.........あたしとしてはもっと二人っきりの夢の方が..........」
急にごにょごにょと何か小声で呟いてる梨奈のやつだが、まあ構わずに続けるよ。
「で、その夢の内容だが、俺たち4人がいつもどっか知らない平野にいて、そしたらいきなり沢山の化け物みたいなものに襲われてた。飛んでるやつもいるし、巨体を持つものもいるしで、それは全てこっちに向かって襲い掛かってきたんだ。そしたら、急に数人の制服姿の女の子達が空から着地して、俺と魔物との間に立ちはだかったんだ!手には様々な武器を持っていて、どれも可愛すぎるよ!」
「へえー武装した女の子かー。それ、僕も見てみたいなー。」
そう遼二が言ったんだけど、なんか急に微笑を浮けべてるけど目が笑ってない有栖川さんがすごいアウラを滲み出して遼二に顔近くまで詰め寄っているぞ!
「春介くん......見てたらどうするつもりなのかな.....?」
「え?ああ......あははは.......いや、そのままの意味だよ?なぜかというと、ほら、ラノベとか漫画だとそういうの普通だろう?だが、リアルで魔物と戦うような武装した女子とか絶対に見れないような現象だし、だから、少しだけの興味が.....あっても......いいんじゃないでしょうか?...(ブルブル)」
そう聞きながら遼二に迫ってる有栖川さんであるが、なんか急に敬語になっちゃって震えてんぞ、遼二のやつ!そういえば、有栖川さんって剣道も間接技も得意だと遼二から聞いたな。なんて羨ましい!けしからん!ん?なんか自分の袖が引っ張られてるような......俺の右側に座ってる梨奈を見てみると......
「ルーくん.....その女の子たちについて、どれほど可愛いの....?後、まさかとは思うけど、夢の最中に変なこととかしないでしょね?」
なんか凄い睨んできたぞ、梨奈!?夢の中の話だってのになんでそんなに怒るような表情になってんの?訳わからー」
ゴロゴロゴロ!!!
急に凄い揺れがきて俺の言葉を遮った!
「ううおおお!!なんだいきなり!?地震か!?ってーなんだこれはー!!?」
叫びながら椅子から立ち上がって足元を見てみると、なんか変な魔方陣?みたいなものが浮かんでるぞ??
「ルーくん!捕まって!あたしの手!」
そう梨奈がいってきたが、非常時の梨奈はよく頭が回るような娘なので、こういう時のこいつの言う事は聞くべきだといつも身をもって経験してきた。
「はい!頼んだぞ!梨奈!」
手を伸ばして彼女のそれを握った。なんか柔らかくて気持ちいいな、梨奈も手って。ますます彼女の存在はどれほど俺のとって大きいかという事を実感できるね。
「春介くん、放さないでね?こうして身体を寄り添ってると例え何があっても一緒で逝けますから。この地震から生き残ればいいですけど、どうやらその見込みはないようでせめて君と抱き合ったままの方が....」
「ええ、わかってるよ、有栖川。知り合ってから4年もたったけど、君が僕の最初にできた気の置けない異性の親友みたいのものだし、放すもんか!」
前を見てみると、凄い揺れでありながらも懸命にもくっついて抱き合ってるぞ、遼二と有栖川さん!
なんかカップルみたいで羨ましい!っていかん、大事な時になに色事脳になってんだ、俺は!?ん!?この柔らかい感触はー??隣を見てみると、
「ルーくん、慌てないで!例え何かがあっても、あたしたちは一生離れないって約束、覚えてる?」
「ん?あ....ああ!思い出した!確かに小学生の頃からそういう約束めいた事を言い合ってたな、俺たち!でもそれって、まさかお前、俺の事をそういう風にー!?いや、家族同士でもそういう事が言えるのでないか...」
かちんー!
という大きな音と共に俺たち4人の視界が真っ白な輝きによって埋め尽くされた!ってか、意識もーー...
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で、まるで深い眠りから目を覚ますかのように、俺たち4人はすごい広大な平野のようなところで横たわってる。頭痛を堪えながら立ち上がってみると、え?これ、なんか自分の夢に見たことあるような平野だ!
なんか、遠い所にある山脈もそうだし、その変にある変な形の岩もそうなのでこれは間違いなく夢の中にあった平野とそっくりな場所だ!俺にくっついて腕を抱きしめてるままの梨奈も俺と同様に立ち上がってこの景色をきょろきょろと首を回して見てるが、彼女の反応も俺と同じく信じられなずに半信半疑な表情になってて、まるで現状を現実味のないように感じて呆けてるぞ!
「有栖川、大丈夫?」
「ええ、大丈夫ですよ。君もどう?怪我とかないでしょうか?」
「まったくないよ。この通り、ぴんぴんだぜ!」
腕の筋肉を見せてアピールしてる遼二だが、お前らって本当に仲いいな!まあ、俺たちも仲いいけど、家族みたいなもんだしな.....
「ルーくん、これって」
放心状態から戻ってきたか、梨奈のやつがようやく声をかけてくる。
「ええ.....ここは間違いなく、」
「日本じゃないね。」
そう返事して4人でこの広い景色を眺めてる俺たちである。
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