18話 密かな企み
買い物から帰って家事も一通り終え、私と萌恵ちゃんはお菓子を食べながらスマホで映画を観ている。
百均で買ったスマホスタンドは期待以上に使い勝手がよく、いまみたいに二人で一つのスマホで動画を見る機会の多い私たちにはうってつけのアイテムだ。
「前から少し気になってたんだけど、真菜って買い物のたびにチョコ買ってるよね?」
「あー、うん……そっか、気付かれちゃってたんだ」
萌恵ちゃんの質問に対する私の反応は、決して歯切れがいいとは言えない。
それもそのはず。悪意はないけど下心は満載なのだから。
「そんなにチョコ好きだっけ?」
「んー、それもあるけど……」
私は少し悩んだ後、この機会にすべて打ち明けようと決心する。
「実は、チョコに媚薬効果があるっていう話を聞いたから、萌恵ちゃんをムラムラさせちゃおうと思ったの」
下心満載の密かな企みを、包み隠さず率直に告げた。
「あっ、それあたしも最近知ったよ~! なるほど、そういうことだったんだね。でも、それだと真菜もムラムラしちゃわない?」
「あはは、それは大丈夫。私は常にムラムラしてるから」
自慢じゃないけど、いまこの瞬間も萌恵ちゃんの体温や香りはもちろん気配にすら反応して、情欲がマグマのごとく煮えたぎっている。
映画を観ている最中に余計な不安を抱かせてしまわないよう、一言付け加えておこう。
「映画が終わるまでは手を出したりしないから、安心してね」
「ホントに?」
「うん、約束する。私からは手を出さないよ。私からは、ね」
「ということは、あたしが真菜に手を出すのはオッケーってことだよね~?」
その言葉と同時に肩をそっと抱かれ、萌恵ちゃんの方を見るとバッチリ目が合った。
私は一瞬だけスマホに目をやり、映画を一時停止してから視線を戻す。
「萌恵ちゃんのエッチ」
「んふふっ、そうだよ~。だから、いまさら嫌って言ってももう遅いからね♪」
イタズラっぽく微笑みながら、萌恵ちゃんがチュッと軽めのキスをしてくれた。
これから私たちが映画のそれよりも濃厚なラブシーンを繰り広げることは、もはや疑うべくもない。
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