15話 予想外の一撃
ショッピングモールに隣接しているホームセンターで、冷感敷きパッドを購入した。
ついでに薬局や書店をぶらついた後、ゲームコーナーに足を運ぶ。
手始めに、入口付近にある太鼓のゲームにお金を入れる。
「ゲームは苦手だけど、これは自信あるよ~!」
「子供のとき、けっこう遊んだよね」
幼少期の記憶を振り返りながら、難易度と曲を選択する。
「やった~っ、フルコンボ!」
「うぅ、最後の最後でミスっちゃった」
落ち込むほどではないけど、やっぱり悔しい。
無邪気にはしゃぐ萌恵ちゃんのかわいい姿を見て、心を慰める。
「真菜、次はあれやろうよ!」
「うん、いいよ。今度は私が勝つからね」
それからしばらく、レースゲームやクレーンゲームにメダルゲームなど、対戦したり協力したり、童心に帰って楽しんだ。
自販機でジュースを買って一休み。
台数は少ないものの卓球やビリヤードも一時間数百円で遊べるので、ショッピングモール内のゲームコーナーとしては充実している。
ペットボトルをゴミ箱に捨てる際、ふとパンチングマシーンに目が行った。
身体能力抜群な萌恵ちゃんだけど、パンチ力はどのぐらいなのだろう。
「萌恵ちゃん、これやってみない?」
「いいね~、面白そう!」
ふとした好奇心から提案してみると、萌恵ちゃんは快く受け入れてくれた。
萌恵ちゃんはグローブをはめ、準備運動として腕をぐるぐる回す。
そして音声ガイドに従い、測定用のサンドバッグに拳を叩き込んだ。
私の動体視力では腕の動きを捉え切れなかったものの、サンドバッグの倒れ方と耳をつんざく打撃音から、相当な威力であることがうかがえる。
その衝撃たるや、スラッとした腕から放たれたものとは到底思えない。
「真菜! 見て見てっ、最高記録更新だって! いえ~い!」
偉業を達成してぴょんぴょんと飛び跳ねる萌恵ちゃん。
眩いほどの純粋さが実に愛おしく、見ていて胸がキュンとなる。
おっぱいが派手に揺れ弾む様子も眼福の一言に尽きるけど、なによりもキラキラと輝く太陽のような笑顔が素敵だ。
かわいい。ほんとにもう、食べちゃいたいぐらいかわいい。
「萌恵ちゃんおめでとうっ」
賞賛の言葉を贈り、ここぞとばかりに抱き着く。
「んふふっ、ありがと~っ」
萌恵ちゃんはグローブを外してから、ギュッと抱きしめ返してくれた。
公共の場だから多少の自重は必要だけど、ハグぐらいなら許されるよね。
ひとしきり喜びを分かち合った後、私もパンチ力を測定してみる。結果は、まぁ……うん、子供よりは強いんじゃないかな。多分。
私のことはともかく、萌恵ちゃんのパンチ力がこれほどまでとは、さすがに予想外だった。
記録を大幅に塗り替えた猛者の正体が絶世の美少女だなんて、きっと誰も想像すらしないだろう。
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