二章 幽霊(3)
「その男に騙されるな!」
そして約十分後、文学部の校舎と大学図書館の間に広がる薄暗い森の入り口にて。
ひっそり
「来ないんじゃなかったの? この黒い人誰? 騙されるなってどういうこと?」
「え? ……えーとね、この人は絶対城阿頼耶先輩」
一言だけ応じて黙り込むしかないあたし。友香の疑問はもっともだが、あいにく、あたしに答えられるのはこれだけだ。絶対城先輩の
「騙すって何だよ。つーか、誰だお前」
「こいつが今紹介した通りの、絶対城阿頼耶だが」
露骨な敵対心と若干の不安を感じさせる視線を受け流し、絶対城先輩が肩をすくめる。「こいつ」ってのはあたしのことなんだろうけど、せめて名前で呼んでください──って、そう言えばまだ名乗ってなかったっけ。そんな余計なことを考えている間に、絶対城先輩は軽部さんをまっすぐ見返し、落ち着いた口調で先を続けた。
「『騙す』というのが分かりにくければ、こう
「……え?」
「ふ、ふざけるな!」
抑えた声での
「人聞きの悪いこと言うんじゃねえよ! オレはただ、友香ちゃんが幽霊見てみたいって言ったからだな、だから、上級生としての親切心で引き受けただけで」
「立派な名目だが、その真意は何だ? ……ああ、答える必要はないぞ。お前の行状は聞き及んでいるし、概ね見当は付くからな」
「何を言い出すんだ、この野郎! オレはそんな」
「しかし、吐くならもう少しマシな嘘を吐け。あまりに怪談としての完成度が低い」
「うるせえ!」
あくまでマイペースに言葉を重ねる絶対城先輩に対し、軽部さんは加速度的に
「何でそっちに行くんだよ、友香ちゃん? オレ信じろってば!」
「ほう。ならばお前は、あくまで幽霊を見たと言い張るんだな。……面白い」
怯えるようにあたしの後ろに隠れた友香の代わりに、絶対城先輩が一歩前に進み出た。その声が少しだけ
「お前はこう言ったそうだな? 白い着物で足のない女の幽霊を見た、調べたところ、それは戦国時代に殺された娘の霊だとわかったのだ──と」
「そ、そうだよ? アレか、霊なんて存在しない、非科学的だとか言うのかよ」
「霊魂実在論争に持ち込んで
自信ありげに語りつつ、絶対城先輩はさらに一歩、軽部さんへと近づいた。あたしと友香に黒くて広い背中を向けたまま、抑えた声が静かに続く。
「よく聞け。経帷子──すなわち
「な──何? でも、それがどうしたってんだよ……?」
「わからないのか? ああ、このあたりで合戦が起き、村が焼かれたのは確かに事実だ。だがな。戦国時代とは十六世紀から十七世紀初期のことを指す。その時代に死んだ娘が、一世紀以上後のスタイルで出てくるわけがないだろう!」
「えっ? あ、いや、それは……!」
絶対城先輩の言葉を受け、軽部さんの声が途切れた。まさかそんなところからツッコミが入るとは思っていなかったのだろう。うん、まあ、確かに絶対城先輩の言うような事実があるなら、軽部さんの話が嘘だと判断することはできる。でも、だがしかし。気づけばあたしは「あの」と小声で絶対城先輩に問いかけていた。
「そうは言いますけど、村が被害に会ったのは本当なんです……よね?」
「郷土史にもしっかり記載されている」
羽織の肩越しにちらりと振り返ってそう告げると、絶対城先輩は「それがどうした」と付け足した。話の
「その、だから、その時に殺された農民の霊が化けて出るって考えるのは、おかしくは……ない……ような?」
「ちょっと礼音? あんた、どっちの味方なの」
「それに、軽部さんがコンパの時に言ってましたけど、日本って、昔から幽霊の話が多いんですよね?」
「そ、そうそう! 菅原道真とか!」
思わぬ
「道真の霊は
「ぐ……!」
もはや反論する言葉も出てこないのだろう、軽部さんが絶句した。と、友香がちょんちょんとあたしの肩を突いて問いかけてきた、
「ねえねえ礼音、今の話、ほんとなの? 幽霊って、昔からずっとああいうものだったと思ってたんだけど」
「はい? いや、あたしに聞かれても」
「昔も何もあるものか」
わからないし、と続けようとしたあたしの声を遮って、絶対城先輩が口を開いた。あたしたちに振り返り、オカルトと妖怪の専門家は
「幽霊は、日本に伝わる怪異の中でも比較的新しいカテゴリーに属する怪異だ。近世の庶民文化の
「は、はあ……、なるほど」
納得したのか気圧されただけなのかはともかく、おずおずうなずく友香である。納得したかな、とその顔を見下ろせば、友香は小声で尋ねてきた。
「……で、この詳しい人、ほんとに誰? 何してる人なわけ?」
「だから絶対城先輩だってば。それ以上はあたしも知らないし」
抑えた声での質問に、ひそひそ声で応じるあたし。そんなやりとりが聞こえているのかいないのか、話題の絶対城先輩は軽部さんに横目を向け、「つまり」と続けた。
「幽霊は近代になってようやく我々の知る姿で成立した怪異だ。その
絶対城先輩はそこでいったん言葉を区切ると、軽部さんを黙って見据えた。どうせ嘘なんだろう、そろそろ認めたらどうだ。そう言いたげな溜息を挟んだ後、渋い声が再び響く。
「覚えておけ。妖怪とは、その背後に連綿と続く歴史を抱え、実在と認識の
黒の羽織とネクタイが風にふわりと揺れ、ベテランの教授の講義を思わせる静かな口調が夜の森に染み入っていく。あたしと友香が黙って聞き入る中、絶対城先輩は軽部さんへと向き直り、「さて」と小さく肩を揺らした。
「俺からは以上だが、反論は?」
***
「ほんとお見事でした、絶対城先輩……!」
場面変わって、再び四十四番資料室、衝立の奥の畳スペース。座椅子に腰掛けて事件解決後のコーヒーを
あ、ちなみにあの後、軽部さんは結局何も言い返せず「意味わかんねえんだよバーカバーカ」と捨て台詞を残して逃げました。小物の悪役か、とあたしと友香が呆れたのは言うまでもない。友香も無事に帰ったし、とりあえずは良かった良かった。
「元々うさんくさいとは思ってましたけど、まさかあの幽霊話が丸ごと、後輩女子を連れ出すための作り話だったなんて……。都会って怖いところですねえ」
「都会って、それは言いすぎだよ。せいぜい『地方都市』レベルじゃないかな?」
温和な声で口を挟んできたのは杵松先輩だ。ずっと資料室で待ってくれていたらしい眼鏡では白衣の先輩に、あたしは「地元に比べれば都会です」と苦笑した。
「それにしてもすごいですよ、絶対城先輩。ギリギリのタイミングで
「馬鹿でも気付くぞ。全く、出来の悪い
「……ぎかい?」
「
絶対城先輩の口にした単語の意味がわからず戸惑っていると、杵松先輩がさりげなく補足してくれた。へえ、そんな言葉があるんですか。教えてくださってありがとうございます。感謝を込めて小さく頭を下げると、あたしは絶対城先輩に向き直った。まっすぐ見つめられ、黒衣の怪人は露骨に面倒くさそうにこちらを睨んだ。
「何だ。まだ疑問があるのか」
「いや、そういうわけじゃないですけど……。ですから、会ったこともない後輩の女の子をわざわざ助けに行くなんて立派だな、と思って」
「意味がわからんな。お前は何を言っているんだ?」
「はい? だって、あたしの話を聞いたとたんに現場に行ったじゃないですか。あれって、友香が危ないって気付いて、助けてくれたんですよね?」
「勘違いするな。そんなつもりは毛頭無い」
あたしの期待の
「馬鹿な新入生が誰に何をされようが、俺の知ったことではない。そんなものは個人の勝手だ。ただ、古来の伝承や記録にそぐわない
「だ、だろう? と言われましても……どう、なんですかね……?」
答えに
「……見直して損したなあ」
「ん。何か言ったか」
「はい? あっ、いいえ何でもありません!」
ぽろっと漏れた素直な気持ちを慌てて否定するあたし。と、先輩はそれを聞いていたのかいないのか、ふいにあたしをしげしげと見据えた。そしてそのまま一秒ほどあたしを
「そう言えば」
「はい? 何ですか?」
「お前は誰だ?」
「湯ノ山礼音ですよ!」
つい大きな声が出てしまった。名乗るタイミングを見つけられなかったこっちも悪いけど、聞くならもっと早く聞いてください! そんな思いを込めて見返してやれば、絶対城先輩は杵松先輩に顔を向け、「何者だ?」と尋ねた。よくあることなのか、杵松先輩が苦笑する。
「お客さんだよ、阿頼耶」
「客? それならそうと早く言え」
「なかなか切り出すきっかけがなくってさ。幽霊の話が一段落したら紹介しようと思ってたんだけど、ようやくキリも付いたみたいだから」
そこでいったん言葉を区切ると、杵松先輩はあたしに向かって微笑みかけ、絶対城先輩へと向き直った。
「湯ノ山さんの依頼について、僕から説明させてもらおうかな」
「……阿頼耶のやつ、いつまで待たせるんだろう? 時間取らせちゃってごめんね」
「い、いえ! 杵松先輩が謝ることじゃないですし、はい」
「ありがとう、湯ノ山さん。あと、僕のことは『先輩』って呼ばなくてもいいよ。学部も違うし、距離を取られてるみたいだしさ」
「そ、そうですか? じゃあ──『杵松さん』?」
座布団の上で正座したままそう口にすれば、向かいに座った眼鏡の先輩は、文学全集を広げたまま「そっちがいいな」と優しくうなずいた。その爽やかな態度に、あたしは思わず見入っていた。第一印象の時点から気持ちのいい人だと思ってはいたが、無愛想な羽織の怪人物を
ちなみに、その怪人はと言えば、ここにはいない。杵松先輩からあたしの相談についての的確な解説を聞き終えた絶対城先輩は、「待て」とだけ告げると、フラッとどこかへ出て行ってしまったのだ。小さな箪笥の上のアンティークな置時計を見れば、時刻は既に九時半。と、あたしの視線に気が付いたのか、杵松先輩──じゃない、杵松さんは、困ったような視線をドアの方角へ向けた。
「阿頼耶も、どれくらい待てばいいのか言っていけばいいのに。でもね、湯ノ山さん。阿頼耶がああいう風に、客を客とも思わないような態度を取る時は、比較的当たりだよ」
「当たり……?」
「うん。阿頼耶って、興味がない相手はいきなり追い返すし、騙せると踏んだら割と
「まあ、確かに……。てか、人を騙すんですか?」
「それはもう。僕が一枚
そうにこやかに告白すると、これ以上は
「
「逃がさんぞ」
「ひゃあああっ!」
あたりを見回しながら漏らした独り言に、渋い声がいきなり応じた。思わず飛び上がりながら振り向けば、黒の羽織に黒ネクタイの怪人が、
「ぜ、絶対城先輩……? いつの間に戻ってきたんです?」
「今だ」
「お帰り、阿頼耶。何を持ってきたんだい?」
「見ていればわかる」
友人の言葉にぶっきらぼうに応じると、絶対城先輩は戸棚から小さなグラスを取り出し、袋の中身を卓袱台の上にぶちまけた。洋酒の
「あの……あたしは、耳鳴りを何とかしてほしいと相談したんですが」
「わかっている」
そうとだけ答えながら、先輩は糸を結ぼうとしたが、力を入れすぎてしまったらしい。ぶつっと糸が切れたかと思うと、竹がピンと
「ああ、びっくりした。……てか、本当に一体何を」
「黙って見ていろ」
そう言いながら絶対城先輩は再び竹片をリングにし、糸でぎゅっと固定した。今度は力の入れ具合がちょうど良かったのか、弾けることはなさそうだ。と、先輩はそれにチェーンを通してこれまた輪っかにすると、「よし」とうなずいた。
「お前、これを首に掛けろ。できるな」
「え? はあ、それくらいはできますが……」
意図がわからないまま、あたしは
「何です、これ。お守りですか? それに、糸で留めただけだと、またすぐ弾けそうで怖いんですが……って、絶対城先輩?」
あたしの問いかけを意に介することなく、絶対城先輩は洋酒をグラスに注ぎ始めた。何をしているんだ、この人は。説明を求めようとしたあたしだったが、先輩は無言でグラスを手に取ると、こちらに向かって差し出し、言った。
「飲め」
「……え?」
ぬっと突き出されたグラスを前に、あたしはぎょっと絶句する。
「あのさ、阿頼耶、サンライズはちょっと強すぎないかい? せめて水で割ろうよ。それとも、飲みやすいカクテルでも作ろうか」
「味はこの際どうでもいい。アルコールを摂取しても例の
「例の症状って──耳鳴りのことですか? いや、ちょっと待ってくださいよ! こんな即席の輪っかぶらさげただけで、何がどうなると」
「駄目でもともとだ。やってみなければわかるまい」
あたしの言葉を遮ってそう告げると、絶対城先輩はグラスを卓袱台にそっと置き、こちらを無言で見つめてきた。その視線に気圧され、あたしはぐっと押し黙ってしまった。……それに、先輩の言うことにも一理はある。
──駄目でもともと。やってみなければわからない。
「……ですね、確かに」
失敗したって構わないんだ。そう思うと気が楽になり、あたしは目の前のグラスを手に取っていた。
「大丈夫かい? 全部飲み干す必要はなかったのに……。はい、口直し」
みっともなくむせかえるあたしに、杵松さんが水の入ったカップを手渡してくれた。お礼を言うこともできないまま、それを受け取って飲み干すあたしに、絶対城先輩は興味深げな視線を向け、そして尋ねた。
「飲んだな。で、どうだ」
「まずかったです……。これが
「誰がそんなことを聞いた」
「あのね、湯ノ山さん。阿頼耶は、耳鳴りはするかって聞いてるんだよ」
もともと陰気な顔をさらに
「あ、あれ? 言われてみれば……あれ? 何これ? み──耳鳴らない!」
興奮のあまり、立ち上がって叫ぶあたし。いつもならアルコールを摂取した瞬間に起こるはずのあの耳鳴りが、全く、全然、聞こえてこない。感動のあまり両耳を押さえるあたしを見上げ、座ったままの絶対城先輩は「ふむ」と興味深げにうなずいた。
「そのリングを提げている限り、もう耳鳴りに悩まされることはあるまい」
「あ、ありがとうございます、本当にありがとうございます!」
冷淡な言葉を受け、あたしは思わずお礼の言葉を口にしていた。まさかこんなに簡単に治るなんて。そして「ありがとうございます」を繰り返すこと約十回、もういいぞ、と絶対城先輩に言われたあたしは、おずおず頭を上げ、問いかける。
「……しかし、これ、どういう仕組みなんですか? おまじない?」
「
「不満かって──いえそんな! 治っただけで充分です、ありがとうございます!」
再び、
「杵松さんもありがとうございます! ああ、来て良かった……! そうだ、あの、お礼は……? あたし、持ち合わせは少ないんですが、でもきっと払いますから」
「何を言っている。金を取るつもりはない。ただし」
「え? た、タダってことですか? あ、ああああ、ありがとうございます! このご恩はたぶん一生忘れませんから! よーし待ってろイベント
勢いよくこの場を後にしそうになったが、何か大事なことを
「……絶対城先輩。今、『ただし』って言いました?」
「言ってたよね、確かに」
「ああ。言ったな」
あたしの問いに、杵松さんが苦笑で応じ、そして絶対城先輩が不敵にうなずきながら立ち上がる。黒の羽織に黒ネクタイの怪人は、ゆっくりあたしに歩み寄ると、胸元の竹製ペンダントを持ち上げた。落ち窪んだ眼窩の中の
「代金の代わりとして──そうだな、週に三回はここに顔を出せ。経過を観察したいし、ちょっとした訓練にも付き合ってもらう」
「しゅ、週三ですか……? てか、訓練って何の」
「来ればわかる。それと、せっかくだから、手も貸してもらおうか。明人が三年に上がってから学業が忙しくてな、手が足りていないところだった」
「手を貸せって──何に、です?」
「
唖然とするあたしに向かって、ツラツラと語り続ける絶対城先輩。いきなりの申し出に──いや、命令に、一瞬脳がフリーズする。ややあって、目の前の人物の放った言葉をどうにか理解し終えると、あたしは
「……つまり、あたしに、インチキのお祓いの手伝いをしろと」
「そういうことだな」
さらっとうなずく先輩である。そんな、と反論しようとしたあたしだが、そこにバリトンの効いた渋い声が重なった。
「嫌ならば断れ。だが、その場合、俺とお前の縁はここまでだ。なお、お前のそのリングは、作るところを見ていてわかったろうが、すぐ壊れるし、いつ弾けるかわからない、極めて不安定な
「そ、それは……」
無情な
「ああ、俺の手伝いをする過程で知り得た情報を口外することも禁じるから、そのつもりでな。もし口を滑らしたなら、俺はその時点でお前に対する処置を打ち切る。永遠に耳鳴りに苦しめ」
「……ぐっ!」
気がつけばあたしは
でも、だが、しかし。
ずっとあたしを苦しめてきたあの耳鳴りを
……と、そんな堂々めぐりの自問自答を繰り返すこと、約二分。ようやく答えを決めたあたしは、肩を震わせて大きく息を
「……わかりました。助手になればいいんですね」
「誰が助手だ。お前はあくまで怪現象のサンプルだ」
意を決して口を開いたあたしを前に、あっさり言い放つ絶対城先輩である。その言葉に、あたしはぽかんと間抜けに口を開いた。
「サンプルって──人間扱いされてないじゃないですか!」
「それがどうした。そう言えばお前、名前は湯ノ山礼音だったな。どんな字だ」
「はい? お湯の湯にカタカナのノに山形の山、お礼の礼に音ですが……」
「そうか。なら湯に礼でユーレイだな」
「やっぱり人間扱いされてない! その呼び方には異議ありです!」
「まあまあ、落ち着いて湯ノ山さん。それと、改めてよろしくね」
食って掛かるあたしの肩を優しく叩き、杵松さんが微笑みかけてくれた。それはそれでちょっと嬉しかったけど──でも、そんなことでは帳消しにならないほどの不安が、あたしの胸の中では吹き荒れていたのだった。
そして、ここからは友香に聞いた後日談。
自慢の実録怪談を絶対城先輩に
「……先輩。この怪しい訓練、いつまで続けなくちゃいけないんですか?」
「怪しいとは何だ。信用できる
「ま、またそれを持ち出す! わ、わかりましたよ! 続き、お願いします……」
「最初から素直にそう言え。よし、では目を閉じたまま心の中に二重丸を思い浮かべ、そのまま片足立ちで三十分」
「くそっ、意味がわかんない上にムダにしんどい……!」
──あたしの方は、あまりめでたくない結果になってしまったのであった。こんな大学生活は、期待も予想もしていなかったのに!
「ああ、さようなら……。あたしのバラ色のキャンパスライフ……!」
「新歓コンパでいきなり浮くような奴にそんなものは永遠に来ない」
「ほっといてください!」
【次回更新は、2019年12月20日(金)予定!】
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