第2話 オークちゃん、いらっしゃ~い
「さて、続いての方、どうぞ」
アシスタントのセヤナちゃんが、次の勇者籠絡候補を呼びます。
現れたのは、全身緑色のオーク女性ですわ。
ごっついなー。身体も大きいけど、特徴的な……。
「どこが」とは、言いいまへんけど。セクハラなりますさかい。
まあ、なんと言いましょうか。実に独創性のあるお顔でんな。
愛嬌がある。
「ぐらころー」
ブーッ!
さっそくズッコケましたわ、わたくし。
「たぶんやけど、『くっころ』と勘違いしてまへんか?」
「そうとも言うかもなー」
「ぐらころや」と、冬季限定のハンバーガーですわ。
訴えられまっせ。
「ほな、女オークちゃん、セールスポイントを言うてんか?」
「家事全般が得意だぞ。炊事洗濯料理、全部得意だぞ」
持ってきてもろうた料理を食べさせてもらいました。
ホンマ、いつでもヨメにいけまっせ、これは。
「よろしいがなー。こういう家庭的なお嬢さんなんてメロメロやん。素敵やん」
わたくしのヨメに来て欲しいくらいやで。
「でもなー。わたしみたいなデブは相手してくれないかもなー」
「何をおっしゃる。あんさんは『ぽっちゃり』側ですわ!」
「そうかなー? みんなしてわたしのことをデブデブ軍艦デブって」
「あんたでデブやっていうたら、ウチのヨメなんて、そらもう要塞ですわ。動く城やで」
「さすがにお妃サマと比較は、怖くてできないぞー」
「体型のことでっけど、気にしはることなんかあらへん。それを補って余りある魅力が、あんさんにはあるんでっせ」
今時、家事ができるってだけで十分ステータスが整ってまっさぁ。
「そうかなー? 魔王サマがそういうなら、いっちょ勇者をトリコにしてみせるぞ」
「その意気ですわ! ほな、サイコロ振ろうか」
コロコロッと。
「うわー裸エプロンろんだって。寒そうだなー」
おっ! おあつらえ向きのが出たやないの。
しかも、ふくよかな方が付けた方が、こういう服は映えますねんよ。そそるそそる。
惜しむらくは、普段着の胸当てと腰蓑セットとなんら代わり映えしないトコでっしゃろか。
「がんばってや!」
「はーい。じゃあねー」
オークちゃんは元気よく帰って行きました。
――三日後
「大変です、魔王サマ!」
またしても、アシスタントのセヤナちゃんが王の間に飛び込んできた。
「どないしましてんな。もう勇者は快楽墜ちでっか?」
「先日放った女オークですが、インフルエンザになって帰国しました!」
ブーッ!
「なんでやねん! いつもの腰蓑と何が違いましてん?」
「服装は問題なかったんです。でも、あの子って過疎った村の出身でしょ? 人に酔ってしまったようで」
ブーッ!
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