フェチ12:お勉強の方法、がんばりました。
例えば、化学の授業で習った
数学、物理の公式なども、記号を想像しやすいイメージで関連付けてしまうのだとか。
それが聖法院の勉強の仕方のようだ。というか、心理学で言われているやり方らしい。
確かに、無意味な数字の
さらに一つの
その徳川家康に仕えていた
その甲賀が徳川家康に仕えることになったのは、明智光秀に織田信長が殺された『
と言った風に、どれかひとつでも思い出せれば芋づる式に知識を引き出せるようにするのを『メモリーツリー』と言うのだとか。
これを
そんな方法で一日、二日と徹底的に叩きこまれる。
しかし、現文だけは自分で勉強して欲しいと投げられた。どうやら、聖法院は国語が苦手らしい。そのわりに難しい表現を使っている気もするのだが。
とにもかくにも、オレは運命のために頑張った。
一週間と少しが経過し、試練を経験。そして運命の時がやってくる。
廊下。教室側の白い壁に、長い紙が張り出してある。
そこには名前と順位が記されていた。
成績の低い奴には
そして、オレはオレの真名を探す。
結果、聖法院の理論が正しいと証明されていた。
「オ、オレが、学年トップ……だと!?」
嬉しいが、自分でもまさかの結果。やればできる子だったのか!?
若干、腰が引けている。しかし、ここで退いては勇者の名折れ。
「佐藤ヒロさんって、頭いいのね」
おお、誰かが棒読みで、オレの栄光を称えてくれている!?
これが勇者の特権かっ。
って聖法院かよ!? ここ、二年の棟だってのに!?
……ウィンクとかしなくていいから……しかも、すごくぎこちないし。
オレに注目が集まる。選ばれたオレが、まさに選ばれた状況にっ。
悪くはない。悪くはないが、ど、どうしたらいいのだろうか?
ここは、こう、両手を振って視線に応えるべきか?
いや、まて、オレは勇者だ。高慢になってはいけない。
そうだ、オレは英雄候補っ。
おごらず、高ぶらず、清く、正しく、控えめに。
……それに今回はズルしたしな。みんなは試験があることを知らなかったんだから。
とにかく、この場を去ろう。このままでは罪悪感に押しつぶされそうだ。
振り返る。すると、その視線の先に、オレの心を直撃する絶対領域があった。
この絶対領域……運命!
顔を上げる。そこには小鳥居さんがいた。
こちらをしげしげと見つめている。
運命……! この視線が出会ったのは、奇跡の確率っ。
心臓が膨張する。
選ばれたオレの心臓が、これから始まるであろう、選ばれた展開を期待している。
小鳥居さんがニコっと微笑んだ。
ほ、ほ、え、ん、だ!
これが、運命の交差。運命の始発駅っ。
オレは微笑みを返そうとしたが、上手く笑えなかった。
次の運命が動き出す前触れかと思うと、興奮して笑うどころではなかったのだ。
もちろん、表には出していない。クールに直立不動だ。
そんなオレの興奮をよそに、小鳥居さんはその場をすぐ立ち去った。
おおぅ、なんてミステリアース。
ボーダー、ダンク……
あの言葉の意味が何なのか、そして本当に彼女が夢の少女なのか。
やはり簡単には確かめさせてくれないようだ。
しかし、だからこそ、挑みがいがあるっ。
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