第5話
なあに、きっと忙しかったんだろう。
なにせ相手は社会人だ。一日ぐらい仕方ない。
だが、なにか、いやな予感がした。
SNSも知らないし、連絡先も交換していない。
シロさんとは、その距離感でずっと一緒にいた。
それで慣れていた。
毎日のようにログインするシロさんは、最近になって連続ログイン記録が途絶えた。
それでも、ログインしなくても一日だけだったり、事前に教えてくれた。
今回、事前に何も言われてない。何も聞いていない。
それが不安だった。
でも相手は社会人、大人だ。
大人の事情ってやつかもしれない。
別に悲しいわけではないんだ。
ただ、病気にでもなったのかとか、いろいろと心配になるだけ。
でも、何度も言うが、言い聞かせるが、向こうは大人だ。
体調管理もできるんだ。
今は、信じて、一人で、ゲームをしよう。
横にある、白い、まあるい敵キャラを手に取った。
学校は、一度休んだが、しっかり行った。
その間、特に何も起きなかった。
強いて言うなら、月に一度話すぐらいの母と話した。
ただそれだけだ。
話の内容は、どこかに食べに行かないか、そんな程度。
もちろん断った。
普段話さない人と、同じ席で食べ物を食べても、話をせずに黙々と食べるだけ。
そんな気まずい空気に耐えながら食べるよりかは、一人で食べていたかった。
白い、まあるい敵キャラと、毎日ご飯を食べた。
別に、一緒にゲームをする人が一人減っただけだった。そう感じた。
心の中に、虚しさが生まれた。それだけだった。
それ以外は、ずっとクエストの周回をしているだけ。
ただ、黙々と。延々と。ずうっとずうっと。
シロさんがログインしなくなってから、一週間がたった。
明日は、新イベントの開催日。
イベントの期間は一週間。
このイベントの告知は、少し前からされていた。
だいたいシロさんがログインしなくなる一週間ほど前だろうか。
シロさんはこのイベントをとても楽しみにしていた。
白い、まあるい敵キャラが多く出現するんだ。
シロさんと話した。
最近はあんまりプレイできていないから、このイベントは全力でやろう。
そう話した。
カイは、そのイベントの下準備をしている。
必要になってくる素材を集めているんだ。
イベント中もそのアイテムは集められるが、なにせ人が増える。
だから、事前に取っておく。
これはシロさんから教えてもらった方法だ。
―シロ がログインしました―
カイは思わずジャンプした。
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