第6話
シロ こんばんは
カイ こんばんは
シロ 久しぶり
カイ 久しぶりだね
カイは頭の中が真っ白になった。
最近何かあったの? とか、そんな事聞いてもいいのかわからなかった。
シロさんから話してくれるのを待った。
なあに、ゲームだけの仲なのだ。深堀する必要もない。
シロ あのね
シロ 次のイベント、できなくなった
忙しいのだろうか。この一週間もログインしていなかったし。
シロ 今スマホでログインしてるんだけどさ
パソコン壊れたのかな?
シロ 今会社にいるの
珍しいな。休憩中かな?
シロ 楽しみにしてたんだけど
なにか事情があるんだろう。
シロ EGOやめようと思う
カイトは画面の前で固まった。
EGOを始めてから今まで、数年は経っていた。
それはカイトだけでなく、シロさんも同じこと。
EGOは長期間ログアウトした状態でもアカウントが制限されることはない。
だから、今忙しかったとしても、いつかはまたプレイできる。
でも、それはシロさんも知っているはず。
シロ 戻る予定はないの
今存在するすべてのプラットフォームでプレイできるEGO。
パソコンが壊れてもスマホを使えばいいし、スマホが壊れても携帯ゲーム機を使えばいい。アカウントを消さない限り、ログインすればどこでも、いつでも、いつまででも遊べる。
アカウントを消さない限りは。
カイ アカウント消すの?
シロ うん
カイ 新しいアカウントでまた遊ぶことは?
シロ ないと思う
理由。理由が知りたい。
今までの積み重ねを壊すほどのことなんだろう。
カイ なんで?
シロ ごめんね
理由は、言われない。
机の上、パソコンの横に置いてある白いまあるい敵キャラのキーホルダーに目を移す。
シロさんは、ものすごくEGOが好きだった。
特に、白くてまあるい敵キャラが出てくるイベントの時は楽しそうにしていた。
シロさんは、本当に、このゲームを楽しんでいた。
でも、止めようにも、そんなことは出来ない。
これはゲームなんだ。
カイ そっか
シロ 今までありがとう
カイ こちらこそ
カイ ねぇ、最後に、
渡したいものがあるんだ――。
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