第1話 切り裂きジャック―――第11節
「そこで俺の持っていた違和感の正体に気が付いたんだよ。」そう言った以蔵は真面目な顔をしながらつぶやいた。
「M助くんってショタコンだったのだよ。」
スッパーン。
とりあえずハリセンでおもっきし以蔵を叩いておいた。
「以蔵、ふざけているの。」
「いえ、コレがマジの話で。かつてのM助の犯行では被害者は皆13歳から18歳の少年だったのですよ。」
「ん?ちょっと待って、だとすると今回の被害者との共通点がないわよ。」
「そうなんですよ。ソレもあって警察はM助と犯行のつながりを疑いはじめたんです。」
「でも最初は疑ってたんだよね。」
「まぁ獄中暮らしで趣味が変わったんじゃないかと思われてたんだよなぁ。あくまで捜査側はノーマルなわけだし。」
「なんと言うか世知辛いわね。」
「実際ここが俺の違和感を覚えていたところなんですよ。」
「と、言うと。」
「正直俺も別人だと思っていたんですがねぇ、警察の協力もあってM助で間違いないことは分かったんですが。ここで気にすると残念感が半端ないんですよ。」
「以蔵はどう考えているんだ。」
「多分、お嬢の考えているのと同じだよ。M助も被害者で真犯人が別にいる。って、考えだよ。」
「それを警察には…」
「伝えてませんよ。―――まず証拠がない。M助の死体もオカルト事件と認めさせることにはできましたが、オカルトになった経緯についての証明はできているわけではありません。ここに、第3者がM助を使ってオカルトを起こして事件を起こしていた。なんて話はまず理解してもらえませんからね。」
「と、なると。この事件は黒幕がいてまだ終わってはいないということになるのか。」
「いえ。この事件自体は終わったと言えます。当の妖怪M助を倒したときも他所から何かしら介入されませんでしたから、たぶんM助を妖怪化させることが目的だったのかと思いますぜ。」
「ん?」
「つまり実験です。実験が目的でできた妖怪には興味ないからほっといたら事件起こした。で、我々がその後始末をすることになったっというところです。」
「な、それじゃぁあ翔子が被害にあったのは…」
「まぁ、ホントの敵討ちはまだおわっていませんっぜ。」
「~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!」
※※※
数日後。
事件の終着を警察から発表された。
今回の事件はオカルトが絡んだとある人物による連続傷害事件として発表された。
犯人としてはやはりと言うか田代 M助の名前が挙げられていたが、警察は犯人が事件半ばにして死体で発見されていたことを公開して、今回の事件をオカルト事件として扱うことにしたようだ。
この際の協力者であるわたし達のことはあくまで民間の協力者として発表されていた。
それはいいのだが、
こちらが示唆した黒幕については一切のコメントは行われず、警察が黒幕について考慮しているかはわからなかった。
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