第8話 寝ぼけた頭。
昨日と同じ時刻、同じ教室。昨日と同じ席についた柚木は、今日もまた騒がしい生徒たちのざわめきと、開き切ったカーテンに軽く溜息を吐いた。
せめてそのどちらかでも解消されれば、ゆっくりと眠れそうなのだけれど。
恋人の机に突っ伏して、昨日と同じように顔を背けて目を閉じる。耳に煩い生徒たちの声も、しばらくしていると気にならなくなってきて。そのままゆっくりと、眠りに落ちていった。
「……眩し」
目に入る光の強さに僅かに瞼を持ち上げる。同じ体勢がつらくなり、知らないうちに寝返りを打ってしまったようだ。何度かぱしぱしと瞬きをした後、柚木はまた反対側を向いた。けれど、身体が強張ったように痛み、立ち上がってカーテンを閉めに行くか、どうするかと迷う。
シャッ、と音がした。
「……?」
驚いてまた顔をそちらに向ければ、寝起きのうつろな目に入った、一人の女の子の姿。彼女は自分の席と思しき机の方へと歩み寄っている所で。
あ、カーテン閉めてくれたのか。
先ほどと一転して、電灯の光だけになった教室はそれほど目に響くわけでもなく。柚木はそのままとろとろと、二度目の眠りに落ちて行った。
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