裕子との出会い

 ある日の放課後…――。


 同じクラスメートになった縁もあってか、トオルくんとリョウちゃんと三人でお喋りをしていた。


 ちょうどそのとき、勢いよく教室のドアが開いたかと思うと…―。

 突然、もの凄い形相をした女子生徒が飛び込んできた。



「トオル!! 

 あんた、また女の子クドいてたでしょ!?」


「げっぇ! ユウコ……!」



「ユウコ」と呼ばれたその女子生徒は、頭に血が上っているみたいだ。

 今、鋭い目つきでトオルくんを睨み付けている。



 河合カワイ 裕子ユウコ


 この日が初対面だったんだけど……。

 後に、私の強い味方になってくれる大事な親友。


 当時は、明るい茶色系に染めた長めのストレートの髪をポニーテール風にマトめていた。


 綺麗な顔立ちをしているけど、見た目が派手なため、近寄りがたさを感じた。




 え…。

 何……っ!!

 すごい迫力………。



「お前… あのには、弱いのな~」



 リョウちゃんは、もう既に見慣れているみたいで、大してあまり驚きもせず、二人の葛藤カットウを眺めていた。



「ねぇ いつもこんな感じなの?」



 リョウちゃんの耳元で小さい声で訊いてみた。



「あぁ もう慣れっこだよ。

 でも、今日のはまだ甘い方だぜ」




 えぇ~~~~。

 いつもは、もっとすごいの~!?



 あまりの驚きに、思わず大声を出しそうになった。




 ユウコとトオルくんの出会いは、まだ二人が“中学生だったころ”…ていう話をリョウちゃんから聞かされた。


 そのころ、トオルくんとユウコは別々の学校に通ってて、顔も名前も、お互い知らない。


 そんな二人がどうやって出会ったのかというと、「遊び人」の癖が直らないトオルくんのナンパだったらしい。



「…あ、そういえば……。

 ユウコが、しょっちゅう うちのクラスに来てたなぁ」



 一年前のことを思い出したのか、リョウちゃんがこんな話をしてたっけ。



 高一のとき、他のクラスだったユウコは、毎日、休み時間になるとトオルくんのクラスへ来て、女子に人気があるトオルくんの周りを常に監視していたらしい。



「家柄が、ものすげぇ~ 金持ちらしいよ」



 リョウちゃんが言った言葉にも、「へぇ~ そうなんだぁ」…って、そのときは何気なく応えたんだけど。




 どれくらいすごい家柄のお嬢様だってことを実際、全く分かってなかった。



 ユウコは、見た目は少し派手だけど、「お嬢様」だって感じが全然、しない女の子だった。


 だから、普通に友達として接していた。



 だけど……。

 トオルくんとは、相変わらず痴話ゲンカばかり。






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