第16話 第2クエスト、黄巾の乱

「私をたくさんのイケメンが待っている! アハッ!」

 初期のプログラミングを修正して美男子と美女にしたら、腐女子が付いてきた。それが自称、天才ゲーマの渋子である。

「待て! 待て!」

「イケメンのお兄さんたちが私を追いかけてくる!? なんて幸せなゲームなの!? アハッ!」

 単純な生き物の渋子は大喜びである。

「顔だけ良くても、性格が最悪じゃねえ。ファンに手を出すなって沢滝くんが怒っていたわよ。でも食べられる女も尻が軽いから同罪ね。」

 腐女子の課金率は高い。全部お金持ちの親のお金で、アイドルのコンサートグループの全国ツアーの追いかけもする。お金がなければ体を売ってでもイケメンを追いかけるのが腐女子だろう。

「アイドルもホストも同類ですな。」

 シバちゃんは一言で片付ける。

「悲しいけど、私のために吹き飛んで。イケメンの黄巾族のお兄さんたち! アトミックボム!」

 一撃ドッカンで渋子は黄巾の乱を鎮圧した。

「誰かが言った。彼女が歩いた後にはキノコ雲が残っていると。」

「誰かが言った。彼女が歩いた後には草木も放射能で生えないと。」

「誰かが言った。彼女が歩いた後には禿しかいないと。」

「やめいー!? 婚期を逃すだろうが!?」

 第2クエストを渋子たちはクリアした。

「お姉ちゃん!? 敵がイケメン過ぎて、渋子、死んじゃうよ!?」

「あのね。敵をイケメンにしろって言ったのは渋子よ。私、知らない。敵の顔を修正するの大変だったんだから。」

「美しさって、罪ね。」

 間違いがないように言っておくが、渋子は、どこにでもいるような普通の女の子です。

「さあ! 次のクエスト、行ってみよう!」

 曹操と董卓を倒す、第3クエストに渋子は挑む。

「ああ~! たくさんのイケメンが私を目掛けて駆け寄って来る! 私って、なんて罪な女なの!」

 渋子は迫りくるイケメン兵士に酔いしれる。

「もう戦闘ゲームはやめて、異世界乙女ゲームにジャンルを変えようかしら?」

「それがいいかもしれません。開発を進めるうちに初期設定が変わることはよくあることです。」

 天才ゲーム・プログラマーの姉の日向は、自由奔放の妹に振り回される。

「さあ! みんな! 私のために死になさい! 必殺! アトミックボム!」

 渋子は迫りくるイケメン敵兵士に得意の核爆弾を打ち込む。

「あ~スッキリした。便秘で詰まったものが、トイレでスッキリした感じ。アハッ!」

 第3クエストを渋子は笑顔でクリアした。

 つづく。

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