第15話 もう一度、曹操クエスト

「もう一回やろう! 曹操クエストを!」

 妹、渋子は新しいキャラクターのクエストを出して、次に行くのは簡単だが、どうも納得がいかないので、もう一度、曹操クエストをやることにした。これが周回である。

「いいのね!? 曹操クエストの難易度をチートにプログラミングを修正するわよ!?」

「いいよ! その代わり、曹操やシバちゃんを美男子か美女にしてね!」

「修正するのは、そこかい!?」

 こうして舞台は三国志だが、剣や弓の従来の武器だけでなく、原子爆弾、バスターランチャー、巨大ロボ、おまけに魔法、ニュータイプ覚醒などのチートな修正が施された。

「シバちゃん、渋子、愛してるよって言って。」

「殿!? 殿に向かって、そんなことは言えません!?」

「殿なんて呼ばないで!? 渋子って、呼んで!」

「やめいー!? 喜劇は!?」

 もちろんカワイイ妹の頼みなので、姉の天才ゲーム・プログラマーの日向はシバちゃんたちキャラクターの容姿を、もっと綺麗にカッコ良くした。

「面白カッコ良さそうね! アハッ!」

 渋子はご満悦である。

「それじゃあ、お姉ちゃん、行ってきます。」

「渋子、行ってらっしゃい。シバちゃん、困った妹だけどよろしくね。」

「かしこまりました。殿のお姉さん。」

 こうして無事に渋子は曹操クエストに旅立った。

「クエスト1は曹操、夏侯惇、夏侯淵を倒せば良かったのよね。」

「前回とは違い、ゲームの難易度は数段にレベルアップしています。果たして殿に倒すことができるか!?」

「シバちゃん!? 何を言っているの!? 私は渋子よ! 天才ゲーマーよ! どんなクエストだって、一撃ドカーン! で勝って見せるわ!」

 遂に渋子まで自称、天才ゲーマーを名乗り始めた。

「キャアアアアアアー! 曹操! 夏侯惇! 夏侯淵! 男前になってる! イケメンだわ! カッコイイ!」

「やはり殿の弱点は、イケメンですな。」

 呆れるシバちゃん。渋子の初期設定に「イケメン✖」が付け加えられた。

「いでよ! 巨大ロボ曹操くん!」

「固めの眼帯を外して、魔力の瞳を解放! たぶん写輪眼は権利問題で使えないと思うので、邪眼!」

「くらえ! 氷魔法! ブリザード!」

 曹操たちも剣ではなく、チートなスキルを使いまくりである。

「殺すには惜しいけど尺の問題があるのよね。必殺! アトミックボム!」

「殿!? 早くこちらへ!?」

 渋子とシバちゃんは全速力で安全地帯の渋子のお家に逃げ込む。

「正義は勝つ! 第1クエスト、クリア!」

 渋子が家の玄関の扉を閉めると原爆が爆発した。凄まじい爆風とキノコ雲だけが爆発のすさまじさを物語っている。

 つづく。

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