第12話 赤壁、神の風が吹く

「第6クエスト! 赤壁の戦い! 曹操軍と孫権軍を殲滅せよ!」

 100万の軍勢の渋子軍は、次に曹操と孫権が戦っている赤壁にやってきた。

「この調子で数で押し切ってやる!」

 妹の渋子は前回の大勝利で勝気であった。

「ダメよ。ダメなのよ!」

「どうしたの? お姉ちゃん。」

「赤壁の戦いは、神の風が吹かないと曹操軍のバリアが破れないから無敵なのよ!?」

「ええー!? どうしてそんなハードな設定にしたのよ!?」

「私、ゲーム・プログラマーとしては優秀なので。アハッ!」

 姉の日向は優秀なゲーム・プログラマーであった。

「日向お姉ちゃん! 何とかして! カワイイ妹のお願いよ!」

「もうしょうがないな。渋子のお願いじゃあ。じゃあ、私が息を吹き替えるわね。ふう~!!!!!!!」

 姉はスマホの画面に息を強風のように吹きかけた。

「うわあ!? いきなり強風だ!? 松明の火が船に引火したぞ!? ギャアアアアアアー!?」

 神の風の正体は、姉の吐息だった。

「いくぞ! 渋子軍! 全軍! 突撃だ!」

「おお!」

 火事で混乱する曹操と孫権の軍に100万の渋子軍が勢い良く突撃する。

「やったー! クエストをクリアだわ!」

 大乱戦の中、渋子軍は数の力で曹操軍と孫権軍を皆殺しにした。

「これも私と渋子の麗しい姉妹愛の賜物ね。アハッ!」

 これでも天才ゲーム・プログラマーの姉であった。2Dでなく、3Dの世界をつなげたのだから、やっぱり姉の日向は優秀なのである。

 つづく。

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