第14話:決戦!虚構の古戦場(後編)
ここにはAR系の有名所は置かれていないのだが、それでも客足が途切れることはない。
(ARを使用していないゲームでも、プレイされている現状がある。それは――)
様々な筺体を見回しているビスマルクは、この光景がSNSの闇によって荒らされる事を懸念していた。
それ程に強大で、対処出来るような存在ではないのがSNSの闇である。それは、正に数の暴力と言っても過言ではない。
同調圧力とも言うかもしれないし、それこそまとめサイトや悪質なマスコミなどが意見の誘導をするだろう。
一連の炎上勢力は、そう言った経緯で誕生しているのかもしれない。だからこそ、無尽蔵にSNS炎上と鎮圧は繰り返されるのだ。
それを一種の『キッズアニメ等と同じ』と言うのは簡単だろう。これに対して、どのような印象を抱くのか――。
そうした流れをマッチポンプと表現するのも、用意かもしれない。それだけ、SNS炎上は誰にでも出来てしまうのだから。
「もう二度と、悲劇は繰り返したくない。SNSの闇は、次第にリアルにも浸食する」
リアルでも起きている事件、それらもSNSの闇が影響したものとビスマルクは理解している。
SNSの些細な一言で炎上し、それが大規模なテロ事件にまで発展するのは『妄想に過ぎない』や『それこそ炎上と同じ』という意見もあるだろう。
ビスマルクを追いかけた訳ではないが、軽装姿のマルスが同じゲーセンを訪れていた。
彼の目的はビスマルクに会う事ではないと思う。しかし、何故かこのゲーセンに姿を見せたのだ。
(ここは――?)
何時も訪れるゲーセンとは若干異なり、大規模なARゲームはあっても一部機種のみである。
そのほとんどはVR系や体感型と言えるような機種で、草加市がバックアップしている様なARゲームはわずかだ。
それなのに、客足はARゲームの置かれているフィールドに負けず劣らずと言った具合である。
(VR系ばかりなのに、人が絶えずプレイしている。人は新しい物しか興味を持たないのでは――)
マルスは、ふと何かの記憶を思い出したような発言をするのだが――やはり微妙な歪みはある。
その為か、全ての記憶を取り戻すのは困難と言えるのかもしれない。
(これが、草加市の聖地巡礼――?)
ふと目にとまったポスター、そこには少し前に流行ったアニメ作品のキャラクターと草加市のコラボポスターが貼られていた。
ポスター自体は敗れている個所はなく、ここ最近になって貼られたのかもしれない。
【ゲームマナーを守って、止めよう迷惑プレイ】
その大きなキャッチコピーに目が止まったマルスは、思わず驚いて表情を変えた。
書かれている事例には、連コインや台パン、筺体の占拠と言ったようなごく当たり前のような物が事例に載っている。
一部区域でゲームの時間制限を県で条例化仕様と言う動きはあったのだが、これも類似事例なのではないか――とは思う。
しかし、これは一種のコラボポスターなので、そこまでの事は書かれていない。一体、何が違うと言うのだろうか?
一方で舞風はある事実に気付き始めていた。それは、アルストロメリアの行動が蒼流の騎士ともまとめサイト勢力等とも連動していない事。
何故、ここまで勝手な行動をしても周囲の反応に大きな変化がないのである。ピンポイントレベルであれば、いくつかのサイトでは言及されているだろう。
しかし、メジャーなまとめサイトやまとめブログの単位でみると扱っている場所は少ない。最悪、ゼロと言えるだろう。
(知名度で言えば、プロゲーマーのアルストロメリア等とも勘違いするようなサイトはあるのに、どうして彼女は――)
様々なサイトをチェックしても、彼女にスポットライトを当てたサイトはない。そうなると、彼女はどうやって召喚されたのか?
原理としては様々なネガティブ要素が形となり、それが現実化したのが鍵の持ち主という説も生まれた。
あのメールにあったサイトの記事もそうだが、様々な作品を見ていく内に光だけではなく闇の部分も見える事が出来る。
SNSの闇が一連の勢力の正体としても、どういった意図があって鍵と言う存在を作ったのか?
単純に炎上だけが目的であれば、鍵と言う存在や浮遊大陸自体が蛇足に見えなくもない。単純に作品を炎上させるのであれば――。
彼女はその核心に迫ろうと様々なサイトへのアクセスを試みるが、一部のサイトは閲覧権限がない。特殊なサイトではないはずなのに、どうして権限がないのか?
(このサイトって、アカウント不要のはずじゃ――)
別の小説サイトを見ていた舞風は、本来はアカウント不要のサイトが閲覧できない事に不信感を持つ。
セキュリティ強化をしたというお知らせもないはずなのに、どうしてなのか? ガーディアンがサイト閉鎖をしたようなニュースもないはずだ。
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