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蒼流の騎士とガーディアンの女性、その対決を見ていた人物も少なからずいるだろう。しかし、それらの人物がSNSに拡散する事は出来なかった。
その理由の一つが、スマホに対してのピンポイントジャミング、電波妨害とも言える行為だったのである。明らかな違法行為に近いが、それでもガーディアンでの運用は特例で認められていた。
(なるほどね。しかし、こっちはジャミング位は想定済――)
草加市某所、二人が激突していた場所でギャラリーとして混ざっていたのは、メイド服にツインテールが特徴的なビスマルクだった。
彼女はガーディアン寄りの考え方ではないし、蒼流の騎士のように二次創作に関しての考えは持たない。
だからと言って、ガーディアンの女性のような意見も持っていないので、どちらかと言うとスルーしたいような案件なのは間違いないだろう。
それでも気になったのは、あのガーディアン同士で内輪もめにも近いような事をしていたのが気になったから。
自分にとって必要なのは、リズムゲームが置かれている現状とイースポーツ化に絞られている。
近年はリズムゲームのイースポーツ化も行われている機種も存在するが、彼女の理想は全メーカーのリズムゲームを対象としたイースポーツ化だろう。
「しかし、蒼流の騎士の正体がこっちの想定外とは――」
最初にマルスを呼びだした蒼流の騎士の正体がSNSのまとめサイト関係者だった事は既に拡散されている。
それでもこのニュースを信用するユーザーが少ないのには、ガーディアンが発信した記事と言う理由もあった。
(このギャラリーの数は、どういう事?)
ビスマルクが周囲を見回すと、先ほどまではギャラリーがあまりいなかったのが数十人単位で増えているように見える。
何処で、この情報を得たのだろう――とスマホをチェックしたビスマルクh、まさかの記事を発見した。
(これって、どう考えても――)
一番バズっているつぶやき、それ自体に写真は添付されていない。しかし、別のリツイートされている記事には、はっきりと写真が貼られている。
しかも、その写真ははっきりと蛇腹剣で蒼流の騎士が無双する画像――先ほどまでの光景だった。
この画像を違法だと通報して炎上勢力をこの場から引き離そうと、そう考えていたビスマルクでも数が多すぎて対応できない。
ここで言う数とは、写真の掲載された記事の数とこの場にいるギャラリーの両方だ。片方を対処できたとしても、もう片方は――。
(打つ手がないのか――)
そう思っていたビスマルクだが、そのすぐ近くでAR配信が展開されているという話題が拡散され、ギャラリーはそちらへと移動し始める。
その様子は民族大移動にも見えるようだった。この様子を見て、ビスマルクは肩の荷が下りたと思う。
「しかし、一体誰が――!」
拡散された記事を見ると、このニュース自体が何と事実ではあるのだが、一部がフェイクニュースだったのである。
確かにARバトルは様々なフィールドで開催されているのは事実だろう。しかし、この場所の近くでARバトル配信と言うのは嘘だったのだ。
ギャラリーの向かった先にあったのは、確かにARゲームではあるがジャンル違いのリズムゲームのプレイ配信である。
まさか、リズムゲームに救われるとは――ビスマルクも予想していなかった。
(所詮、そう言う事なのか)
彼らが求めているのは、どちらかと言うとバズりそうな話題と言う事なのだろう。
自分が情報発信し、有名になりたい――。これでは、昔のテレビに移ろうとした野次馬と同類ではないか。
一方の黒のシュヴァリエ、彼がARバトルを展開していたのは、あの戦闘が展開されている場所から数百メートル程度の場所である。
場所こそはARフィールドであり、それこそギャラリーの多い場所だった。しかし、中継が配信されている事もあって会場へ足を運ぶユーザーが少ないように見える。
実際は、蒼流の騎士とガーディアンの女性が戦闘をしている光景が現地組によって情報が拡散、それでギャラリーは向こうへ向かったのだろう。
あれだけ外部へ情報が流れる事を恐れていたのに、アナログな手段で裏をかかれるとは――ガーディアンも思っていなかったはずだ。
(こっちの方が逆に誰もいない分――)
シュヴァリエが使用している武器、それは銃剣である。形状はファンタジー風味ではあるが、SF要素も混ざっていた。
登場している狩りゲーではメイン武装で、これをカスタマイズする事で更なる武器を生み出す事が可能である。
(しかし、相手は圧倒的だ。勝てる気はしないだろう)
ARフィールドは市街地フィールドであり、ビルを破壊しながら黒のシュヴァリエの場所へ移動するのは不可能だ。
それでも黒のシュヴァリエは勝ち目がないと思っている。その相手とは――。
「貴方も同じ鍵の持ち主ならば、逃げていないで正々堂々と戦えないの!?」
その外見は魔法少女でありつつも、深夜アニメ的な魔法少女ではない――黒のシュヴァリエにとっては圧倒的不利な相手でもある。
その人物の名前は、あいね・シルフィード……自分と同じようにSNS上の特定ワードで炎上しかけた同士でもあった。
これでは戦いにくくなるのも当然だろう。しかし、あいね本人がどう思っているのかは、定かではない。
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