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異世界転移した主人公がロボットを生み出し、最終的には国家間戦争をロボット同士のデュエルに変えた作品が存在していた。
タイトルに覚えがないのだが、そのような内容の作品がアニメ化される事になった時にはSNS上で話題になっていたのを覚えている。
「自分の世界と異なるなんて、未だに信じがたいけどね」
少年の名はハヤト・ナグモ。SNS上で話題となっている謎の巨大ロボットのパイロットでもある。
実際は異世界に転移しただけのロボット好きで、現代知識チートの部類ではない。ただ普通のロボットオタクが異世界の国家間戦争を変えてしまった。
あまりの超展開に小説サイトだけでなくSNS上でも話題になり、その話題性もあって書籍化されたのである。
SNS上の一部では『まとめサイトが誘導した』や『このブレイク自体がマッチポンプ』等と炎上していたのだが、すぐに消火されたと言う。
誰が何の為に消火したのかは定かではない。しかし、その人物が後に別の事件でも表舞台に――という都心伝説はある。
今やWEB小説からの書籍化やアニメ化等のメディアミックスも、そこまで珍しい物ではなくなった令和の時代――それが起きたのである。
ARゲームで新たな風を呼び起こそうと、同人サークルがあるゲームを計画していた。しかし、それが実現する事はなかったのである。
タイトルを『ヴァーチャルレインボーファンタジー』と言う。あくまでも仮タイトルとして名づけられていた。
「そう言う事か」
備品のノートパソコンでネット検索をしていたのは、
彼がいるのはいわゆる食堂ではなく、休憩スペースである。何人かのスタッフがコンビニ弁当を食べている光景もテンプレとなっているだろう。
既に時期はゴールデンウィークに突入しかけていた、四月末日――。大きくSNS上でも何かニュースがないか検索していた所で、このタイトルを発見した。
「しかし、SNS上では様々なフェイクニュースが流れている。鵜呑みは厳禁だな」
情報の鵜呑みをしないようにと会社から通達があったばかりなので、有力情報だったとしても容易には信じられない。
まずは、情報の正確さを調べる必要性があるのだが――周囲が昼飯休憩をしていたので、瀬川も近くのコンビニへ弁当でも買いに行く事にする。
瀬川が会社ビルの正面出入り口を出た所、まさかの人物に遭遇した。
あの恰好であれば、見間違いはしないだろう。少し前に電話でも言及したばかりの――。
(ハヤト・ナグモ? あのロボット作品の主人公か?)
一見してコスプレイヤーと考えたが、体格を考えるとそれはない。
男性キャラで身長が一六〇程度という人物自体が、小説等でも少ないからだ。
ハヤトは確かに低身長と言う事で女性コスプレイヤーがコスプレするようなケースも多いだろう。
その理由として、メカクレやセミロングと言う髪型も拍車をかけているだろうか。
本編中でも女装して潜入ミッションを行った回もあるし、絵師の趣味かは不明だが男性キャラなのに女性に近い容姿も持つ。
担当声優が女性なのは――そう言う事情もあるかもしれないが、この人物にふさわしいような声優を探すのに苦労した事も分かる。
「何か、用があるのか?」
瀬川の視線がハヤトと合う。それを承知してか、ハヤトの方も反応を示す。この世界が実際に自分のいる世界と違う証拠も得たいのもあるだろうか。
「君に話がある。まずは――」
瀬川もハヤトに関しては話が分かると考えるのだが、今は昼飯を買うのが先だろう。
丁度、瀬川とハヤトの腹の虫が同時になったのだ。この展開には、ハヤトの方も笑っている。
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