3-4
場所を移してのレッドカイザーとマルスのバトルは、思わぬきっかけで終わりを告げる事になった。
バトル時間の三十分が経過する辺り、いよいよ時間切れが迫っている。
「正しい意味での正義を固定する事は出来ない! 十人十色の主張があるのは当然じゃないのか?」
マルスの問いに対し、レッドカイザーの方は手を止める。
その問いかけに応える事はないが、向こうに戦う理由がなくなったのか?
(正義は全てが統一化されているのではないのか――)
レッドカイザーは、正義の意味に関して困惑をしているようであった。それに加え、別の意味でもマルスに対して何かを感じている。
正義に関して悩む事はレッドカイザーにもあるだろう。しかし、それは本編のだいぶ後であり、ある存在と戦っている際に感じた事だ。
(そうか。マルスに対して抵抗した理由は――)
本編中、確かにレッドカイザーは正義に関して悩み、後に起こるであろうマッチポンプにも嫌悪をしていた。
最終的にはレッドカイザーは正義の意味を一連の事件で知る事になり、決戦へと挑む事になる。
おそらく、あのレッドカイザーはもしかするとマルスの一言に対してデジャブを――。
『原作を超えるような展開、それも想定しているが――』
一連のバトルをフィールドではなく、ライブ中継経由で見ていたのは
場所は草加駅から少し離れたゲームセンターで、そこのセンターモニターで見ていた事になる。
それに加えて、蒼流の騎士がいるにも関わらず周囲のギャラリーは何も気づいていない。そう言った理由もあるのだろうか。
『次に呼び出すのは、こちらにするか』
スマホを片手に検索していたのは、有名なWEB小説サイトである。
このサイトでは一次創作オンリーであり、ある意味でも蒼流の騎士には都合が良い。
(既に巨大ロボットは召喚済み。そうなると、違うジャンルがいいか)
しかし、ランキングに入っているのは大抵が異世界転生や悪役令嬢と言った物、もしくは成り上がりやざまぁと言った要素もある。
その為、蒼流の騎士には別の意味でも都合が悪い。マイナージャンルから呼び出した方が、都合がよかったからである。
有名なジャンルでは、別小説サイトで版権作品題材の二次創作が無双している状況と変わりないとも考えていたからだ。
売れているジャンルが有名ジャンルだと言うだけの話なのは、蒼流の騎士も分かっている。しかし、あの計画を実行する駒としては都合が悪かった。
何故と言われれば、有名ジャンルだとSNS上でまとめサイトが単なる炎上商法と書き、真意が伝わらないままにバズる事だけにこだわる勢力に悪用される。
だからこそ、蒼流の騎士は――ランキング以外からピンポイントで気になるタグを検索し、そこから召喚する人物を選んでいた。
(あのプロジェクトは大手メーカーに悪用させていい存在ではない。それこそ、権利争いや利益だけを求める勢力、それこそ――)
蒼流の騎士のライブ映像を見る目つきが変わっていたようにも見えるかもしれないが、それは気のせいだろうか?
メットの影響で目が見える訳でもない。周囲のギャラリーも蒼流の騎士が来ているとは―ー誰も気づいていないのだ。
蒼流の騎士が出ているとされる作品自体、書籍化もされていてマイナーと言う訳ではないはずなのに。
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