2-5
株式ニュースを広間で見ていた
「今日は、少し付き合ってもらうぞ」
何となくだが、昨日の話に関係している事だけは理解できる。しかし、マルス自身はあの話は飛躍しすぎているとも感じていた。
舞風の言う場所とは、あるゲームメーカーのビルだと言う話だが――。
「それと、その軽装服でも――さすがに外を出歩くのは厳しいだろう?」
ふと舞風は、何かのデータを取り出して――アガートラームに転送する。マルスはどう考えても無理な話では――と思っていた。
しかし、データの転送が終わった瞬間にはマルスの服が変化したのだ。明らかにご都合主義とマルスは信用していない。
「これは、一体?」
マルスも軽装服が瞬時に地味な洋服へ変化した事に驚くが、これに驚いていたのは舞風本人だ。
これが成功するとは彼女自身も考えていなかったのである。失敗したら、軽装服のままゲームメーカーのビルまで向かうつもりだったらしい。
草加市内は特定エリアであれば歩行者天国でなくてもコスプレが許可されている為だ。いざとなれば『コスプレイヤー』とごまかす事も可能だろう。
(まさか、本当に成功するとは。だとすると、彼らの原理はもしかして――)
マルスの正体もある程度は予測できつつも、核心的な部分は未だに見えてこない。
データの集合体が擬人化という風にざっくりと説明できなくもないのだが、何処までがデータなのかの線引きも難しい。
それに、マルス以外の『七つの鍵』を持つ人物の法則も不明に加え、二人目が現れた情報も正確な物がないのも大きいか。
「一応、草加市内を軽装のままで歩く事も出来るけど――その方が自由に動けるでしょ」
マルスには色々と面倒な事を伝えても流してしまう可能性が高いので、簡単に説明をする。
そして、二人は徒歩でゲームメーカーのビルまで向かう事になった。
二人がゲームメーカーのビルへ向かっている頃、他のゲームのゲーマーがレッドカイザーの目撃情報があったフィールドへと向かう。
今度は巨大サイズではないので、攻略しやすいだろうと考えたゲーマーが集まっているのだろうか。
「あの偽情報程度で、釣られる奴がいるとはな」
フィールドに姿を見せたのは、ゲーマー達より少し背の高い程度の男性だった。装備からしてガーディアンだろう。
ゲーマー達はガーディアンが一連の事件に関与してきた事に対し、何かのフラグを考える者もいる。
「よりによって、ガーディアンか」
「構うものか! こちらだってチート武装がある。ガーディアンには後れを取らない」
ゲーマー達がチートという単語に言及した事を確認し、彼は胸ポケットから厚さ数センチ程度のカードを取り出した。
右手に持っているカードがガーディアン専用のガジェットに使うカードである事は、ゲーマーも知っている。
「あのツールを使われたら、確実に終わりだ! 先制攻撃を仕掛ける!」
ゲーマー達の方の動きが速く、彼らは何と怪獣を呼び出したのだ。
しかも、その怪獣は等身大サイズより若干大きい程度だが――。
(火焔怪獣ファフニールか。向こうもアレを入手していたとは)
彼は目の前に姿を見せた異形の怪獣がレッドカイザーに登場するファフニールだと言うのはすぐに分かった。
偶然、テレビ見ていたのがファフニールとレッドカイザーの戦う回だったと言うのもあるだろうが。
「これを見ても、さっきまでの勢いが続くか――試してやる」
彼は力強くカードを握りつぶそうかという様な勢いで、カードを別の形状に変化させ、そのアイテムを左腕のガントレットにスキャンする。
数秒の間で、彼の周囲にバーチャルアーマーが装着され、その姿を見たゲーマーから先ほどの威勢は消えうせた。
「馬鹿な――」
「あれは、SNS上でも噂のアイツだ」
「逃げるしかない。もう、おしまいだ!」
周囲のゲーマーが恐怖で逃げ出す。しかも、一部の戦意が残っているメンバーでさえも瞬時で片付けられてしまうほど。
戦力差は歴然だった。彼を敵に回した事は、チートゲーマーにとって負けフラグを意味している。
(なるほど。これが――都市伝説になっているアレか)
彼が装着したバーチャルアーマーの正体、それは『七つの鍵』を拡散している
デザインは明らかにWEB小説で登場し、後に書籍化した際のデザインであり、周囲が見覚えある方とも言えるだろう。
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