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レッドカイザーは、何かの反動で草加市内のARゲームフィールドに姿を見せた。
実際の巨大サイズで姿を見せた事に対し、周囲のギャラリーからは驚きの声もある。
「あのサイズ、どう考えても無理だろう」
「あちらは後回しだ」
「巨大レイドボスを狩るとか、よっぽどの高レベル任務なのでは?」
「SNS上だと、唐突に現れたらしいな。コラボイベントではなく」
「特定のボスなのか? あのレッドカイザーは」
上からレッドカイザーを眺めるしかできないゲーマーは、この場から離れるしかない。
それ位に巨大レイドボスと戦うには、よほどの実力者でなければ不可能だろう。
その為、いわゆるチートプレイヤー等はバトルを回避して別の場所へ移動した。止む得ない判断と言うべきなのかは、SNS上のスレ次第だが。
(あのサイズのレイドボスは、データのバグなのか、それとも――)
先ほどの不正ゲーマーとは違う外見の人物は、レッドカイザーを見て驚く様子はない。
しかし、それでも興味のある案件と言う訳でもないので姿を消した。一体、この人物は何を考えて姿を見せたのか――。
レッドカイザーが現れてから数分後、不正ゲーマーが去ったのを見て現れたのは、自分の世界では存在しないような鎧のデザインをした人物だ。
やはりというか、この人物も巨大なレッドカイザーに対しては驚くが、それは最初だけである。その後は、何も表情を変えることはなかったと言う。
外見こそはファンタジーでよく見るような黒騎士を連想させるのだが――それはSNS上の情報を集めただけの話にすぎない。
『レッドカイザー、ここは君のいた世界とは違う』
声のする場所、それは自分の真下である。しかし、変身を解除する事は出来ない。これは、一体どういう事か?
声に関しては男性のようだったが、何処かで聞き覚えもあるのかもしれない。
「世界? ここは――SNS空間とは違うのか?」
『違うと言っておこうか。しかし、このサイズでは何かと不便だな――』
黒騎士が指を鳴らすと、レッドカイザーは黒騎士と同じ位のサイズにまで縮小する。
向こうは二メートル弱なので、その位だろうか?
『ここは、君がいた世界とは異なる日本――そう説明した方が分かるかな』
目の前の騎士が言う事、それには一理あるとレッドカイザーは把握する。
自分のいた世界とは違うが、周囲に展開されているフィールドは怪獣とのバトルで展開されるソレとシステムは類似するだろう。
『その鍵が七つ揃えば、願いをかなえる事が出来る。あの浮遊大陸にも行く事が出来るかもしれない』
黒騎士は、空に浮かぶ大陸を指差す。レッドカイザーはどの大陸を――と思ったが、現実に浮いている大陸を見て驚く。
様々な電脳空間を見てきた彼でも、リアルフィールドに浮遊大陸があるとは初耳だろうか。
『君にも、これを渡しておこうか』
次の瞬間、レッドカイザーが輝きだしたが、特に変化はない。
しかし、明らかに何かが違うとレッドカイザー自身は確信している様子。それを確認し、黒騎士は姿を消した。
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