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公園から姿を消したマルスを追跡しようとした舞風だったが、文字通りに姿を消しているので探しようがない。
ARゲームの場合、ログアウト後にはプレイヤーアバターだと外見が変化する特徴がある。しかし、ノンプレイヤーキャラだとそうはいかないだろう。
それを踏まえると、マルスの追跡は絶望的――そう舞風は考えて帰宅する事にした。公園と舞風の自宅の位置は、あまり遠くないのもポイントだろうか。
この公園は県営と言う事だが、実際にはARゲーム用のフィールドとしての設備を備えた公園と言える。一種の偽装にも見えるかもしれない。
(それだけ、ARゲームを観光資源にしようと言う話はWEB小説のようなフィクションではないと言う事か)
色々と思う部分はあるだろうが、舞風はやる事もなくなっているので自宅へ帰る事にした。
マルスの捜索も、おそらくはあの消えた段階で不可能と判断したのかもしれない。
公園では警察とは思えないような装備の人物が数人、周囲を見回っていた。彼らの目的は何だろうか?
さすがの舞風も帰宅準備をしていたので、彼らの方は見向きもしないでそのまま自宅の方角へと向かう。
女性の人物が一人いたように見えたが、遠目からでははっきりとは分かりづらい。それ程に重装備と言える。
「例の炎上勢力に関係する人物は?」
「駄目ですね。ここには全く――」
彼らの目的は炎上勢力の人物らしい。おそらくは、先ほどの舞風が気にしていたまとめサイトに関係するだろうか?
警察と同じように現場を調べるにしては、パワードスーツを持ちこむのはさすがに物騒と言えなくもない。
しかし、このパワードスーツはARゲームと連動した物で、リアルで起動する事は出来ない代物だ。つまり、彼らはARゲームのガーディアンと言うべき存在だろう。
「間違いなく、この近辺で目撃情報があった。あの炎上勢力は、ある意味でもテロリストだ。放置はできない!」
男性ガーディアンは、カルシウム不足な気配で周囲に対して不満をぶつける。
しかし、他の同僚は慣れているらしくスルーを決めていた。女性ガーディアンも、同じような気配だろう。
「落ち着け。炎上勢力以上に、我々が警戒するべきなのは――」
女性ガーディアンが空を指差し、そこに浮かぶ浮遊大陸が重要だと圧をかけているようでもある。
今の目的は炎上勢力よりも、あの浮遊大陸を呼び出した元凶を発見する事らしい。SNS上の書き込みを踏まえると、それが分かる。
「隊長、これを見てください。ここのサーバーに記録された動画ですが」
別のガーディアンがタブレット端末を片手に、記録されている動画を女性ガーディアンに見せた。
その内容は、三人組と勇者と思わしき人物とのバトルログらしいが――。
「これは、SNS上で拡散している動画か?」
「三人組の方は、我々がマークしているマッチポンプが疑われる悪質プレイヤーです」
「晒し目的か?」
「そうであれば、無関係な第三者が動画をアップする事自体に意味があるかどうか――」
二人のやり取りを聞く事なく、別の男性ガーディアンは手がかりになりそうな物を探す。
そして、彼は不審なガジェットを発見する。その形状は、明らかにARゲーム用として出回っている物とは大きく異なっていた。
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